戦闘所10
- 2021/02/07 16:04:57
アジト以外はこちらで〜
▼注意事項
⒈顔文字禁止、^^、w、など使わない
【♪、♡、★、!、?】は有
⒉確定ロル禁止
3・ロルは短くてもいいですが、行動が分かるように。
100コメとった方は次のトピ立てを宜しくお願い致します。
【移動できる場所】
・アルパージュ商店街(毎日主婦の方たちでいっぱい。季節に合わせに七夕祭りやクリスマスツリーが飾ってあったりする。)
・イネス(大型ショッピングモールで連休になると家族連れやカップルなどのお客さんがいっぱい。このスーパーならではの醤油ジェラートが人気)
・讃州学園(普段は私立の小中高一貫校と学園だが、紫陽花にしか知らない秘密の通路を通るとアジトになる)
・瀬戸大橋記念公園展望台(名前通り瀬戸大橋が開通した記念に橋の袂に作られた公園で、記念館&展望台などがある。)
・丸亀城(あまり多くの人には知られていないが香川では有名な城。中に入ることだって出来る。最高技術の石垣と現存十二天守の中で一番小さな天守を持ち、日本の百名城にも選ばれているほど)
・つるや(うどんが美味しい店。うどんの他にもそば、定食、ラーメンだってある。どれも値段が優しく子供でも買えるほど)
・瀬戸大橋(瀬戸内海をまたぐ橋。今では橋はボロボロになっており、見ることしか出来ない状態)
・讃州サンビーチ(潮風が爽やかな海岸。海も気持ちよく、ここで取れる魚介が美味しい)
・林檎の森(あまり人目につかない怪しい森。その名の通り林檎の木の割合が多い。狼や熊などの野生動物が暮らしている。幽霊が集まっているという噂もある。)
・伊勢自魔屋敷(紫丁香花のアジトでこの地で1番大きい屋敷。中世ヨーロッパにありそうな外見をしている。)
・アメリア住宅街(家族や色々な人が住む住宅街。)
・アスチルベ遊園地(この地人気の遊園地。アトラクションの数も多い。最近新しく出来たジェットコースターがスリル満点で面白いらしい。)
・柚子狐狸病院(総合病院。医師や看護師さんが24時間働いてくれている。)
・琴弾八幡宮(大鳥居から、石段を上がると本殿がある。勝負の神様と恋愛の神様がいるといわれ、受験に勝ちたい学生や若い世代の参拝者が訪れる)
【おりちゃ内の気候】
時刻:朝 天気:雨 季節:夏 気温:26℃
チョロ…よく今までこの人生きてきてこれたな…俺が悪い人だったらどうすんだよ、いや悪い人だし。
「ボクはキミに信用してもらうために使ったまでだよ。ヒマつぶしができればいいだけだからね。疲れたから戦うのはもういいし。ワンちゃんもそう思うよね?」
そう言って犬をわしゃわしゃと撫で回す。すると、少し嫌だったようで吠えられた。
「うーん、ワンちゃんはボクのことキライみたいだ」
「んーじゃあ…まぁ口直しってことでケーキセット一つお願いしよかな~」
すんませーん、と一人顔なじみの店員を呼び軽く挨拶をしてから注文する
そういえばさっき漣がこれがカフぇか、と言っていたが始めてきたのだろうか、まぁ今時こういうところに来る人は少ないのかもしれない
「ん~漣クンって休日どっかいったりするん?今みたいに飲食店とか~いろいろ」
話すことがあまり思いつかずなぜか初心そうな質問をしてしまった
ま、気になってるのは気になってるし…変やないやろたぶん
いや、いかにも怪しくて信用しきれない。しかも本人も企んでるって言ってしまってるやん。どういうことや。
と冷静に声を出さずに心のなかでツッコミをする。彼と気が合いそうにないし、常に警戒しとかないと敵だし楽しく遊べない気がする。何されるか分からないから。
「えー…うちもあんまりお金持ってへんよ?犬の散歩だけやと思っとったし。自分で買うてよ」
面倒くさそうに返事をする。出来れば付き合いたくないんだけど。お金が少ないのも本当だし、そんなショッピング出来る金額は持ってない。そんなん自分で出せや!って言いたくなるのをグッと堪えて。
そんなことを考えていると彼は自分の手首の傷をそっと治してくれているじゃんか。応急処置として作った服の包帯を解くと綺麗に消えていた。本人は優しさ?それともこれも何かの企みでやってるのかは分からないけど自分は彼に対する感情が変わっていく。
「えっ!?な、なんでうちなんかに…!だったら尚更自分の怪我治せば良かったんちゃうん!?愛さんこんなん慣れとるし大丈夫やのに…」
驚いて声がいつもより高くなっている。今まで何回もああいう場面はあったから傷や痣や何かしらには慣れてる。今日はただ傷が深かっただけ。なのに敵やのになんで治してくれるんやろ。そう考えると嬉い方の涙が出てきそう。
そうこう話している間にお目当てのカフェに来たようだ。外見も見たことないお洒落な感じだ。彼に先に案内され、自分が先に入る。カランカランという音が聞いていて心地いい。まるで風鈴の音を感じさせるな。
「おぉ、これがかふぇか凄いな」
小声ながらも凄いと本音が漏れる。中に入った瞬間まずお店の明るさと綺麗さが目に入り、ピアノやトランペットなどのジャズっぽい音楽がかかっており、定員さんたちもこちらを向いて「いらっしゃいませ」とお辞儀をしてくれている。何だが自分が来たのが場違いじゃないか?と思って少し不安になってくるが空いてる席に座る。席にあったメニューを開いてペラペラと見てみる。甘そうなものから飲み物、オムライスなどの洋風の食べ物まである。でも、今は重い物はいいかな。団子さっき食べちゃったし。
「じゃあ、俺は珈琲でも飲もうかな」
とメニューの珈琲を指して頼む。勿論甘さは控えめのブラック珈琲で。
「企む?んー、企んでるっちゃ企んでるけどサ。イネスなりなんなり行ってごはんでも食べて体力回復したいなあって?あとゲーセンで遊んでみたい!今後にテレビ企画とかであったらそれなりにはウマくなっとかないといけないしね。あ、でもボク所持金がちょっと少ないからお姉さんがおごってくれないかなぁ?ボク、うどん食べたいな!」
遊びたいなんて嘘だけど。さっさと帰りたい。でも帰ったところで退屈だしそれならゲーセンとかで今後の為にある程度腕を上げたり上手く負ける振りをする技術をつけたりするのもいいだろうし。断れたら大人しく帰るか。いや、もう一回戦うのも有りだな。絞められて傷付いた部分を治す。ついでに相手の手首の傷も目立たない程度にまで治す。
「どう?これで信用してくれた?ボク、これ使うとフラフラするしお腹すくし眠くなっちゃうからあんまり多用はできないんだよね」
ずっとお兄さん、と自分の独断で呼んでいたが本当にそうだったようで一人ほっとする
「なんやはっきりせぇへんな、ま人のこと詮索する気はないからええけど」
もうそういうのには飽きたしな、とふと昔のことを思い出す、といっても1年もたってないかもしれないが
こうやってぼーっと散歩したり愛ちゃんとか仲間以外の人と外出するのは久しぶりで、こういうまったりした日もいいなと思っていたらどうやら目的地に着いたようだ
「お疲れさんでした、ここがさっきみせた券のカフェ兼わしのバイト先~ごゆっくりどーぞ」
軽く引くとカランカランと音を立てて扉が開く
お先にどうぞ、と目で漣をうながした
自分の脅しで諦めて退いてくれるらしいが、この後も付き合わされる予定らしい。いや、さっきまで闘ってた同士が急に仲良くなって遊び始めるっておかしない?遊びって意味は楽しく遊ぶことだけど、彼の言っている遊びの意味は戦いの意味っぽく聞こえてくる。急に仲良く遊ぼうよなんて言われるとこっちが不愉快極まりなくて、こそばゆい感じがする。
本当の意味で遊ぼうって言われても、手首にも怪我をしたし、この手首の傷三好に見せたらなんて言われるだろうか。また怒られちゃうかな。怒られる前に手首の傷どうにか誤魔化かしとこ。と手首の傷を見てあの人に怒鳴られる情景が浮かんでくる。何とかバレないといいんだけどな〜なんて考えながらこうやって関節技してるときもにも彼が動くから結構体力消耗しているし。そろそろ休みたいっていうのが本音である。
「なんか怪しい言い方やな。なにか企んでへん?」
すんなり言うか分からないけど一応問いかけてみる。彼が嘘つかなければええんやけど。そろそろ彼女も体力が無くなってきたのか彼を締めていた足の力を抜いて地面に降りる。
【アルパージュ商店街 漣】
「晶仁ね、俺は伏見漣。よく女性に間違われるんだけど女じゃないから、まぁそこんとこ宜しく」
彼の名前を確認した後続いてこっちも自己紹介をする。実際によく女に間違われるから忠告しておく。まぁ、この容姿で相手を特に引っかかりやすい男性を騙すことが得意なんだけど晶仁は個人的な理由で面白いし、気に入ったから騙さないでおいた。
「ん、そうだな。住んでるのはここら辺かもね」
へへへっと笑いながらごまかして、住んでる場所ははっきりさせずにいる。流石に紫丁香花って組織普通の人じゃ分からないだろうけどバレたらどうなるか分からないからね。後でリーダーに怒られちゃうから面倒くさいんだよな。他の人からも責められるし以外とあの場所って俺にとって怖い場所かもしれねぇ。と歩きながら考える。なんだかずっとこのままがいいなって思ってきたかも。
「ほんまに?助かるわ~あ、わし三好晶仁よろしゅうね」
立ち去ろうとしていたところを引き留められ、そういえば名前ぐらい教えてないと後々会話に支障が出るかもしれないな、と軽く自己紹介をし、んじゃ行きますか~と先に歩き始める
確か新作のケーキと新しく仕入れたコーヒー豆があるとかないとか言っていたような…とマスターが言っていたことを少しずつ思いだそうとしたがうまくは思い出せなかった
「そういえばお兄さんどこ住んではるん?ここら辺?」
恰好を見てふと気になったので質問してみる
ずっとだんまりよりこういう会話をしたほうが楽しいだろう
「うーん…でもそうするとボク、またヒマになっちゃうんですよ。あ、お姉さんとボクが遊ぶってのはどうカナ?遊園地は離れてサ。ボクはヒマじゃなくなるしお姉さんはボクをノバナシにしないで済むね。まあ、お姉さんが忙しいならイイけどさ。あ、ワンちゃんのおさんぽだったからワンちゃんとボクで競走してみる?」
ツマラナイのはキライなんだよね〜、と提案する。アジト戻っても朝だから誰も起きてないだろうし暇だし今日は完全オフでスケジュール何も入ってないしな。訓練する気分でもないし。
「売出し中とはいえアイドルと遊び歩けるとかすっごくイイことだと思うんだけどな?」
「ん、じゃあな」
こっちとしてもいい退屈しのぎになった。お腹も痛くなったし。中々そう簡単にはこんな面白い人は見つけられない。また会った時のために顔をちゃんと覚えておこうと真正面でじろーっと彼の顔を見て覚えようとしていた所、彼が何かの紙切れを見せてくる。書いてあるのはかふぇ〜〜と書いてあるのと期限日。期限日は丁度今日までらしく自分を誘ってくれるらしい。かふぇ〜〜の後はきっと店の名前やなんかだろう。予想するに喫茶店かなんかかな。
「よく分からねぇけど面白そうだから付いていくよ。」
袖口の手を組んでうん。と頷く。名前からするになんとなく美味しそうだし。この人もあまり怪しくなさそうだし。っていうか俺が気に入ってる人だからきっと大丈夫だろうと出会って数分も経ってないのに簡単に信用する。
強く。彼は退くと言ってくれてるけどまだ渋々って感じがする。愛さん他人の気持ちを推し量るのが得意やからなんとなく分かっちゃうなー
だからまだ離す気はない。苦しそうに藻掻いているけどもう少し我慢してもらおう。そんな簡単に関節ボギって折はしないようにするから。
「ニャハハー はいはい、暴れへん。」
自分の方が優勢になったため少しの余裕から出た笑い声。と言ってもまたやられたら今度こそ大量出血で死にそうだけど。冗談抜きで。
子供を諭すような優しい声で暴れる彼を止めさせようとまた太ももの筋肉を使ってギユッと圧える。その優しい声からは怒りと不機嫌さが垣間見える。自分のお尻の下にいる彼の動きの反動で自分もゆっさゆっさと左右にかなり動いてしまうが、それに負けじとお腹に力を入れて耐えに耐えている。体感鍛えてる方で良かったわほんと。なんて、少し余裕が出来てそんなことを考えている。
「はよ遊園地から立ち去ってもらわへんと困るんやけど。約束やで?や!く!そ!く! な?」
下にいる彼を見て約束を強く強調して言う。そうでも言わないとここから退いてくれそうにないようなので圧で「また関節技やってもええの?」とも付け加えて言っておく。
あ、この人もうすでにほかの人にもやっとるんか…と注意して損したかも…という気持ちになる
「あれわしが暇や言うてたん聞こえてたんや、はっずいわぁ…まぁやり方はどうであれありがとさん」
手をひらひら~とふって礼を伝える
これってなんかお礼とかしたほうがええやつ?と腕組みをしてうんうんと悩み始めてしまう
そういえばバイト先てもらった割引券2枚あるけどもう期限切れそうなんやったっけ…とポケットから割引券を2枚出す
「そーや、お兄さんもし暇なんやったら一緒にここ行かへん?ようよう見たらこれ今日切れやし」
と自分のバイト先であるカフェの名前と期限の最後、今日の日付を指さした
「っぐぁ…痛い」
ポーカーフェイスが崩れ去る程の痛みに悶え苦しむ。切りつけられたり撃たれたりした訳じゃないから拘束外さないと痛いままだし回復しても意味が無い。ナイフだってはるか遠くに落ちていて簡単に使えるのは自分を巻き込んでしまう手投げ弾くらいだ。クソ、マジで痛ぇ。だけどこれで退くのもなんか癪だし、とどうにか振り解こうと藻掻く。
「ゔー…わかったよ…退けば良いんだろ、退けば」
そうは言うものの実際に退く気はあまりないようだ。
激辛団子を食べた時の反応も、その後他人の視線に恥ずかしいと思ったのか口を手で覆ってしまう仕草もどれも予想外でお腹がよじれるぐらいに笑う。なんだか可哀想だなーでも面白い。彼の場合可哀想だなんて本気で一ミリも思っていないが。
久々にこんないい反応してくれる人見た。だからいたずらってやめられないんだよな。自分の周りの人はいたずらに段々慣れてきて最近いたずらのし甲斐がなかった頃であったためこの人のこと少し気に入ってしまった。
「ふっふっふ…あっはっはっー 何でそんないい反応してくれるんだよ、はぁーーお腹痛てぇ」
お腹が千切れそう、笑いすぎて涙が出てくる。笑わせないでくれよと言いたい所だが、笑いすぎて言葉を発するも苦しかった。
少し笑いが落ち着いてきたのか、はぁーと息を漏らし2、3回ぐらい深呼吸してからまた話し始める。 まだあの光景を思い出したら笑いそう。一人で思い出し笑いしてたら変な人だと思われるなきっと。
「お兄さんがいい人で良かったよ。たまーに怒られる時あるからなー どう?少しは暇潰れた?」
何回か通りすがりの者として赤の他人にいたずらを仕掛けてきたが、大抵は怒られることばっかりだった。まぁ、彼はそんなことでうじうじする性格じゃないから大丈夫だが。
やっぱりそう簡単には引いてくれないか。相手の顔を傷つけささへんために殴れないし、蹴れへん。せやけど相手を引くためには何ぞ仕掛けへんと退いてくれなさそう。どうしよと…
気難しい顔をしながら、頭の中を巡らして解決策を探る。傷つけるのはアカンし、見た目に残らなさそうな傷つけ方…あ、関節技で攻めてみる?生活に支障が出ない程度ならファンの人は許してくれるかな。ほんまに申し訳ない何んかあったらうちが治すさかい。
全国のファンの子達に心の中で土下座をしたいぐらいに謝って次の瞬間攻めに入る。手首の傷のせいで痛みに顔を歪めるが、傷つけられたことを忘れてしまうかのように動きは素早い。彼の片足に自分の足を引っ掛けて、体勢を崩させる。
「おりゃぁっ!」
威勢のいい声と共に、彼の手首を握ってぐるりと一回転させ、少しふわりと浮いている。その瞬間だけだがここにかけるしかない。本当に光の速さの短さだが、宙にいる彼を自分の体重をいいことにお尻から乗っかり彼をまた地面へ落とさせる。地面についた反動で自分にもかなりの衝撃が来るが、今はそれどころじゃない。
彼をどうあがいても逃さないように両足に力を入れて、ゴキゴキと腕を一直線に真逆の方へ。これは普通じゃな腕の曲がり方だ。
「さっきまで君の発言を聞いてみればえらい人煽るのが得意なようで。少し黙ることできひんのかな?まーこないなうざい対応には慣れてるんで問題はないけどっ」
またゴキゴキと彼の腕の関節を痛めつける。これでも少しは手加減してる方やねんけど。さっきまでの溜めていた怒りがカッとなって少しやりすぎたかも?
