物語企画7話
- 2025/06/14 08:15:21
第7話 うわき
遊園地から出てまたシズミを目指す道中、
珍しくマァ坊が「俺だけで行きたいところがある」と言い出した。
「マサヨシ!連れてけ!」「マサヨシ!ここに行くぞ!」ばっかりだったから急に何と思ったんだけど、束縛する男は最悪、とカレン先生に教わっていたので快く送り出した。
そしてこっそりあとをつけたんだ。
マァ坊はある店に入って行った。
聞き耳を立てる。
誰かと話してるようだが、マァ坊の声しか聞こえない。
「君さえいればいい…」
「このうわきはバレないように……」
う、うわきだってーーーー?!
思わず俺はその店のドアを勢いよく開けてしまった。
「マサヨシ!?!?!」
「いらっしゃいませ〜、マリンスポーツのお店へようこそ〜」
アロハシャツみたいな服を着た陽気な店員は、全員ムキムキの男だった。
ここで浮気…?マァ坊ってやっぱり男が好きなの?
俺の太い眉毛が縦になるくらいしかめられてるのを見て、マァ坊がため息をついた。
「ハァ。遊園地に連れてってくれたから、俺もサプライズをしようと思ったんだ。
シズミへ行くにはカタタ滝っていう滝の一番上から飛び降りなきゃ行けない。そのための
『うわき』を買ったんだ!マサヨシの金だけど」
マァ坊はビニール製でドーナツ型で中に空気が入った、そう、『うきわ』をドヤ顔で掲げた。
なんだ…うきわか…
なぜかどこかホッとした俺がいたんだ…。
それよりも、シズミに行くにはなんだって?
滝を飛び降りる?
こんなうきわで行けるのか?
「ないよりマシだろ」
「なんだお前たち、神秘の泉に行くのか」
俺たちの会話を聞いていたマッチョの店員がポーズを決めながら話しかけてきた。
神秘の泉…?し…んぴのい…ずみ……シズミ?!
マァ坊はやっと気づいたかという表情。
マァもポーズを決めている。
「神秘の泉へ行くなら、カタタ滝よりもチョーフカ井戸のほうがいいぞ。
井戸に入って、地下から泉へ行くんだ。
一本のロープで井戸の中を山のてっぺんから地下まで降りるだけだから簡単だぞ☆」
ムキッとポーズを決めるマッチョ店員。
いやそれそのマッチョだからできる技だろ。
だがカタタ滝といえば、
標高5000mから一気に落ちる大量の水。
この滝で滝行できるのは巨人くらいと言われるくらいの大滝だ。
そんな滝をこの小さいうきわで降るだなんて、
海をイカダで渡るよりも無謀だ。
じゃあ5000mをロープ1本で降りた方が安全なのかと言われるとどっちもどっち、結局無謀なんだけど。
俺たちはとりあえず、5000mの山頂にあるチョーフカ井戸まで来た。
覗いてみると、風が吹き上がってくるが深すぎて闇。
マッチョが降りたと見られる1本のロープは今にも切れそうだった。
「見てマサヨシ!ピッタリ!」
マァ坊は井戸にうきわがピッタリハマることを発見しはしゃいでいた。
それを見て俺は閃いた。
よし!そのうきわに飛び乗れ!
俺たちがうきわに乗ると、うきわは井戸の丸い壁に沿ってエレベーターのように降下した。
都合よくいい感じの素材でできているうきわは破れることなく5000m降りきった。
「は〜こわかった〜」
マァ坊が俺の腕にしがみついてきてかわいかった。
いやマァ坊お前常に飛んでるじゃん。
俺を持って飛べばよかったじゃん。
あぁ!その手があったか!という顔のマァ坊。
うきわが役に立ったから別にいいけど。
帰る時は飛べよ。
つづく
なんか ステキ~~~~~♬♪♫
うきわのおかげで 無事に着けそうかな!??
帰りはうきわで上がれないもんね。飛べるといいね。
井戸は空井戸だったの?
シズミって、神秘の泉のことだったんだ!
『うわき』、まさかの使い方で活躍して良かった笑
でも浮き輪のことだとわかってほっとしました!!
今回も面白いですw
浮き輪頑丈すぎてすごいwww
井戸に浮き輪がぴったりハマってはしゃぐマァ坊可愛い!