黄昏時。既に門扉は閉ざされていた。にもかかわらず、その建物へ向かう一群が列をなしている。
　少し上の道路に止められた黒い高級車から降りてきたのは、高齢の紳士だった。SPを連れて、生垣沿いの小径を歩いてきて、彼は悠然と門扉の前に立つ。
　呼鈴等は無い。だが示し合わせたよう...

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　それからかれこれ数十年。

　子供だったコルが、【】と名乗り、世界中を旅して再び故郷に近い森に辿り着き。住み始めてからも数十年が経っていた。

「コルお爺さん!!」




...

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始まり

ソバエ　セイ
祖葉江　晴

　現実世界の【陽狩《ヒカリ》】と交差する裏の世界【陰理《カゲリ》】。陰理で生まれた仁と呼ばれる命は、朋殻《トモガラ》と言われる己の片割れと共に、幾層にも成る界を上っていく。
　記憶を亡くし、現実世界で暮らす樟下颯太《くすもとそうた》はそんなそんな仁の一人であった。均衡の崩れた二つの世界...

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