「あれ?さっきのピカピカ光る奴使わないの?使わないと痛いんじゃない?」
そう言いつつも能力を使い過ぎると後で大変だからだろうな、と分析する。退け、って言われてもな。今退いたらまた暇に戻っちまうし。
「退いてほしいって言われてもさ、そもそも僕が何でこんなとこに居るかわかってる?」
急に声をかけられたかと思ったら断る暇もなく団子を渡された
団子と渡してきた人物をちらちらと見たがこの団子はたまに自分も買っていく店のものだとだいたいわかったのでじゃあまぁもらいます、と何も疑わず食べる
「か"っっっっっら!!なっにこれ"」
道のど真ん中なのに大声で叫んでしまい他人の視線に気が付き、やばっとぱっと口を手で覆う
どう考えても相手の思うつぼのような反応をとってしまった、だが実際に辛すぎるほど辛いし目が覚めた
見た目とのギャップでさらに辛い、涙目で相手をにらみつける
ようよう見たら女の人ちゃうな、声でわかるけど…いや愛ちゃんおるしそんな気はないけど…それにしてもかっっっらなにこれ…
「おにぃさんなにこれも~どこでこんなん仕入れるわけ…?」
他の人にやったらしばかれるで~など辛さが引いてきた口でへらへら笑いながら言う
切られた瞬間は何が起こっているのか分からなかった。ただ、自分の手首にスッとされる感覚があり、顔に血付いた瞬間切られたということが分かった。
「いっっっっ……たァァ!!」
切られた所を押さえてしゃがみ込み、苦しそうにジタバタする。痛い痛い…ざっくりやられた10cm以上はありそう。最初はまだ余裕のある方だったのが、段々とその痛さも激しく酷くなってくる。理性も保てないし、呼吸も出来ない、もう死ぬんじゃないかと思う程。また能力で回復しようかと思い腕に手を近づけるが、この後の皆のことを考えると使うのをやめてしまった。
この能力だって無限に使えるわけやないし、あと3人分しか治されへん。しかも、今日はまだ始まったばかりやのにここで全部使うのは勿体ない。紫陽花の子を治せるのは愛さんしかおらへん。そう思い、自分のトップスを力を入れてビリビリと破き手首にきつく縛っておく。
出血なんてこんなもんで止めてやるわ!皆の痛みに比べたらこんなもんへのカッパ!!!紫陽花の皆、この国の人の苦しみ、二度と取れない苦しみだってある。そんなことに比べたらうちの傷は軽い。そう言い聞かして痛みを止めようとする。
「ハァハァ…はよ退きなさい。遊園地から立ち去りなさい。」
その場で立ち上がり、息を切らして苦しそうな表情をしている。言い聞かしなんて聞かないもんなそりゃ。
今までの行動通り拳では戦えないので言葉で戦おうとする。拳で戦えないなんて自分が情けなく感じて悔しい…悔しい。
「いっっっっ……たァァ!!」
切られた所を押さえてしゃがみ込み、苦しそうにジタバタする。痛い痛い…ざっくりやられた10cm以上はありそう。最初はまだ余裕のある方だったのが、段々とその痛さも激しく酷くなってくる。理性も保てないし、呼吸も出来ない、もう死ぬんじゃないかと思う程。また能力で回復しようかと思い腕に手を近づけるが、この後の皆のことを考えると使うのをやめてしまった。
この能力だって無限に使えるわけやないし、あと3人分しか治されへん。しかも、今日はまだ始まったばかりやのにここで全部使うのは勿体ない。紫陽花の子を治せるのは愛さんしかおらへん。そう思い、自分のトップスを力を入れてビリビリと破き手首にきつく縛っておく。
出血なんてこんなもんで止めてやるわ!皆の痛みに比べたらこんなもんへのカッパ!!!紫陽花の皆、この国の人の苦しみ、二度と取れない苦しみだってある。そんなことに比べたらうちの傷は軽い。そう言い聞かして痛みを止めようとする。
「ハァハァ…はよ退きなさい。遊園地から立ち去りなさい。」
その場で立ち上がり、息を切らして苦しそうな表情をしている。言い聞かしなんて聞かないもんなそりゃ。
今までの行動通り拳では戦えないので言葉で戦おうとする。拳で戦えないなんて自分が情けなく感じて悔しい…悔しい。
「舐めてるんじゃなくて戦略だよ。やだなあ、僕は互いに無駄に傷付かなくて済む最適解を示してるだけなのにね。そんな怖い顔しないでよ。だって着せ替え人形を捨てたら専用の服だけ持っていても仕方ないのと一緒だしさ。悪者が居なくなったら正義の味方も要らないでしょ?紫丁香花の奴等が本当に完全に居なくなったら紫陽花も解散するのかなあ」
人間なんて皆、粗大ごみみたいなものなのにね。と呟いてくすりと笑う。俺の仕事なんて考えて遠慮して戦えないなんて紫陽花の人は良い人過ぎるんだよな。だからって楽勝な訳じゃないけど。余裕そうな表情を浮かべながらも実際は能力の反動が割と厳しいようで相手が手加減しているのを止めれば負けるような気もする。手首を掴まれてるって事はあっちも簡単に攻撃を避けれないはずだ。
「ふふ、手首なんか掴んじゃってさ。そんなに怒らないでよ」
困ったように言って手首を掴んでいる愛の手をナイフで切った。
「舐めてるんじゃなくて戦略だよ。やだなあ、僕は互いに無駄に傷付かなくて済む最適解を示してるだけなのにね。そんな怖い顔しないでよ。だって着せ替え人形を捨てたら専用の服だけ持っていても仕方ないのと一緒だしさ。悪者が居なくなったら正義の味方も要らないでしょ?紫丁香花の奴等が本当に完全に居なくなったら紫陽花も解散するのかなあ」
人間なんて皆、粗大ごみみたいなものなのにね。と呟いてくすりと笑う。俺の仕事なんて考えて遠慮して戦えないなんて紫陽花の人は良い人過ぎるんだよな。だからって楽勝な訳じゃないけど。余裕そうな表情を浮かべながらも実際は能力の反動が割と厳しいようで相手が手加減しているのを止めれば負けるような気もする。手首を掴まれてるって事はあっちも簡単に攻撃を避けれないはずだ。
「ふふ、手首なんか掴んじゃってさ。そんなに怒らないでよ」
困ったように言って掴まれている手首をナイフで切った。
「おばちゃんみたらし団子ありがと貰っていくよ お店のお金ごと。ってウソウソそんなわけ無いから大丈夫だよ」
いつも団子をくれる和菓子屋のおばちゃんと今日もいたずらな言葉を言ってさよならした後、綺麗に包装してくれていた紙を雑にベリベリ剥がして団子二本のうち一本を頬張る。
「昨日お酒飲みすぎたから甘いものはありがてぇー しかも美味」
歩きながら一つ一つ頬張って、誰に言ってるか分からぬ団子の感想を言う。昨日のお酒の飲みすぎで少しだるいし、頭痛もするけど団子の甘さがそれを吹っ飛ばしてくれるかのようだ。
もぐもぐと最後の団子を食べ終わり、丁度串の状態になった時、暇やわぁ…という声が聞こえてきたのでそちらの方に目線を向けてみると俺と同じぐらいの男性がいる。
多分暇って言ったのこの人だろ。暇なら…いたずら仕掛けてみるしかないだろ。といたずら好きの彼しか思いつかないことである。そういえば団子もう1つ余ってるんだっけか。あ!そうだ!いいこと思いついちゃったー
もう一個の団子を取り出して、懐からこの世界でいたずらに使われている「ですそーす」というものを見た目からはバレないように器用に団子の中に入れていく。はい、ですそーす団子の出来上がりじゃん。
「お兄さんみたらし団子食べる?まぁまぁ、遠慮せずにどうぞ」
暇そうなお兄さんに肩をちょんちょんと叩いて団子を勧める。急に昔の時代の格好をした人に団子を勧められても怪しいとしか思わないだろうから、彼に断る言葉も妨げてみたらし団子を受け渡す。さぁどんな反応するか楽しみだなー ふふふっ
考えるだけでニタニタが止まらないが、そんな気持ち悪い顔をしていても余計に怪しまれるので顔はポーカーフェイスのままでいる。
彼からの答えは意外にも暗いものだった。ただ単に人を笑顔にしたいからという理由でアイドルをやってる訳でないことを知る。誰かに必要とされる理由を作るため、生きたいからアイドルやっとるかぁ…
アイドルって仕事の反対で紫丁香花にいるってことは相当な何かを抱えているとは感づいていたが、そんな闇を抱えていたなんて想像はつかなかった。昔、自分の友達にも承認欲求を求めている似たような子がいたので、敵ながらも同情をしてしまい、少し泣きそうになっていた。流石に敵やし、敵の前で涙を見せるなんて笑われて罵られそうだったので我慢した。本当は涙ボロボロやったかも。
少し戦闘する気分は落ち着いて少しぐらい見逃してやってもいいかもと思った矢先に次の言葉に堪忍袋の緒が切れた。
「は?あんた今なんて言うた!?必要ないと思ったらどうでもええやて!?しかも、愛さんのことナメとって、ええ加減にしぃや」
目つきは厳しく、眉のシワもよりはじめ、カッとなって怒鳴る。
さっきまでのところだけ聞くとえらい話で寄り添いたくなるなーなんて思っとったけど、必要ないと思うたらどうでもええ!?意味分からんわ! しかも愛さんの弱いところを握りよって…うちやっぱこの人とは一生仲良く出来そうにない自信あるわ。
怒りで冷静さを失ったのか、彼の手首を掴んで力いっぱい投げようとした。したが、やっぱりアイドルをやっているという荷が重くて、過去を知って余計に投げれなくなってしまう。
彼からの答えは意外にも暗いものだった。ただ単に人を笑顔にしたいからという理由でアイドルをやってる訳でないことを知る。誰かに必要とされる理由を作るため、生きたいからアイドルやっとるかぁ…
アイドルって仕事の反対で紫丁香花にいるってことは相当な何かを抱えているとは感づいていたが、そんな闇を抱えていたなんて想像はつかなかった。昔、自分の友達にも承認欲求を求めている似たような子がいたので、敵ながらも同情をしてしまい、少し泣きそうになっていた。流石に敵やし、敵の前で涙を見せるなんて笑われて罵られそうだったので我慢した。本当は涙ボロボロやったかも。
少し戦闘する気分は落ち着いて少しぐらい見逃してやってもいいかもと思った矢先に次の言葉に堪忍袋の緒が切れた。
「は?あんた今なんて言うた!?必要ないと思ったらどうでもええやて!?しかも、愛さんのことナメとって、ええ加減にしぃや」
目つきは厳しく、眉のシワもよりはじめ、カッとなって怒鳴る。
さっきまでのところだけ聞くとえらい話で寄り添いたくなるなーなんて思っとったけど、必要ないと思うたらどうでもええ!?意味分からんわ! しかも愛さんの弱いところを握りよって…うちやっぱこの人とは一生仲良く出来そうにない自信あるわ。
「なんでかって?。僕は誰かに必要とされないと生きようって思えないからかな。あれだよ、承認欲求って奴。僕の生きるための手段がアイドルだっただけさ。アイドルになりたいからなったんじゃなくて生きたいからアイドルになった。それと、こっち側に居るのは僕には正義とか合わないからだよ。ファンの事は僕が生きてる限りは大切にしてるよ?居なきゃ生きていけないし、まあ必要ないと思ったらどうでも良いかもしれないけど。貴方だって一般人で僕のファンだったら瞬殺だったかもね。開園前の遊園地に忍び込んでるのがバレたらコンプライアンス的に駄目だし」
何故か、と問われて適当に答えた。いまいち自分でもよく解らない時もあるからよく解らない物は仕方ないだろうし。ファンを大切に、か。この人は知らないんだろうけど俺、邪魔だったらぼくのファンだろうがなんだろうが殺してきたしなぁ。まあそれは今は置いといて、どう切り抜けるかだよな。この人は紫陽花らしさがたっぷりの良い人みたいだし利用しやすそう。そう考えながら今までの攻撃による傷を治していく。少しふらつく程度の負荷が返ってきたが、まだ戦闘は出来るだろう。
「まあ、顔が嫌なだけだし他は今の所大丈夫だから良いよ?貴方の良心が許すならね。貴方、良い人そうだから良心の呵責に責められそうだよね」
このまま食らってくれれば勝てる!体力面では愛さんが有利やし!そう順調だったが、次の彼の言葉にやられてしまう。
「あっ…」
アイドルということは、勿論この人にはファンがいるだろう。少なくても何百人はいるだろう。でも、今愛さんが顔を傷つけたせいで、そのファンの子を悲しませてしもたら…?うちらの組織が望むことと違う方向へ向かってしまう。そう思うとピタリと素早かったはずの動きが止まる。
なんとかしてでも反論を言おうかと思ったが、それは彼の言う通り正論。紫陽花は人助けのためだけにあって、無理に人を傷つける組織じゃない。その通りだ何も言い返せない。愛さんも紫陽花に入ると決めたのは居場所を守るために入ったから無理に戦う必要はないのかもしれない。戦いを無かったことにする?いや、もしこの人を止めなかったら騒ぎを起こしてたかもしれない。あぁぁ…どないしよ。頭を手でくしゃくしゃとして難しそうな表情をする。どう行動するのかが紫陽花の正義、自分の正義なのか分からず先程のような殴りは出せなかった。
「なんでアイドルになったん?いや、ちゃうか。そもそもなんでそっちの組織にいるん?アイドルって人を笑顔に、幸せにするための仕事やろ?やのに何で悲しませるの方の立場におんの。どういう事情があるか分からへんけどファンのことを大切に思いなさい!」
きっと彼に怒りを買ってしまっただろう。けど、壮大な技が来ようとも覚悟はある。殺されたってまた不死鳥の様に生き返ればいい。もう逃げないと一歩彼から引いて構えのポーズを取る。
「脚に当たったくらいで死ぬとか大袈裟…ふーん、なんだ貴方も治せる方の能力者なんだ」
あわよくば頭とか胸とかに当たって死ねば楽だな、とは思っていたがやはり簡単には当たらないようだ。まあ、他でも足止めになれば十分だとは思っていたものの相手も治癒能力持ちらしく治されてしまった。じゃあ、消耗戦かな。そう考えているうちに相手が近付いてきていたようでそのまま攻撃を受けた。
「僕もなおせるけど、傷残ったら嫌だから顔はやめてね。そっちは僕等と違って人を傷付ける為にある組織じゃないでしょ?顔とか僕の商売道具なんだからさ」
言いながらにこ、と微笑んでみる。消耗戦にするとして一人じゃ帰れないだろうから誰かしら呼ぶ必要があるかもな。ただこんな朝っぱらの雨の中でも来る奴とか浮かばないしな…
やば、アカン撃たれる!何とか避けようと急いで走りだすが、遅かった。ドスッと鈍い痛みが走る。痛い。右腕に一発、左足に一発食らっているし、どんどん溢れんばかりと流血している。
血…見たない…エグいもん。
あまりエグいものは見たくないので、痛いーと顔をしかめながら直様自分の能力で治癒する。治す部分に手を当てて、触れた手が青白く光る。ピカ〜と光った後、手を離してみると傷は綺麗さっぱり消えていた。
「ニャハハ〜 銃で打たれると案外声って出ないもんなんやな、一瞬死ぬかと思うたわ」
先程までのことが嘘のように平気な顔して笑い出す。死ぬかと思った。ではなく、完全に撃たれてたし…そんなツッコミ担当の方も今は不在なのでスルーされる。
撃たれた恐怖よりも、撃たれたらキャー血やーなんて咄嗟には声も上げれないし、凄い鈍器で殴られた思いするんだなと学んだことの方が大きい。手榴弾の煙もぼちぼち引いてきたし、視界はさっきよりはマシやろ。ふぅ、と気合の息を入れる。
「よっしゃ、反撃と行きまっか!」
さっきは彼の位置が分からなかったが今度は行ける!猫のようなゆるい笑い声とは雰囲気がガラリと変わり真剣な表情をしながら彼の方へ走っていく。彼を目掛けて拳を素早く何回も、そして一回引いてからのケリ。一秒間でも気は抜けないような目まぐるしい戦いをしていく。
やば、アカン撃たれる!何とか避けようと急いで走りだすが、遅かった。ドスッと鈍い痛みが走る。痛い。右腕に一発、左足に一発食らっているし、どんどん溢れんばかりと流血している。
血…見たない…エグいもん。
あまりエグいものは見たくないので、痛いーと顔をしかめながら直様自分の能力で治癒する。治す部分に手を当てて、触れた手が青白く光る。ピカ〜と光った後、手を離してみると傷は綺麗さっぱり消えていた。
「ニャハハ〜 銃で打たれると案外声って出ないもんなんやな、一瞬死ぬかと思うたわ」
先程までのことが嘘のように平気な顔して笑い出す。死ぬかと思った。ではなく、完全に撃たれてたし…そんなツッコミ担当の方も今は不在なのでスルーされる。
撃たれた恐怖よりも、撃たれたらキャー血やーなんて咄嗟には声も上げれないし、凄い鈍器で殴られた思いするんだなと学んだことの方が大きい。手榴弾の煙もぼちぼち引いてきたし、視界はさっきよりはマシやろ。ふぅ、とすんなり立ち上がる。
「よっしゃ、反撃と行きまっか!」
さっきは彼の位置が分からなかったが今度は行ける!猫のようなゆるい笑い声とは雰囲気がガラリと変わり真剣な表情をしながら彼の方へ走っていく。彼を目掛けて拳を素早く何回も、そして一回引いてからのケリ。一秒間でも気は抜けないような目まぐるしい戦いをしていく。
ふあぁ、と大きなあくびをしながらふらふらといろいろな店に入っては出て、食材を買ったり服を見たりを繰り返している、もともとこういうことは最低限しかしない彼だが今日は朝から愛が犬の散歩に出かけており暇だったためこうして散歩の間時間をつぶしている
いやほかに友達がおらんわけやないけどやで?今日は早起きしてしもたし?せっかく前愛ちゃんにもらった服があるから外に出たかっただけやし?一人のほうが気楽ではあるし…?
など誰に対してかもわからない言い訳をぐるぐると脳内でやりながら歩いているうちに商店街を出てしまい、大きなため息をついた
「はあー…ほんっっまひまやわぁ…」
「手投弾くらいなら余裕って事?僕は一応近接も遠距離も武器としては装備してるんだけど、貴方が得意じゃない方に持ち込むのが有利だよね。じゃあ、まだ遠くから様子見って事で」
着地するとズボンの中に隠していた銃を取り出し、数発撃つ。あの人の表情から考えると遠距離は苦手っぽいだろうな。まあ、あれが演技って可能性もあるから信用できないけど。そもそも俺は能力的にサポートの方が向いてるから1:1は得意じゃないんだけどな。
浮いた!良かった、このまま場所を移動できたら…と彼が振動で飛んだのを追ってまた投げようとした時、下から凄い爆発音とその風圧で地面にまた戻される。
「うわっ、あっぶないわ!」
瞬間に変身して、持ち前の高い俊敏さでなんとか手榴弾からは逃れた。天候にも恵まれず、視界がだいぶ悪い。ましてや、手榴弾の煙で結構やられる。これじゃあ相手がどっから襲いかかって来るか…気を抜いてはいけない。
自分の身を守るためにも短剣を抜き出して周りをキョロキョロと警戒する。
一応のための短剣持ってきて良かったわ、やっぱ三好の言うことは正しい。過去に会話してた記憶が蘇る。どうしても持ってけって言うから仕方なく持ってたわけだけど、格闘だけでこの人を相手できるのは少し難しそうだ。何なら手榴弾なんて遠距離だから相性悪すぎ。しゃーないなぁ…うまく避けれるか分からへんけど、やるっきゃない。躱して近距離戦に出来ればこっちのもんや。
振動でふわりと浮かぶ。あー、この人やっぱり紫陽花か。ポケットにはナイフ、ズボンの内側には手投げ弾と銃。まあ、足りるか。
「ふふ、おねえさん…やっぱ紫陽花の人か。あーあ、見過ごしてくれれば良かったのに。僕、良い子じゃないけど別に今は貴方に構う気はなかったんだけどな。ま、宣戦布告されたら僕も戦うけどさ」
とりあえず、と呟いて彼女の近くに手投げ弾を投げた。
うわっ…なんかええように誤魔化された気がする。なんかイラつくわぁ…煽られてる感じで嫌やわ。ここは冷静さを優先し感情的になっちゃいけへんのやろうけど、どうしても感情的になってまう。
相手さんはバレてへんって思うてるんかな…感情読めないから分からんけど、ここで騒ぎ起こしたら絶対迷惑やろな。しかも、開店前だしこれから楽しみに待っとるお客さんもいはるっていう時に。皆はどう思うんやろ。どう動いたら正解なんやろ。三好は倒せって言いいはるんかな。風さんならちゃう場所へ移って戦ってそうやし。せやけど、三好は優しいから後のことを考えて放おっておきそう。…アカン!またループしてまう!
「わ、分かりました…秘密やな」
自問自答を頭の中で二人の自分に分身し、ごちゃごちゃ言い争っている間に話が進んでいたようだ。全然話を聞いていなかったが、秘密というワードだけは分かった。取り敢えずそれっぽく言い流しておく。自分が何が分かったのか分からないけど。
「あのっ!…少しだけ目をつぶっててもろてええですか」
そう彼に言った瞬間に彼の地面に強力なパンチをしてその風圧で彼を、遊園地から少しでも離れさせようとする。彼女は結局戦う方を手に取った。ワンちゃんは悪いけど、ここで留守番しててもらおう。結構な風圧だけど果たして追い出せるのか。センティメントで少しでも恐怖心を増加させて早く帰ってもらおうかと思った。けど、やっぱり敵だとしても、使うのは少し勇気がいる。
簡単に人の感情を変えたりは出来ないわ。やっぱり…うちってアホやな。そういうところが弱いんや。
うわっ…なんかええように誤魔化された気がする。なんかイラつくわぁ…煽られてる感じで嫌やわ。ここは冷静さを優先し感情的になっちゃいけへんのやろうけど、どうしても感情的になってまう。
相手さんはバレてへんって思うてるんかな…感情読めないから分からんけど、ここで騒ぎ起こしたら絶対迷惑やろな。しかも、開店前だしこれから楽しみに待っとるお客さんもいはるっていう時に。皆はどう思うんやろ。どう動いたら正解なんやろ。三好は倒せって言いいはるんかな。でも、風さんならちゃう場所へ移って戦ってそうやしぃ。せやけど、三好は優しいから後のことを考えて放おっておきそう。…アカン!またループしてまう!
「わ、分かりました…秘密やな」
自問自答を頭の中で二人の自分に分身し、ごちゃごちゃ言い争っている間に話が進んでいたようだ。全然話を聞いていなかったが、秘密というワードだけは分かった。取り敢えずそれっぽく言い流しておく。自分が何が分かったのか分からないけど。
「あのっ!…少しだけ目をつぶっててもろてええですか」
そう彼に言った瞬間に彼の地面に強力なパンチをしてその風圧で彼を、遊園地から少しでも離れさせようとする。彼女は結局戦う方を手に取った。ワンちゃんは悪いけど、ここで留守番しててもらおう。結構な風圧だけど果たして追い出せるのか。センティメントで少しでも恐怖心を増加させて早く帰ってもらおうかと思った。けど、やっぱり敵だとしても、使うのは少し勇気がいる。
簡単に人の感情を変えたりは出来ないわ。やっぱり…うちってアホやな。そういうところが弱いんや。
「ムラサキハシドイってライラックの和名ですよね…あ、ぼくがもしかしてアイドルだって知ってくださってるんですか?ふふ、ぼくはソロアイドルなのでそのようなグループには所属していないんですよ」
にこり、と笑って誤魔化した。やっぱり能力は外で使わない方が良いな。そう思いながら少し口調を仕事のものに変える。
「あ、アイドルが開園前の遊園地にいるのはちょっとコンプライアンス的にだめですよね…あまり周りには言わないでいただきたいです。おねえさんとぼくとのひみつにしてくださいませんか?」
別に仕事でここに来ている訳ではないし俺のSNS見れば今日ここで仕事じゃないことくらいわかるだろうな。まだまだ駆け出しのアイドルだから仕事があったらすぐ宣伝させられるからだいたいのルート割り出されて出待ちされる事もあるし。
帰ろうとした時に彼が話しかけてくれる。内容は興奮して入ってこなかったけど。はぁぁ…!!うそやろ!?有名人に話しかけられるなんてこんなに嬉しいんやな!あとでみんなに自慢しよ。どうやらワンちゃんがいつの間にか怪我をしていたみたいで、治してもらった。…包帯とかではなく、能力で。
「うち遊園地に迷い込んだんか…あ、ありがとうございます」
同様しているのがばれないようにいつも通り丁寧にお礼を言うが、内心はヒヤヒヤしている。なんせ普通の人では出来ない可笑しい点に気づいてしまったから。回復能力?能力者なんかな…この人うちのとこにはおらへんし、だとしたらやっぱり…そうなってくるんかな。えぇ…まさかな…
先程の嬉しい気持ちはどこかへ行き恐怖心が募ってくる。犬と戯れてる彼の笑顔ですら怖くなってきた。
「ねぇ、君って…いや、まさかとは思うんやけど…紫丁香花の人ですか?」
まさか、アイドルの人と尋ねる前に紫丁香花の人と尋ねる方が先になるとは数秒前までは思いもしなかった。この聞き方はずるいけど、この問いかけに直様反対して欲しい気持ちでいっぱいだった。
なんでなん…アイドルの人が紫丁香花なんて聞きたくないやんけ。いつもニコニコして笑顔を届けるために活動してる人が、真逆の立場の組織におるなんて…そんなん嘘やって言ってほしい。この人の裏の顔を知ってしまう気がして気が気でなかった。
歩いていると犬を連れた人を見た。俺はまあ忍び込んでるみたいなもんだけどあの人は迷い込んだっぽいみたいだな。まだ開いてないって言うべきか。いや俺の事知ってたら困るしな。まあ、こんなとこに居るとは思われてないだろうし今の俺はアイドルっぽくないからいけるだろ。
「ソコのお姉サン、ココはまだ開いてないですよ。犬のおさんぽでしたらココよりも公園とかのほうが向いてるんじゃないですか?ボクはまあ、ちょっとしたおさんぽみたいなもんですよ。それにこんなところだとワンちゃんも狭くてケガしちゃうかもしれませんし。ほら、ココちょっとかすりキズが付いちゃってますよ」
いたいのいたいのとんでけー、と呟いて犬の怪我を治す。ま、このくらいなら能力使っても相手が能力者でもない限りバレないだろうし。そう思いながら微笑んで犬の頭を撫でた。
近所のおばさんに今日だけの条件で預かっていた犬の散歩に出かけてたが、むちゃくちゃに走り回る犬のリードに引っ張られて、もうどうすることにも出来ない。止まれって自分が引っ張っても止まらないし。で、気づいたら遊園地の前にいた。朝方だからだろうか、全然人がいない遊園地はやっぱり風景がなれない。見える範囲では中にはスタッフの数人が朝から忙しなく動いているのが見えた。せや、まだ朝やもんな。開いてないのは当然やんな。
さっきまで中を少し覗いてみたいとか考えてしまった自分がアホだ。ここにいても何もすることないし犬の散歩に戻ろうと方向を変えた時、一瞬だけどこかで見たことのある顔があった。話したことはない赤の他人なんやけど、なんや…どっかで見たことある顔や。と一生懸命思い出そうとする。
「んん…ん?あぁ!!思い出したわ!あの人ってアイドルの人やんな!?少しだけ見たことあるで、名前は…忘れてしもうたけど」
そうだ、ファッション雑誌で1ページぐらいだけど載ってた。その顔だ!名前は流石にそこまでは思い出せないけど。でも、なんでそこそこ有名な人がここにいるんだろうか。と疑問に思ってしまって、散歩どころじゃなくなってしまった。
「遊園地って一人だとなんも楽しくねえな。ま、そもそもまだ開いてないんだけど」
開園前の遊園地をぷらぷらと回る。ジェットコースターもメリーゴーラウンドも何も動いていない。ただスタッフは既にいるので見つからないようには歩いているつもりだ。やっぱ、つまんない。うーん…誰か誘えばよかったかな。
「やっといなくなった…」
二人がいなくなったことを確認して、風たちの方へ向かう。途中で味方が閉じ込められている氷を見つけたが、明らかに凍死していそうだったので少し考えてから素通りした。
「少し休んだら風さんのところと合流しようかな…」
杏奈たちが見えなくなったところで能力は解除されたが、気分はまだ良くない。ちょっと無理しすぎたかな。そう考えていくうちにぱたりと倒れた。このまま眠ってしまったら凍死しそうだなあ。
杏奈が先に能力をかけてくれたおかげで戦闘もなく楽に取り返すことが出来た。彼が荒く投げてくる斧をナイスキャッチで取る。ひとまずは何事もなく帰れるから安心だ。自分が怪我する分はいいが背負っている杏奈に被害が出てしまったり、自分が怪我した姿を見て悲しむのは雫だもんな。その時はなんて言い訳したらいいか分からない。
彼が何もしていないスキをついて逃げる。逃げている途中で杏奈が何か声をかけてくる。どうやらあいつは杏奈だけではなく雫や真衣も倒そうとしていたようだ。まぁ、敵だから狙うのは普通だと思うけど少し危険視してたほうがいいな。
「へぇ…雫を傷つける人ねぇ。どうせなら大きないたずらをしてやったほうが彼のためだったのか。次あった時どんないたずらしよ〜」
まだちゃんと戦ったことはないから彼がポーカーフェイスなのか、それともいい反応を取ってくれる人なのかは知る由もないけどどうせなら驚かせたい。今度会った時どういう仕掛けをするか考えていると楽しくなってくる。
「ああ…これですか。その子、さっき戦ってるときにほとんどそれ使ってなかったようですけどね。おれがそうそう悪い人に返すと思わないでくださいよ、ってぐぁ…返すからお嬢ちゃん、それやめて」
悪態をついてみたがまたあのちびに能力をかけられた。仕方なく斧を投げ返すとちびがにまーと笑った。おれ、精神力鍛えなきゃな……
【瀬戸大橋/杏奈】
ふわりと体が浮き上がってから少し経っておぶわれたことに気づいた。んーと、漣さんかな。雫ちゃんのことはいいのかなあ。でも、漣さんがいるってことは雫ちゃんはぶじに帰れたんだろうね。安心していると漣さんがあいつになにか言いはじめた。わたしの斧を返せって言ってるんだ。でも、返す気ないみたい。能力をもう一回かけ直すと漣さんにすなおにわたしの斧を投げた。
「おにーさん、次会ったらこんどこそぶったおしてやるからね。わたしをなめないでよ」
いっちょ前に偉そうな啖呵を切ったものの眠気で舌っ足らずなのでどちらかというとかわいいものになってしまったようだが、本人はあまり気付いていない様子。満足したようで漣に声を掛ける。
「帰ろ、漣さん。あ、そのおにーさんはわたしと月夜さんにしか手は出させてないけど雫ちゃんとか真衣さんのことも必要なら倒そうとしてたよ」
あいつ、めんどうだからって帰るなら二人のことは別に傷付けたくはなさそうだったからあんまり正確じゃないけど、こう言っておいたら漣さんもあいつのことは注意しておくんじゃないかな。
確か瀬戸大橋にいるって噂では聞いたけど、本当にいるのかよ。アジトから出て数分して瀬戸大橋に着いた。まだバチバチと戦っている所はあるみたいで杏奈が無事なのか心配する。戦いで常に思い出してしまうのが自分の過去。争いに何も関係も無い子供を助けることが出来なかった事が何も言い表せない残酷さと自分の愚かさと負の感情が色々混ざる。今回もそんな事無いよな、なんて変な汗が滲み出す。
「あ、杏奈!大丈夫?って眠い…のか?ほら、おんぶしてあげるからちゃんと捕まってろ」
見つけた杏奈はだるそうにふらふらとしていた。どうやら眠いらしいが、これも相手の能力の力であろう。このまま杏奈を歩かせたら色々な危険がある気がするので彼女をおんぶすることにする。彼女の背に合わせてしゃがんで背中を向ける。
「えーっと、この子敵よね?その武器私に返してもらってもいいかしら。武器は戦う人にとっての相棒的存在なのよ。だからごめんなさいね〜 返してくれそうにないなら無理矢理奪うけどいいかしら?ふふっ。」
そのまま杏奈を背負って帰ろうとしたけど彼が手にしていた、杏奈の武器であろう物が気になって帰る気が失せた。剣士にとって武器なしでは何も出来ぬことから人一倍武器を大切なものと思ってしまう。
相手がどう動くかは読めないが、後で戦うとなると、急に男性の声に変わるとか騙し討ち出来るかなと考えて今は女性になって相手を騙すことにする。そうなると杏奈にも協力してもらわないといけない。背負っている杏奈に口元に指を当てて、口から息を漏らしやんわりと「しー」と言う。自分が男だとあの人に言わないでねという意味を込めて。
「ふぁ… 」
あいつ、めんどうな能力もちだったみたいなのかな。寝ちゃいそう……あーあ、このまま寝たらせっかくふりきったのにほかのやつにやられちゃうなあ。あのへらへら野郎に帰ったときに笑われないといいけど。嫌味ったらしく言ってくるしあれ、絶対正体現さないで言ってるし。化けの皮をはいでやりたいのに。
そう考えながらも一歩一歩ふらふらとアジトの方へ歩く。
「そう…疲れたら私一人ででも月夜さん抱える。から言って、ね」
真衣ちゃんは大丈夫と言ってくれていたが息が切れている。だが、自分自身もどんどん体が重くなっていく。でも急いで確実に月夜さんを含め全員で紫丁香花のお家に帰りたい。途中からは何も考えずに足を動かしている。
ふと、杏奈ちゃんは無事かどうかと心配になるが杏奈ちゃんなら笑って追いついてくると自分に言い聞かせて歩き続けた。
雫が見えなくなったところでがくっと足元から崩れ落ちる。『絶対無理しないでね』って言われたけど、既に手遅れなんじゃないかな、これ。
「無意味な戦いはしないんじゃなかったの?わたしのこと、どうする気?」
気を抜くと意識が持っていかれそうになるのを耐えて眠を睨みつける。
【瀬戸大橋/眠】
「戦いたくないから眠らせようとしてるんですけど…」
へろへろに投げられた火を避けて歌い続けると杏奈がよろけた。その隙に相手の武器を奪う。
「ほら、これであなたはおれに勝てないですよ。おとなしく帰ったらどうですか?」
さっきの他の人もいなくなったことだしこれで帰ってくれないかな。寒いし早く帰りたいなあ、と気を抜いた隙に相手が能力を強めてきた。不快なものを見せられたようで、頭を抑えてうずくまる。これじゃおれは能力をかけ続けられない。相手はこれが狙いだったのか。眠が苦しんでいる間に少しずつ杏奈が離れていく。おれが言ったとおり帰るんだろうなあ。
雫が見えなくなったところでがくっと足元から崩れ落ちる。『絶対無理しないでね』って言われたけど、既に手遅れなんじゃないかな、これ。
「無意味な戦いはしないんじゃなかったの?わたしのこと、どうする気?」
気を抜くと持っていかれそうになるのを耐えて眠を睨みつける。
【瀬戸大橋/眠】
「戦いたくないから眠らせようとしてるんですけど…」
へろへろに投げられた火を避けて歌い続けると相手がよろけた。その隙に相手の武器を奪う。
「ほら、これであなたはおれに勝てないですよ。おとなしく帰ったらどうですか?」
さっきの他の人もいなくなったことだしこれで帰ってくれないかな。寒いし早く帰りたいなあ。
杏奈ちゃんがあの男の人の相手をしてくれるそうだ。時間を稼いでくれるのは有り難いことだけど、どうか無事でいてね…と背中を向けて願う。
「う、うん…私は…大丈夫です。月夜さんを優先で…」
雫ちゃんの問いに大丈夫とは言っているが、体力はもうアジトに着くまでには保ちそうにもない。けど、月夜さんを優先にして運ばなきゃいけないという意思はちゃんと持っていた。雫ちゃん一人だと月夜さんに手を貸すのは難しいと思うし…いや、こんなことで弱音を吐いちゃいけない。皆無理をしているんだ。そう自分を奮い立たせて力を振り絞るしかなかった。アジトまであとどれくらいか分からないけど、大丈夫。きっと着ける。大丈夫…
「あ。痛かったのごめんなさい!気が回らなくて…お礼言われるようなこと、してない。じゃあ担ぎます。真衣ちゃんも体、大丈夫?」
しまった。もう少し気を付けて抜けばよかった。早く抜くことに気を取られすぎた。それでもありがとうって言ってもらえたのはなんだかすっごくうれしかった。でも相手は痛かったんだし、素直に言うのも恥ずかしくてうまく言葉にできずにぶっきらぼうな口調になってしまった。 真衣ちゃんも月夜さんのことを一緒に担いでくれているけど沢山能力使ったから大丈夫か心配だ。
「杏奈ちゃん、では一足先に紫丁香花に帰るけど絶対無理しないでね。」
そう杏奈ちゃんに伝えてから真衣ちゃんと一緒に月夜さんを担いで歩き始めた。
「あ。痛かったのごめんなさい!気が回らなくて…お礼言われるようなこと、してない。じゃあ担ぎます。真衣ちゃんも体、大丈夫?」
しまった。もう少し気を付けて抜けばよかった。早く抜くことに気を取られすぎた。それでもありがとうって言ってもらえたのはなんだかすっごくうれしかった。でも相手は痛かったんだし、素直に言うのも恥ずかしくてうまく言葉にできなかった。 真衣ちゃんも月夜さんのことを一緒に担いでくれているけど沢山能力使ったから大丈夫か心配だ。
「杏奈ちゃん、では一足先に紫丁香花に帰るけど絶対無理しないでね。」
そう杏奈ちゃんに伝えてから真衣ちゃんと一緒に月夜さんを担いで歩き始めた。
「っ…精神作用系統ですか。ちびっこはおとなしくおうちでおねんねする時間ですよ。おれが子守唄でも歌ってあげましょうかね」
抜かれた短剣を引っ張るとくるくると紐を回して短剣を回す。少し意識を持っていかれかけたが、なんとか引き戻した。あの倒れてた人は他の二人と帰るみたいだけど一人残るんだな。それならば、と考えておとなしく帰ってくれる三人には届かない大きさで歌い始める。これくらいならふらつき程度で効くはず。
【瀬戸大橋/杏奈】
「ありがと、うん、早く戻らないといけないよね…あいつぶっ倒してから帰りたかったけどさすがに無理みたい。できるだけ足止めするから月夜さんをよろしくね」
ぶっ倒してやろうと思ってたけど、疲れてきたのか少しふらふらするなあ。あいつが言う通りみたいでやだなあ。
「ちびっこじゃないよ、おにーさん。わたしだってりっぱな能力者なんだから。おにーさんを焼きつくせるんだからね!」
むかついたまま適当に火を投げる。おにーさんはあのナイフを投げられるけどわたしの斧は近くからじゃなきゃ難しい。だったら今は火を投げることしかできない。
「イッッ…もう少し優しく抜いて欲しかったのだけど。まぁ…ありがと…」
背中に刺さっていた短剣を引っこ抜いてすぐに冷やしてくれている。短剣を抜かれたときの痛さの衝撃も凄かったけど、冷やされる時にじわじわと背中からドライアイスを生で浴びているみたいになる。ありがとうと誰かにお礼を言うのは嫌いじゃない。嫌いじゃないんだけど、中々素直になれない自分がいて照れくさかった。けど、命を助けてくれた仲間だし…でも、やっぱり言ったら気恥ずかしいわね。と複雑な感情になる。
【瀬戸大橋 真衣】
どうやら雫ちゃんの応急処置は上手くいったみたいでひとまず安心する。もうツタを戻しても大丈夫なんだろうか?恐る恐る力を入れていた手を離して、ツタを戻す。するとそこにはぐっすりと寝ているさっきの人と杏奈ちゃんがいた。さっきまであんなに戦っていたのが嘘みたい。落ち着いた顔で寝てる…
「あ、はい!杏奈ちゃんのおかげでこの男の人からは逃れる…かな?雫ちゃん、月夜さんを担いで行きましょう。雫ちゃんは、片方の方お願いします」
雫ちゃんの声で考え事から現実に戻されて、月夜さんの右肩を担ごうとする。もう片方は雫ちゃんに任せるとする。自分より年上の女性を運ぶのは不安だし、さっきの能力で体力を少し使ってしまったから自分が倒れるか心配だけど、今は月夜さんだよね。
「分かった。ナイフを抜いてすぐに冷やして固める。」
杏奈ちゃんから助言を受けて、一度口に出して自分に確かめた。もたもたしてたら月夜さんの体に負担をかけてしまう。1度大きく息を吸ってはいた。そして心を決めて月夜さんのナイフを抜き出血する前に冷やして止血した。ただし応急処置なのでできるだけ早く紫丁香花に戻らなければならない。
「真衣ちゃん、杏奈ちゃん、月夜さんの応急処置終わりました。あくまで応急処置だからなるべく早く紫丁香花に帰って処置をしないとだと思ういます。」
自分自身月夜さんの処置がうまくいってほっとしていた。が、まだいろいろ問題が残っていて気を引き締める。
「げっ……せっかく一対一のが終わって帰れると思ったんですけど。もう一戦とか嫌なんですよ…見逃してくれませんかね…?」
ツタに巻き込まれる前に銃から手を離す。銃の方に意識を向けていて気づかなかったのだが、また人が増えたようだ。それも、敵の方が。
これだけやっておいて無条件で解放してくれるわけないだろうし、もう一戦は確定として三人も対応するのは大変だな。あのちびっこ、さっき火投げてたやつだし。これは、見逃してもらえなさそうだ。
「はいはい、お好きにどーぞ。煮るなり焼くなり何してもいいですよ。殺されたくはないですしあんまり深手を負うのも嫌ですけどね。その方をそうしたのはおれなので、しかたないですよね」
そう言いながら両手を上げる。
【瀬戸大橋/杏奈】
「おにーさん、焼くってもしかしてわたしがさっき焼いてたの見てたの?」
相手は弱気だけど月夜さんをここまでしたのだから倒すしかない。煮るなり焼くなりと言われたのだからお望み通り焼いてやろう。焼くだけじゃ足りないかな。悪夢も見せよう。
「おにーさんなんて、夢に溺れちゃえばいいんだよ」
血を流す月夜と眠のむかつく態度に気を取られて、眠が小さく歌っていることに気づかず、そのまま眠に能力をかけながら雫の問いに答える。
「えーとね、ナイフが栓になるから抜いちゃいけないってことだったはず。だから、抜いてすぐ固めるのがいいんじゃないかな。そうしたら出血量は減らせるはず…」
「げっ……せっかく一対一のが終わって帰れると思ったんですけど。もう一戦とか嫌なんですよ…見逃してくれませんかね…?」
ツタに巻き込まれる前に銃から手を離す。銃の方に意識を向けていて気づかなかったのだが、また人が増えたようだ。それも、敵の方が。
これだけやっておいて無条件で解放してくれるわけないだろうし、もう一戦は確定として三人も対応するのは大変だな。あのちびっこ、さっき火投げてたやつだし。これは、見逃してもらえなさそうだ。
「はいはい、お好きにどーぞ。煮るなり焼くなり何してもいいですよ。殺されたくはないですしあんまり深手を負うのも嫌ですけどね。その方をそうしたのはおれなので、しかたないですよね」
そう言いながら両手を上げる。
【瀬戸大橋/杏奈】
「おにーさん、焼くってもしかしてわたしがさっき焼いてたの見てたの?」
相手は弱気だけど月夜さんをここまでしたのだから倒すしかない。煮るなり焼くなりと言われたのだからお望み通り焼いてやろう。焼くだけじゃ足りないかな。悪夢も見せよう。
「おにーさんなんて、夢に溺れちゃえばいいんだよ」
血を流す月夜と眠のむかつく態度に気を取られて、眠が小さく歌っていることに気づかなかった。
月夜さんのとこへ着き、真衣ちゃんが周りをツタで囲んでくれた。急いで月夜さんの元へ行き声をかけた。
「月夜さん、失礼します。今から傷のところ冷たくなっちゃうけど、ごめんなさい。」
そういって急いで、でも慎重に傷口の周りと傷口の気温を下げていく。少しづつ月夜さんから出血が収まってきた。しかしそこであることに気づいた。ナイフがまだ月夜さんの体に刺さっている。
「杏奈ちゃん、ナイフって抜いたほうがいいの?一応抜いた後傷口を固めることはできるけど…」
こういう時に自分の知識の少なさにイライラする。なんか、急に抜いたらいけないらしいけど今はどうなのだろう。冷やして固まるならいいのだろうか?体の構造を知らない以上考えても仕方がないので杏奈ちゃんに頼る。なるべく早くしないと杏奈ちゃんたちも長く能力を使っているのは大変だろうと思った。
「わかった。じゃあ、後ろの紫陽花の人は杏奈ちゃんにお任せする。じゃあ、私と真衣ちゃんで月夜さんのところへ急ごう。杏奈ちゃん、気を付けてね。」
杏奈ちゃんがまた戦闘に行ってしまうのはとても心配だった。怪我でもしたらどうしようと思うが、杏奈ちゃんは強いからと自分に言い聞かせて真衣ちゃんに合わせて歩いた。あともう少しで月夜さんのところにつく。しかし紫陽花の人と月夜さんが近いのに気づき、一発氷を飛ばした。
相手に色々言われ、ここでスルーしたら済む話しなのに反論せずにはいられなかった。彼女の負けず嫌いでプライドの高い性格が邪魔をする。
「紺…あの人妖怪だからそんな歌が聞くかどうかも…分からないけどッ。そんな物騒な言葉私に向けないでくれる?もう一言多かったら殴るところだったわ」
いや、いっそのこと殴ろうかと思った。お互いに意地を張り合って負けるときが来る気配はしない。銃口を手で塞いできたが、その前にあんな物騒な言葉言われたら引けなくなってしまった。こんな言葉で踊らされる自分も馬鹿だけど。
「ん?あの子たちなぜここに…えっ、ちょ…な、何する気なの」
後ろからあの子達が来ることは承知していたけど、まさか自分より年下の子に座らされたのは予想外。動揺するが彼女の表情からは少しも動揺しているとは読み取れない。さっきの風景を夢のようにツタ達が壁になって視界を消してくれている。だんだん相手の顔が見えなくなって緑だけの風景になってしまった。まるでさっきのが夢で現実に戻されたみたい。いや、逆なのかもしれないわ。
【瀬戸大橋 真衣】
「は、はい!分かりました!私の体力の限界にもよりますけど…フェリーチェコなら少しは周りをツタで取り囲めるかもしれません」
杏奈ちゃんの指示通りに動こう。体力が皆を最後まで守りきれるかどうか怖いけど…でも、守らなきゃ。皆、私に気づかれないようにやってくれているけど気づいてた。皆私のために歩数を合わせてくれている。先に行ってくれてもいいのにと申し訳なく思うけど、それと同時にそんなの当たり前だろと言ってくれているような皆の気遣いが嬉しかった。やっと月夜さんの所へ着くことが出来た。ピリピリとした空気がずっと続いている。
「雫ちゃん月夜さんに…止血手当をお願いします。今のうちにッ…!」
目的地に着いた時にすぐに月夜さんと雫ちゃんと自分の周りを何本もの大きな太いツタを地面がら呼び出す。地面から這い上がっていくのでゴゴッとすごい音と振動がする。
少し振動を与えちゃうけど…ごめんなさい月夜さん!自分の後ろで手当をしてもらっている月夜に心で謝る。大丈夫か傷口は深くないのかとか一番気になるけど、今の自分の役目を果たそう。そう心の中で決めて皆に背中を向けて頑張ってみる。
「はあ、俺はそろそろ終わらせたいんだけどなあ。どーせそのままだったらお前は死ぬだろ?じゃあわざわざ面倒なことはしたくない。それに武器を返してほしいだけだからな。止めれば?大人しく寝てろよ。今だったら俺の仲間も巻き込まないで済むからな。歌のリクエストとかある?最後の晩餐ならぬ最後の鑑賞」
戦ってる間なんてずっと強がってるだけ。強がり続けるのも疲れるしこの人は素のおれと会ったのが最初だからもう強がるのもやめてもいいかもな。
「おれ、そういうことはゲームでしか楽しいって思えないんですよ。リクエストがないならレクイエムとかですかね。鎮魂歌ですけど、化けて出てこられるとかも怖いから死にそうな人にも効くと思うんですよ」
にこりと笑って言い、銃口を手で塞ぐ。これで敵意がないことは証明できるよな…?
【瀬戸大橋/杏奈】
「あ」
一目であれは助からないんじゃないかなあ、と判断する。少し左によってるから背骨に当たらなかったみたいだし深そう。心臓まで行ってないといいけどなあ。動揺しすぎて逆に冷めた考えしか浮かばないなあ。
「うん、わかった。わたしは回復とかは何もできないからあの人ぶっ倒すね。真衣さんは雫ちゃんが治療中に攻撃されないように守る係お願い。できる範囲でいいです。あの人、さっきの火投げてる月夜さんに手出しほとんどできてなかったってことはわたしなら倒しやすそう」
そう言いながら真衣に歩数を合わせるように走る。
真衣ちゃんの視線をたどり、見えた先には怪我をした月夜さんがいた。さーっと血の気が引いたのを感じた。あまり話したことはないが仲間だし、あんなに辛そうにしている。
「私、回復系の能力は使えないけど冷やす事ならできる。確か冷やすと血管が細くなって止血しやすくなるって聞いたことがあった気がする。」
というのも、れんにいから聞いたことだ。まぁ、今のことを帰ったらちょっと話してみようかな…と一瞬考えたがすぐに頭を切り替え月夜さんを助けるために急いで足を動かした。
「そうですか。早く終わってほしいですけど…む、無理ですよね…」
そっか…良かった…相手を殺さないよりかはマシかな。こんな戦争を止めたくても止められないことを落ち込んで目線を違う方へ向けると偶然月夜さんを見つけた。あれは月夜さん…えっ…ナイフ…!?怪我をしている事に衝撃が走る。
「か、回復系の能力の方はいらっしゃらないんですか!?雫ちゃん、杏奈ちゃん、ひとまずは月夜さんの怪我を何とかしないと…!行きましょ」
多分私達の中に回復系の能力の持ち主はいなかった気がする。そんなの分かってた。分かってたけど、呼び出したらいるかもと思ってしまった。そんな訳ないのに。雫ちゃん達を誘導し、月夜さんめがけて飛び出していく。私達に背中を向けているから余計傷の痛さが分かってしまう。その上に拳銃を相手に向けているということはまだ戦うつもりなんだ。きっと月夜さんは無理をしている…早く止めないと、助けないと。と思う気持ちは加速していくけど、足はその逆で思うように動かなくて体力がない自分を憎みたい。
柵に捕まり一歩一歩歩いてきたが、速度は亀ぐらいののろまだしそろそろ限界が近づいている気がする。
「くっ…」
自分なりに力を振り絞って歩いてきたが、もうだめだ。膝から上半身に何の抵抗も無く力尽きてドサッとその場で倒れてしまう。まだ短剣は刺さったままだ。無理矢理抜くと出血がひどくなるとか言われいるし傷口に蓋をしてくれているからである。もう逃げる体力もこっちは残っていないのよ… 死んでも…
ここで人生終わってもいいかなと瞼を閉じて考え、昔の事がフラッシュバッグしてくる。この瞬間を手に入れるために紫丁香花になったもの。実際、紫陽花と紫丁香花の戦いなんでどうでもよかった。世間の立場から悪者になって一人で確実に死ねるから。
もう剣を抜いて死のうかなと背中に手をやったとき小さな光が差す。らず… らずのことを思い出す。そうね、らずが大きくなるまでは面倒見なきゃ誰が見るって話よね。全く…世話の焼ける子だわ。
「ゲホッゲホッ…昔の自分ごめんなさいね。死ねる瞬間は来たけど、まだ死ねないみたい。ねぇ、貴方。少しぐらいは楽しめるかもね。」
昔の自分にそう言うと口から垂れている血を手で拭き起き上がる。白い手袋がシミになってしまうが後で取ればいい。能力を解き、手すりを掴まらないと起き上がれない姿を見ると体力はあるとは思えないが、威勢のいい顔で眠に言う。後ろから眠がついてきてることは知っていた。武器の二丁拳銃を両手に持って構える。
「は~い。眠くんも気を付けてね。」
そう伝えて、なんかすごいことをしている環ちゃんと風さんのとこへ駆けて行った。
【瀬戸大橋/雫】
「ただいま。えっと、一人は眠らせておいたから当分起きないと思う…あっちのほうは凄い音と光…」
真衣ちゃんにもけがが無いみたいで本当に良かった。なんだか少しずつ、少しづつだけど戦闘が収まってきている気がする。気のせいかもしれないけど、とも思った。 今戦っているのは誰なんだろう。私はあまり賢くないから考えても仕方がないと思い、杏奈ちゃんと真衣ちゃんから何か言われるのを待った。
「は~い。でも、いつあの狐さんに代わるかわかんないから気を付けてね…。」
そう眠くんに言って風さんたちのいるところへ駆け寄っていった。
【瀬戸大橋/雫】
「真衣ちゃん、ただいま。えっと、これからどうすればいいかわかんないから真衣ちゃんに聞きに来た。」
本当にいろんな所ですごい音が鳴ったり光ったりしている。そう思いながらなんとなくみんなの戦闘している方を見ると誰かが負傷して歩いていた。目を凝らすと月夜さんが背中にナイフを刺されている。そしてその後ろには紫陽花の人が来ていた。
「ねえ。月夜さんが負傷している。後ろには紫陽花の人。杏奈ちゃん、真衣ちゃん私あっち行ってくる。」
そう伝えて急いで走り出した。走りだしたとき、杏奈ちゃんや真衣ちゃんの答えも聞くべきだったかと思ったがそんな時間はないと思い、月夜さんのほうへ近づいて行った。
「え、えーと、私の能力は状態変化なので傘の骨組みをぐにゃぐにゃにはできますですけど…まあ、できますですよ!」
近付かなければ使えない能力ですですけど頑張れば大丈夫ですですよね。私もお役に立たなきゃですですし。
そう考えて歪夢の元へ走り、杖で傘に触れて変形させる。
【瀬戸大橋/眠】
「あー、そうだな…モカは風のところ行ってろ」
そう言い残して月夜を追う。短剣刺したままだと俺も引っ張られるんだよなあ。犬の散歩みたいだな。
あぁ、ちょっといいすぎちゃったかも…あの狐の人をもっと怒らせちゃった気がする。もっと襲ってくるかと思い、身構えたが予想外に私たちを背に去っていこうとして眠くんの短剣が狐の人の背中に刺さった。
「あっ」
っと声が出てしまった。あ~今度こそ怒っちゃうよ と思った。しかし今度もまた予想を裏切り全くあの狐さんとは違う人になっていた。性格もさっきの狐さんとは違う気がした。あの狐さんのように殺す気満々という感じではないし戦う気もないらしい。
「眠くん、もう戦う気ないみたいだし…いいよね?」
そんな…あんな大きな雷をその身で受けてもうんともすんともしないなんて…あの子本当に人間なの?自分でも相当巨大な雷を落としたつもりなのに叫んで、その後普通に動ける彼女を見て落胆する。いや、そもそも人間じゃないのかも。雷でも相手には無理だと分かったので落としていた雲を散らばるようにする。
「環さ、あの傘を変形とか出来る?あたしの雷が効かないなんて何かムカつくわー」
今度はあの傘で何をしでかすのか知らないけど妨害できるものならしとこう。ということで傘をグニャグニャにもできそうな環の能力を借りる。その間に次の策を練るとでもする。
吹雪もだめ、雷もだめ、だとすれば雨を降らせてもみぞれを降らせても同じことをされるわね。霧や暑さはどううかしら?辺りの天候をうまく活用すれば蜃気楼を作れるかも…?よし、やってみるしかないわね。相手を一旦環に任せて自分の周りの天候を変えてみる。
【瀬戸大橋 真衣】
杏奈ちゃん達が行ってしまった後、物陰からひっそりと隠れて状況を観察していた。わ、私ここにいて正解だったかな…?足手まといどころかだた見に来ただけの人の気がするんだけどなぁ…
きっと遠くからなのに雷のかなりの音が響いてきたり、どこかで眩しくて目が焼けるような色の炎が燃えていたりこれは大変な事になっているだろうな。と想像しなくても激しい戦いが起きていることが分かる。かと言って、紫陽花の方たちを傷つけるわけにもいかない。だって…私は紫陽花に…と考え始めた所にちょうどよく杏奈達が自分の元へ帰ってきているのが見えた。
「あっ、杏奈ちゃん雫ちゃんおかえりなさい!ど、どうでした?色々大変そうな事が起きてる気がするんですが…」
取り敢えず杏奈ちゃん達には何の負傷も無いようで安心する。こんな酷い戦い早く終わって欲しいな…なんて小さく心の中でそっと願いながら戦闘する人ではない考え方をする。
「幼稚園…?とはなんぞや?わらわ人間界の事は絶えて分からぬ。分からろうとする気もあらぬけどな。アハハハッ!」
全く忌々しいもの達じゃ。そんな言葉を吐いてもあと数秒で大きな火の玉が来るというのに。人間は最後まで本当にしつこい生き物じゃな。世界には数え切れぬほどの人間が生まれて、死んでいるのに何一人の人間に対してそんなムキになっているのか分からぬ。
眠の煽りの言葉に見事に煽らされてかなりイライラしてきているが、暴言しか吐かない馬鹿が、そんな劣等種との醜い争いにわらわのこの能力を使うと汚されそうで恐ろしい。もう帰った帰ったという呆れ顔で、彼女たちのいる方を背後に去っていく。はずだった。
グサッと鈍い音が耳近くで聞こえて、背中には痺れる程の痛みを感じる。クッ…これはッ…!あいつ…!目線を痛い方へと走らせていくと短剣が深い程に刺さっていた。人間に対する憎しみと月夜の体を傷つけてしまった自分の愚かさが混ざって分からない感情になる。
「ハアッ…アアッ…紺は…何をしているのよ。ご…ごめんなさいね貴方達…迷惑をかけたわッ。まぁ、貴方達も他の人から迷惑だと思われてるんでしょうけど。今は戦う気は無いの…実際…刺されたし、じゃあ」
何も声を発しない何秒間があり、その次の瞬間さっきまでの狐とは違う声、髪色、話し方になる。痛さを我慢しているせいか、話し方がぎごちないが毒舌は生きているもよう。相手に手加減を求めて能力で自分の姿を消してその場から逃げるように進んでいく。背中に大きなダメージを負ったもので普通の速度で歩けない状態になっている。取り敢えずこの人たちから遠ざけない…と… 痛みを我慢しつつ頑張って歩く。
「あばばばばば!!シビレルー!」
雷を当てられて痺れその場にうずくまる。だが直ぐに回復しマントの陰からこうもり傘を取り出す。
「うん!次のマジックはこの傘を使うんだよ!」
歪夢は大きく飛び上がり風の行く手を遮るように立つ。そして手に持ったこうもり傘を開いて軽く振り回し始める。
本当にあのお姉さんは凄いなぁと思う。そして、つくづく仲間でよかったとも思う。あんなすんごい火を投げられたら相手としたら恐ろしいだろう。と考えていると杏奈ちゃんから呼ばれた。
「はーい。今行く。」
そう言って小走りで杏奈ちゃんと真衣ちゃんのところへ近づいて行った。
「うん。ほかの人お手伝いしに行く。狐のお姉さんすごいねぇ。1人で2人相手して余裕で笑ってる。
あ、そうだね。真衣ちゃんのとこに聞きにいこ。」
本当にあのお姉さんは凄いなぁと思う。そして、つくづく仲間でよかったとも思う。あんなすんごい火を投げられたら相手としたら恐ろしいだろう。と考えていると杏奈ちゃんから呼ばれた。
「はーい。今行く。」
そう言って小走りで杏奈ちゃんと真衣ちゃんのところへ近づいて行った。
「ありがとう、雫ちゃん。てことは、他の人のお手伝いしに行く?狐のお姉さんは強そうだし、あっちの雷落ちたところとか」
あの雷落とされるのは嫌だけどあのままだとあの人やばそうだし。わたしだけじゃ足手まといかもだけど真衣さんと雫ちゃんもいる。
「んー、とりあえず真衣さんのところに戻って聞いてみよう!」
そう言ってぱたぱたと駆け足で向かい、途中で早く早く、と雫を促す。
「うん。分かった。じゃあ、おやすみなさい」
そう言って相手側のこの近くにより周りの温度を下げ、眠らせてあげた。ここに来て初仕事。杏奈ちゃんの役に立ててよかった。
多分この戦闘が終わった頃にはめがさめると思う。
「あ杏奈ちゃん、終わったよ。多分しばらく目、覚めないと思う。多分だけど…」
「あ、雫ちゃん。そうだね、凍らせてもらおうかな」
凍らせて少し経ったら本当に眠ってしまうから能力をかけ続けなくて済むしこの人も眠ることができて幸せだろうし。
そう考えて雫の提案に頷く。
狐さん、いや、いまちょっと怒ったからさんってつけない!あの狐…が私はともかく、みんなのことを悪く言った。正直前まではチカ以外の人がどういわれようと関係ないと思っていたけど最近はそうではなくなってきた。眠くんや風さん、環ちゃんたち…仲間のことを悪く言うなんて許せない。
「ねえ、あんた。私はともかくみんなのことを悪く言うとか許せない。それに、その人を見下したような目と笑い方やめて。」
【瀬戸大橋/雫】
ここから見ているとここだけ異世界みたい。ふぶきがおきたり、火の玉ふったり…あ、杏奈ちゃんの魔法が相手にかかったみたい。
「杏奈ちゃん、その人動かないんだったら冷凍しちゃう?」
きっとずっと魔法をかけておくのは杏奈ちゃんがもたないだろうし。まぁ、冷凍までとはいかなくてもしばらく意識を失わせるくらいでもいいけど。
「わかりましたです…!私でもできることがあったら言ってくださいですよ。仲間ですですから。化合とか分解とかはできませんですけど、ものの状態変化はできるですから」
そう言って下がると歪夢を睨んでみる。
うう、足手まといにしかなれてないですよ…やっぱり大人しくしておくべきだったですかね…?ううん、今はそんなこと気にしてる場合じゃありませんです。次の行動のために何が起きるかちゃんと見ておかないと。
そう思って歪夢と風の様子を観察することにした。
【瀬戸大橋/眠】
特段意識して言ったわけじゃなかったのだが、『かっこいい』と言われて少しドキッとする。いやまあ、仲間は守らないといけないだろ?
話が反れた頭を冷静さを戻すためにデコピンをすると、狐が文句を返してきた。
「わー、もしかして俺地雷踏んじゃった系?」
やべーなー、と呟くとモカを月夜から遠ざけてWoolを発動させる。
「ていうか、弱肉強食ってねえ。劣等種がさっさと死ぬかっていうと微妙だし、俺は弱いけど負ける気も死ぬ気もないし?そんなに俺みたいな劣等種と話したくなけりゃお逃げになられたらいかがですかー?それに、モカは劣等種じゃねえだろ。あ、もしかして他の人間全員劣等種だと思ってる?ご愁傷様、強いやつも弱いやつもごまんと生きてるんだわ。もう一回小学校…いや、幼稚園からやり直して来れば?」
自分だけでなく仲間までも『劣等種』と言われた。おれは弱いから仕方ない。ただ、仲間を弱いって言われるのは別だ。その人なりの強さがあるだろう。それを否定されるのは嫌だ。そう思うと勝手に言葉になっていた。
自分でも煽りすぎたとは思ったが仕方ない。あの狐が悪い。
いらついた思考のまま短剣を投げる。あれだけの火を投げてた今ならば油断していそうだ。
【瀬戸大橋/杏奈】
あ、上手くかかったみたい。よかった。いつまで続くかわからないけど、なるべく長く留めておきたいな。そのうち時間とか忘れて衰弱死してくれると助かるんだけど。まあ、その前にわたしが力尽きちゃうかな。
周りを見てみると火が飛んでいたり雷たいなものが落ちていたり。
「これもこれで遠くから見ればわりと幻想的なのかもなあ」
そう呟いて能力をかけ続けた。
「わかりましたです…!私でもできることがあったら言ってくださいですよ。仲間ですですから。化合とか分解とかはできませんですけど、ものの状態変化はできるですから」
そう言って下がると歪夢を睨んでみる。
うう、足手まといにしかなれてないですよ…やっぱり大人しくしておくべきだったですかね…?ううん、今はそんなこと気にしてる場合じゃありませんです。次の行動のために何が起きるかちゃんと見ておかないと。
そう思って歪夢と風の様子を観察することにした。
【瀬戸大橋/眠】
特段意識して言ったわけじゃなかったのだが、『かっこいい』と言われて少しドキッとする。いやまあ、仲間は守らないといけないだろ?
話が反れた頭を冷静さを戻すためにデコピンをすると、狐が文句を返してきた。
「わー、もしかして俺地雷踏んじゃった系?」
やべーなー、と呟くとモカを月夜から遠ざけてWoolを発動させる。
「ていうか、弱肉強食ってねえ。劣等種がさっさと死ぬかっていうと微妙だし、俺は弱いけど負ける気も死ぬ気もないし?そんなに俺みたいな劣等種と話したくなけりゃお逃げになられたらいかがですかー?それに、モカは劣等種じゃねえだろ。あ、もしかして他の人間全員劣等種だと思ってる?ご愁傷様、強いやつも弱いやつもごまんと生きてるんだわ。もう一回小学校…いや、幼稚園からやり直して来れば?」
自分だけでなく仲間までも『劣等種』と言われた。おれは弱いから仕方ない。ただ、仲間を弱いって言われるのは別だ。その人なりの強さがあるだろう。それを否定されるのは嫌だ。そう思うと勝手に言葉になっていた。
自分でも煽りすぎたとは思ったが仕方ない。あの狐が悪い。
【瀬戸大橋/杏奈】
あ、上手くかかったみたい。よかった。いつまで続くかわからないけど、なるべく長く留めておきたいな。そのうち時間とか忘れて衰弱死してくれると助かるんだけど。まあ、その前にわたしが力尽きちゃうかな。
周りを見てみると火が飛んでいたり雷たいなものが落ちていたり。
「これもこれで遠くから見ればわりと幻想的なのかもなあ」
そう呟いて能力をかけ続けた。
「全部夢だったらよかったのに」か
最低限何かしてくるだろうなと思っていたから、相手の能力を甘んじて受けた。
痛くも苦しくもない、優しいだけの夢。
色々疲れた時にお世話になりたいものだ。
「いいなぁ」
夢とは分かっている、何時か覚めるとも理解している。
けど、それでも浸っていたい。
覚めないでくれと願ってしまう。
「依存症になったら恨むぞー」
その気ゼロな声でただ夢に浸る。
何秒か作戦を立てて話し合っていた姿を見て、劣等種を待っててあげた自分は偉いと思う。もっと褒めて欲しいぐらいだ。やっと行動し始め攻撃が来るかと思ったらどうやらまだ探り合いは終わっていないらしい。
「なぜわらわにそんなことを聞くのじゃ?この世は弱肉強食の世界じゃ。弱いものは死んでいき、強いものだけが生き残れるこの世。そなたのような劣等種らとは喋りとうない。さっさと消え失せろ!」
彼女の怒りに買ったせいで普段の倍の倍の倍の大玉ぐらいの火を彼らに投げつける。この大きさなら死んだも当然と思ったのか、彼らを見下してクククッと嘲笑いしている。これでもう終わりじゃ。劣等種は真に弱いものじゃ。こんな劣等種らと仲良くしている月夜は何なのじゃ…わらわに接してくれてもいいじゃないか!全く…不愉快極まりないものじゃ。
「ええぇ、敵に大好きって言われても…ねぇ?困るわよ」
追いかけてくる彼女の言葉に困惑な表情を浮かべる。敵同士なのに急に好きと言われても嬉しいとは言い難い。どうせなら愛しの空にその言葉を言って欲しかったわーー うーん なんでマジシャンに言われる羽目になるのかしら。なんて本音のことを思っていたら、自分の腕の中で環がぎゅうと縮こまっている。なんだか異様な緊張さを感じる。きっと環は襲いにかかるあのマジシャンを恐れているのだろう。
「環ちょっと下がってて、じゃないと命の保証はないわよ」
お姫様抱っこをしていた環を降ろして下がってろと命令する。彼女が下がったのを確認すると触れるとむわっとする温かい熱気とひんやりとする冷気をたくさん合わせて怪しい雲を作る。熱気と冷気各一つならば可愛いぐらいの攻撃にはなるが、彼女が今出しているのは周りに豪雨が起きるような雲。そこに触れるとピリッとするいわゆる雷の子供というものだろうか、それを雲にどんどん合わせていく。感が悪くても良くてもやることは分かるだろう。ただもう気づいても遅い。
「しびれるかもだけどっ、ごめんね」
そう言う彼女の言葉が雷を落とす合図のように小さいマジシャンの周りに雷が落ちていく。バリバリバリという物凄い音が耳に響いてキーンとする。きっと遠くにいる人も聞こえるだろう。こんな夜遅くに周りの人に迷惑だったかしら…
「だね~。できるだけ逃げて時間稼ぎかなぁ。眠っちゃって足手まといにはなりたくないし! 守ってくれるんだ…でも、極力がんばるね!なんかかっこいいね、眠くん」
眠ってしまってみんなの足手まといには絶対になりたくない。私は能力だけに頼り切ってたけど、ほかに戦えるものを作らないとだめだなぁ。こういう時にちゃんと戦えるように武器を使えるようにならないと…
ってか、眠くん 守るから なんて言われたら私だって仮にも女の子だよ~かっこいいって思っちゃうよ…
だめだ~~。戦闘中に頭ん中がぐちゃぐちゃになってる。切り替えなきゃ、と思いほっぺたを両手で叩いた。
「だね~。できるだけ逃げて時間稼ぎかなぁ。眠っちゃって足手まといにはなりたくないし! 守ってくれるんだ…でも、極力がんばるね!なんかかっこいいね、眠くん」
眠ってしまってみんなの足手まといには絶対になりたくない。私は能力だけに頼り切ってたけど、ほかに戦えるものを作らないとだめだなぁ。こういう時にちゃんと戦えるように武器を使えるようにならないと…
ってか、眠くん 守るから なんて言われたら私だって仮にも女の子だよ~かっこいいって思っちゃうよ…
だめだ~~。戦闘中に頭ん中がぐちゃぐちゃになってる。切り替えなきゃ、と思いほっぺたを両手で叩いた。
「3回までか…それだったらできるだけ逃げて温存しとかなきゃな。あー…眠らせはできるけどモカも眠くなるぞ。そうすると俺はモカを背負いながら戦わなきゃいけなくなるからリスクが高すぎる。もう少し活用方法考えてからじゃなきゃ使えない。まあ、とりあえずマジでやばくなったら言え。守るから」
そもそも年頃の女子って背負っていいものじゃないだろうな。Woolだって一回しか使えないように制限してるだけで無茶すれば何回だって使える。死ぬかもしれないけど。それにしてもあっちの狐がどんだけ能力使えるかわかんないのは痛いな。もういっそのこと直接聞くか。
「なー、お前それどんぐらい火出せんの?とめどなく出されてたら対抗しようがないんだけどー?」
【瀬戸大橋/環】
「ひっ…あの方、とても怖いですですよ…急ににやにやされてるですし。こっちに来ないでくださいですよ」
浮遊感による不安と相まって尚更怖い。あの人、さっきから謎なことばっかりしてましたですけどあの人自体もすごく謎で怖いですです。なんであんなのが敵なんです?
そう思ってきゅう、と縮こまる。
「あれあれ~?マジックショー終わりだけどまだ見たいの?」
マジックを見せ終わってペコリとお辞儀したあと何処かへ逃げていく風の声に反応する。そしてにやけたような笑みで風を追いかける。
「嬉しいっ!大好きっ!しょうがないから特別だよ!」
「えっとね、私の能力は物を吸い込んで食べることができるんだよ~。強さとかを調節すれば、食べないでこっちに持ってくることもできるよ~。あ、あとね、魔法も食べれるけど1日3回までなんだ~…」
眠くんがびっくりしたように自分の能力を見ていたので嬉しくてちょっと口元がほころんだ。
確かに早く作戦を練らないとだめだ。あと何発か狐さんの火をこの橋が食らったら壊れてしなう。
「あの、狐さんはずっとあんなやばそうな火をとどめなく出してるけど回数制限とかないのかなぁ?
そういえば、眠くんの能力って眠らせるんでしたよね?」
正直倒す事よりも相手が撤退してくれたほうが楽なのだが、この狐さんに限ってなさそうだ。
じゃあ、どうしたら勝てるだろう。誰か、水とか風を操れる人がこないかなぁ。
「モカ、危な…って、そういう能力なんだな」
当然短剣はかすりもせず。まあ、燃やされなかっただけマシだろう。そう考えていると、モカに向かって火が飛ぶが、モカが食べたのを見て少し驚いた。
Wool間に合わなさそうだしやばいなとか思ったけど大丈夫だったな。このままだと連携とかしづらいしモカに聞いとくか。
「モカの能力はどんなのなんだ?あと、なんか策考えよう。このままじゃあっちは一人で強いからやばそう」
どうやら眠くんも対人戦は苦手らしい。
結構まずい状況なのは自分でもわかった。今ここで自分は一番役に立っていないことが分かっているから必死に足りない頭を使ってどうすれば勝てるかを考えていた。
すると、こっちのほうに火の玉が何個か飛んできた。固まって飛んできたので自分としては好都合だった。
「これなら1回で食べれるも~ん!いただきます。」
と言って、大きく口を開け一気に吸い込んだ。
とてもおなかがすいていたが、少しはましになった気がした。
「わぁ~。ほんとにピンチだ…」
狐さんの火の玉はまだまだ弱まる気がしないが、自分の能力は3回まで。
眠くんも対人戦は好きではないらしい。必死にたりない頭を使って打開策を考える。
今自分にできることはとても限られていることは分かっている。だからせめて何か…
そして思いついたのは後で自分で考え直してみたらとんでもないことだった。
「あのぉ、今日はあきらめてくれません?あなたの火の玉ぶちまけたらそろそろこの橋、限界が来ちゃう気がするんですが…」
そう狐さんに行った後しばらく沈黙が続き、はっと我に返った私は自分がなんか信じられないことを行ったのに気が付き、顔の血の気が引いたのを感じた。
どうやら状況を見ていると本格的な戦いになるらしいく皆が散らばっていく中で自分の相手は彼、彼女らだと言う。指示した人が何を考えて自分をこいつらに任せたのかは分からないが、実力は見なくても断然こっちの方が有利だと言うのに。わらわの相手を任されてどうも哀れな子達なのかと思う。
「ふふふっ…アハハハッ!わらわがお前達の相手なんて可哀想じゃ…でも安心しろ。この手で綺麗に片付けてやるからな、ふふふっ…」
眠がスッと投げた短剣を「当然だろ」と言うように綺麗に交わして、手で掴める程度の炎々と灯した火の玉を指先に生み出し、眠とモカの方に何発ぐらいか投げていく。可哀想だから与える火はこれぐらいで十分だろう。そう油断はしていた。
「どうするって…俺も直接対人戦すんの苦手なんだけどなあ。俺の能力は広範囲に効くから使うと巻き込んじまうし、もう一つの能力だって基本一回しか使えねぇしな」
とりあえず短剣を投げてみる。当たらないだろうし、さっき歪夢に取られたから何か細工されてるかもしれない。
「つーか、俺は狐じゃなくてあっちと戦いたいな」
そう呟いて次の手を考える。
さっき環に言った策は状況が変わってきて使い物にならなくなったかもしれない。となると、また策を考え直さなきゃならなくて、ペアであるモカのことも考えながらになる。俺はモカの能力は知らなかった気がする。最悪、俺の能力で一回なら守れるが一回しかない。
【瀬戸大橋/環】
「はうっ!?」
抱えられるなんて子どもの頃以来でびっくりして変な声が出た。
うー、えーと、マジシャンさんを風ちゃんとどうにかするですね。むかつくからお水ぱしゃってしたいですですけどこの距離じゃちょっと難しいですですね。とりあえずわかんないから風ちゃんに言われた通りに動くことにしましょうです!
【瀬戸大橋/杏奈】
「戦線離脱?わたし、無抵抗の人に乱暴はしたくないけど、紫陽花は嫌いなんだ。だから、最低限の何かはさせてもらうね」
投降するって言ってるのに何かするって残酷なのかもしれないけど、嫌いなものは嫌いだし。
「全部夢だったら良かったのにね」
そう言って能力を発動させる。
抵抗してないし苦しいのじゃなくて幸せな幻覚にしてあげよう。上手くかかるといいんだけど。
風さんに、眠くんとあの狐の人を任されたから今度こそはがんばろう!と思った。
でも、一番やばそうな人… 後で帰ったらチカにぎゅーしてもらお~
「私は食べれると思ったら魔法だって食べれちゃうもん!負けないんだよ~」
そうは言ったが魔法を食べれるのは1日3回まで。正直、仲間の損害なくあっちが撤退してくれたらいいんだけどと思いながらも戦う心構えは万全。
「眠くん。どうしましょ~?あの人の火は何とかしますが直接攻撃にはあまり自信が…」
「うわっアッツ・・・!」
反射的に腕を出したがまさかそれが火の玉とは・・・。
「あー、もう服燃えたんですけどぉ!」
文句を言いながら燃えた部分を適当に払う。
コレは軽く火傷したかな、と考えていると頭上に大きな布が広がり、それが取り除かれた時には吹雪が止んでいた。
「おお~、見事見事」
一人で感激して拍手をしていると何やらもう一戦始めるようだ。
どちらも血の気が多いこった。
風から「相手よろしく」と言われた人物に向き合うがさて、どう出るか。
「どうする?僕はこのまま戦線離脱で観戦してもいいけど」
戦闘の意思はない事を見せるために両手を上げた。
自分の顔をきつく当たるように冷たく吹いている雪は一秒で冷たい痛さが無くなった。
「ほう…吹雪を隠すとは人間ながらにもなかなかやるのじゃな。さて、反撃に出るのじゃな…ふふふふっ」
歪夢の言葉を信じてみたが、本当は人間だから容易く信用しても良かったのか、自分の選択は大丈夫だったのかと疑心暗鬼になっていた。しかし、彼女の言葉は本物で先程までビュービューと逃げたいのに逃げられない雪雲が跡形もなく自分の頭上から消えていた。まじっく?などよく分からぬ言葉を言っておったが、取り敢えずこれで自分の能力も普通に使える。思う存分にわらわを苛んでくれたな紫陽花の人間よ。彼女の指先で灯している熱い火の玉はいつもよりか炎炎と燃えている。
【瀬戸大橋 風】
「んげげっ、あたしの猛吹雪を止めた!?え、どこやったの!?嘘でしょ…やばい状況になったわね…」
さっきまではいつの間にか紫丁香花の他の人達もここへやって来てこちら側が押されつつある状況になってしまった。まずい…こっちもある程度人数はいるけど…またあっち側に人数が増えると厄介になるわね。そもそも、あの狐野郎が問題なのよ!火なんて近接戦闘が得意なあたしにとっては近づけない難しい存在。ここはバラバラになった方が隙きを突かれないし、ダメージを余分に追う必要はないから…それがいいわ、皆の得意不得意を生かさなきゃやられるっ。
「あんた達、なるべく2ペアでバラバラに散って!眠とモカはあの狐野郎をお願いできるかしら?あたしは環とあのマジシャンを捕まえて、弘麻はその…そこの相手をよろしく。以上!何かあったら連絡しなさいよー」
そう言い残すとどうしようか困っている環を最初は手を引いて走ろうかと思ったが、悪いけど自分のペースで走れるお姫様抱っこをしてこの場から少し遠ざける。
「そこの小さいマジシャン!相手はこのあたしよー 他の奴らよりあたしの方が美味しいわよー」
走りながらも、対戦相手は自分だけであるという煽りを小さいマジシャンに言いかけて、頭の中では別の場所で戦おうと作戦を練っていた。
歪夢「もう〜。ちょっと!ちょっと!マジックしにくいから近づきすぎないでよ〜。」
近づいて大剣を構える風に向けて口を尖らせて指摘する。大剣には反応せず持っている布をひらひらと動かす。
歪夢「ここからが本番だから…ねっ!」
言い終わる前に布を上側に広げて自分と猛吹雪の中の月夜を見えないようにする。
これで誰の視界にも入らないという条件は満たした。誰の視界にも入らなければどんな大きなものでも『隠せる』のだ。
歪夢「じゃじゃーん!マジックー!拍手拍手!」
布が落ちて視界が開くと月夜を大手いた吹雪は降らせている雲ごと歪夢の能力で隠していた。
「んーと、成り行きで?ってとこですね。まあ、とりあえずあいつら嫌いなんでぶっ飛ばせたらいいなあとは思ってますけど」
そう言って両手に火を灯す。街灯から取ったので一瞬街灯の光が消えるが電気灯なのですぐ光った。
誰に投げるか考えていると、紫陽花の奴が歪夢と敵の間に割り入ってきた。
マジックがどうのこうの言ってるけどなんの話なんだろ…でもあの位置投げやすいからとりあえず投げとこ。
安直に考えて弘麻に火を投げた。
何やら妙な状況になってきた。
もういいじゃん、逃げるためとはいえマジックはそんなに見れるものでもないし普通に見て楽しもうよ。
ホント、水を差されると急にムカついてくるなぁ。
後でこっぴどく怒られるのは覚悟して、あっちの援護でもしようかな?
「よいしょっと、はーいそこまでー」
双方の間に降り立った。
「折角マジック見せてくれたのに邪魔するなんて、品がないとは思わないわけ?」
悩んでいたら杏奈ちゃんは先に行っていた。雫ちゃんは私のことを気にかけてくれているのか、ここから攻撃すると言う。雫ちゃんがいいっていうならいいと思うけど…でも自分のことでなるべく無理はしてほしくない。
「雫ちゃんに支障をきたさないなら…私も出来る限り援護しますので…頑張ります!」
出来ることと言っても蝶は役にたたないし、植物をなんとか…でも、この雪の降る状況だからな…植物なんて咲かないや。ここはあの二人に助けるしかないかな。何も出来ない自分がもどかしくなる。
【瀬戸大橋 月夜(紺)】
目隠しをしているけど徐々に自分に浴びせられる厳しい目線が感じる。声も怒っているぽいし、これはまずいことになったぞ。
「おい、お前!歪夢!聞いているのか?お主状況が危ういのではないか?」
任せろと気を張っていた歪夢にどうも不安を感じてもうマジック気分ではない。このまま自分も死んでしまっては月夜の身体を殺してしまっていると同じだ。そういうわけにはいかない。目を手で隠していたのをやめ、歪夢を囮にその場から立ち去ろうとして帰る方向を見たら誰かが来ていた。
「ん?そなたは確か月夜がお世話になっている奴だな。加戦でもしにきたか?」
瀬戸大橋についたはいいけどまさかの交戦中…真衣ちゃんはまだ隣にいるけど杏奈ちゃんは走って行ってしまった。今日は私の能力と、とても相性がいい。加勢するか迷い、真衣ちゃんに聞く。
「あの、まいちゃん。どーしましょう。私も加勢したほうがよさげですか?真衣ちゃんの体が気になるから、もし残るなら私もここから遠距離で杏奈ちゃんの援護します。」
今日は寒いからアイシクルをここから使っても相手にダメージはあるだろうと思った。それに、せっかく笑って話す事のできる人ができたのだから絶対にけがをしてほしくないと思った。
瀬戸大橋についたはいいけどまさかの交戦中…真衣ちゃんはまだ隣にいるけど杏奈ちゃんは走って行ってしまった。今日は私の能力と、とても相性がいい。加勢するか迷い、真衣ちゃんに聞く。
「あの、まいちゃん。どーしましょう。私も加勢したほうがよさげですか?真衣ちゃんの体が気になるから、もし残るなら私もここから遠距離で攻撃します。」
今日は寒いからアイシクルをここから使っても相手にダメージはあるだろうと思った。それに、せっかく笑って話す事のできる人ができたのだから絶対にけがをしてほしくないと思った。
「街灯、一応あるけど燃料にするにはちょっと少ないかな…いや、懐中時計よりは多く取れるし…」
歪夢と月夜のような人を見つけ、加勢するために周りを見る。光の少ない場は能力の使用にはあまり向かないから肉弾戦になり、小さな彼女には不利である。十分とは言えないものの多少は能力を使えそうな状況だと判断して、月夜の方へ駆け出す。
ただ、わたしはみんなの能力を知らないから途中で聞かなきゃな。
「瀬戸大橋に着いたけど…もえさんいるかな?えっ…?」
もえさんを見つけるために辺りを見渡すけどこんな夜遅い時間帯だし、おまけに雪も降ってきてしまっているしそう人は多くない。と向こうで人らしき影がちらほらあるのに気づく。
「あ、あれって歪夢ちゃんと月夜さん…?」
遠くの方に少人数ながらも目立つ人影がいるなと見ていると歪夢ちゃんと月夜さんがいる。でも、いつもと知っている月夜さんじゃない。可愛い狐さんのお耳がついている。耳カチューシャかな?
その周りには紫陽花であろう風さんとかそこら辺の人が取り囲んでいる。状況を察するに人数的にもピンチらしい。助けてあげたほうがいいのかな…?でも、私は病弱だから皆と戦ったとしても足手まといになるだけで何も出来ないし、能力もあまり発動出来ないし… と真衣お得意?の後ろ向きの発言がループループしている。
あ~。私は今が戦闘中だったことを忘れて、すっかり敵のマジックに見入っていた。
風さんなんて全く動じず警戒を緩めていなくてさすがだなぁと感じた。
けど何だか私だけ楽しんでいたのかと思い恥ずかしくなって少し強がった。
「わ、私だって気を緩めたわけじゃないよ~。逃げようとしたらすぐに吸い込んで捕まえるから」
ちょっとでも変な動きをしたらみんなのじゃまにならない程度に足止めしよう。
そして早く帰ってまだ食べてないご飯をたべたい。
あ~。私は今が戦闘中だったことを忘れて、すっかり敵のマジックに見入っていた。
風さんなんて全く動じず警戒を緩めていなくてさすがだなぁと感じた。
けど何だか私だけ楽しんでいたのかと思い恥ずかしくなって少し強がった。
「わ、私だって気を緩めたわけじゃないよ~。逃げようとしたらすぐに吸い込んで捕まえるから」
ちょっとでも変な動きをしたらみんなのじゃまにならない程度に足止めしよう!
そして早く帰ってまだ食べてないご飯をたべる!
ステッキがハンカチに、ハンカチが大きな布に。楽しそうなことをやってるです、と思っていると風が制止した。そこでふと我に帰って考えてみると戦闘中にマジックをやるというのはおかしいと気づいた。
「どうするのが正解です?わからないですです…攻撃されてしまうと夜だからダメージやばいですですし、私の能力じゃしょぼすぎて全然役に立てないですです」
【瀬戸大橋/眠】
「あ…ちょ、もう少し泳がせた方が良かった…」
まあ、いいか。と呟いて短剣の紐を解いて結び直す。くるくると短剣を振り回して結べていることを確認すると、環に何か囁く。環は驚いたあとに縦に頷いたのできっと意図は伝わったと考えて風の横に並ぶ。
「歪夢、俺らから逃げられると思わねー方がいいぞ」
言い方がどちらかというと悪役に近くなってしまったけど、俺は正義の味方なんだよなあ…
「マジック?何をする気なの…?」
遠くでハンカチやら何かを取り出して、自分が目を離した隙きにいつの間にか大きな木箱に変わっているではないか。普通に驚いて唖然としてしまった。本来ならここで皆もやっている通りの拍手でもしてあげたいけど、純粋な気持ちで見ていられない。絶対何かを企んでいる。ここで止めておかないとと何かしら行動に出そうとする。けど、どうしてこうも皆純粋に感嘆の声を上げているのかしら…全く…あたしもそんな心をまだ持っているのかな。
段々と歪夢のそばによりさっき投げ捨てた剣の元へと着き「ガラガラ」と金属の鈍い音を出しながら持ち上げる。
「何をする気は知らないけどね、そう簡単に逃がすとでも思ったかしら?」
マジックを止めるように剣を担ぎながら歪夢を見下ろす。
紫陽花の人たちはこのマジックが受けたのか拍手したり感嘆の声を上げている。
拍手に応じるように大きくお辞儀する。
だがまだまだこれからだ。むしろここからが難しいところなので気をつけてやろう。
歪夢「しかしこのハンカチ…ちょっと小さすぎるねっ。」
広げたハンカチを見るがポケットに入りそうな普通のハンカチだ。
そのハンカチを丸めて両手で包み込んで見えないようにする。
すると手の中のハンカチの感触が変わり、
手を広げると1mくらいの巨大な布になっていた。
歪夢「これで大丈夫だねっ。」
そして全員の視線がこちらに集中した僅かなタイミングを見計らって
少し離れたところに木箱を出現させる。
「おお~」
何の変哲もない杖が忽ちハンカチに早変わりした。
鮮やかな手並みに思わず拍手をした。
「わ~!棒が消えてハンカチが出てきたよ!」
マジックショー というものを初めて見たのでものが消えたと思ったら違うものが出てきて驚いた。
もし、相手同士ではなかったらチカにも見せてあげたいと思った。
これから何が始まるのかドキドキしながら続きをみる。
そろそろ紺が目を瞑った頃だろう。前方にいる四人の紫陽花の位置を確認しつつ、
マントの中からステッキを取り出す。これを出すことも手品の域に入るが
こんなものはあくまでも前準備なのでアピールはしない。
歪夢「さぁ!このステッキ!種も仕掛けもございません!」
30cmほどの長さのステッキを緩やかな速度で動かし、紫陽花たちに見せびらかす。
その辺で売っているようなごくごくありきたりなステッキだ。
ある程度見せびらかしたら、手のひらでステッキを両端から挟み込み、
歪夢「そして、このステッキをこうしちゃいますっ!」
手のひらを思い切り閉じた。しかしステッキが手を貫通することなく、
手のひらに吸い込まれるように消えてしまう。
歪夢「そんでもって、ベタだけどこうなっちゃいましたっ!」
歪夢が手を広げるとそこには薄いピンクのハンカチが広げられる。
隅の方にはステッキをかたどった刺繍入りだ。
歪夢「ジャーン!ステッキがハンカチに変わっちゃいました!」
「へえ!マジックか。どんなことしてくれるの?」
どんなことをしてくるかワクワクする。
この吹雪の中、どんなことをしてくるのか楽しみでもある。
歪夢が本格的に何かに取り組むらしい。まじっくとか言っていたがわらわはカタカナ言葉は良う分からん。まぁ、少しは信用してあげよう。
「わらわを妖狐と呼んでほしいないが…め、目を瞑ればいいんじゃな?了解した」
妖狐でも紺という名前があるのでなるべくちゃんとした名前で呼んで欲しいくてボソッと訂正する。が、誰も聞いちゃいないだろう。本来ならば抵抗していたはずだが、今回は能力も封印されていると同様な状況にあるため仕方なく歪夢の言う通りに静かに目を瞑る。まだ風が強い吹雪が邪魔くさいけど我慢する。
【瀬戸大橋 風】
どうやら吹雪は予想通りにあの狐のやつに命中らしい。能力も弱体化しているし。まぁ、このままやられてくれそうな子でもないか…なんか他の手を打たなきゃなと考えていると眠からあいつらが逃げたらまた突風を出してくれと頼まれた。
「えっ、あんた悪魔なの?あたしの片手壊す気なのかしら?まぁ、やるけど…」
先程の突風の勢いでコンクリートに転がっていた身体をどっこいしょと起こして眠にシラけた目で見つめる。こっちもこっちでいつでも能力を出せるわけでもないのよ…かと言って自分の事情で敵を逃がすという正義に従わない訳にも行かないのでやるけど少しは優しさというものを覚えてほしいなと思う。
エネルギー切れになりってお腹が減っているが最後の力を振り絞って三好の背中に乗る。
「ニャハハ〜 おおきにー ほな、アジトまで猛ダッシュやー!」
身体は動かないが気持ちや声はどうやら元気らしい。楽しそうに特徴的な彼女笑い声と同時に、勢いよく出発する。まるで小さい子が肩車をしてくれるお父さんに対して列車を運転するように言う。まぁ、寒い中ゆっくり行くのは嫌なので早くアジトへ戻って欲しいのは本当なのだが。
歪夢が本格的に何かに取り組むらしい。まじっくとか言っていたがわらわはカタカナ言葉は良う分からん。まぁ、少しは信用してあげよう。
「わらわを妖狐と呼んでほしいないが…め、目を瞑ればいいんじゃな?了解した」
妖狐でも紺という名前があるのでなるべくちゃんとした名前で呼んで欲しいくてボソッと訂正する。が、誰も聞いちゃいないだろう。本来ならば抵抗していたはずだが、今回は能力も封印されていると同様な状況にあるため仕方なく歪夢の言う通りに静かに目を瞑る。まだ風が強い吹雪が邪魔くさいけど我慢する。
【瀬戸大橋 風】
どうやら吹雪は予想通りにあの狐のやつに命中らしい。能力も弱体化しているし。まぁ、このままやられてくれそうな子でもないか…なんか他の手を打たなきゃなと考えていると眠からあいつらが逃げたらまた突風を出してくれと頼まれた。
「えっ、あんた悪魔なの?あたしの片手壊す気なのかしら?まぁ、やるけど…」
先程の突風の勢いでコンクリートに転がっていた身体をどっこいしょと起こして杏奈にシラけた目で見つめる。こっちもこっちでいつでも能力を出せるわけでもないのよ…かと言って自分の事情で敵を逃がすという正義に従わない訳にも行かないのでやるけど少しは優しさというものを覚えてほしいなと思う。
「マジック…!楽しそうです!」
戦闘中にも関わらずマジックという言葉に興味を持ったようで、うきうきと楽しそうに紺と歪夢の方を見る。
【瀬戸大橋/眠】
「いや、ショータイムとかじゃなくて逃げようとしてんだろこれ」
問題はどう逃げるかだ。瞬間移動とかの能力で逃げるなら追いようがないが、目くらましをしてそのまま足で逃げるなら追いかければいけるかもしれない。それならばと考え風に声をかける。
「風。あいつらが能力とかじゃなくて走って逃げたら俺に突風当ててくれ」
「は~???なんなんそれ~」
はぁはぁ、と自分もそこそこに息を切らしている中のこれ
がさごそとポケットをあさってみるが勿論何も見つからない、そもそもお菓子は置いてきた大き目のカバンのほうにいれてきたので自室にある
「んも~しょうがないなぁ…はいどーぞ」
起きて起きて、と手を取って立たせ前にしゃがむ
正直戦闘してきたばっかりだしごはんも食べてないので体力はギリギリだがまぁどうにかなるだろうと思った、どーにもならんかったらお菓子買お~…
猛吹雪の中から微かにだが紺が承諾する声が聞こえた。
周りの反応を見ても取り囲んでボコボコにする展開にはなさそうだ。
承諾が得られると歪夢は満面の笑みで紺を背に紫陽花たちに向けて両手を広げる。
歪夢「ここで最高のマジックショータイムですっ!パンパカパーン!」
歪夢の背中の陰からカラフルなテープや紙吹雪が飛び出す。
歪夢「今夜の目玉マジックは〜、猛吹雪の中の妖狐を脱出させる『脱出マジック』ですっ!
という事でアシスタントの紺ちゃんは、目を瞑っていてね!絶対だよっ!」
押される猛吹雪の中どんどんと近づいて聞こえてくる声は歪夢の声だけだった。あとの声は自分の耳に届くには厳しかった。けど、気のせいだろうか本当に少しであるが勢いは弱まっている気がする。けど、まるっきりこの吹雪が無くなるのは何分ぐらいの時間がかかるであろう。
「くっ…弱みを握られてしまっては仕方ないのう。今日だけは歪夢、お前の言う通りにしてやろう。どうやって逃げるのじゃ?」
どうやら歪夢には案があるらしく「隠せる」という言葉にもピンと来ないがここは自分だけじゃどうにもならない。相手は人間なのだから…心の底の何かが折れてしまいそうで悔しいけど手を借りる。けど、ここからどうやって逃げるのだろう。普通に逃げるわけではなさそうだし。