現し世 - 15
- 2019/03/13 20:35:19
「 Black Maria 」
大きな看板にそう書かれているレンガ造りの少し古びたアパート。
六階建て。外には螺旋の非常階段がある。壁に貼られたチラシに
赤いクレヨンで元ある字を塗りつぶし入居者募集と書かれていた。
地下1階 - ジャック
[ 医務室 ]
[ 娯楽室 ]
[ 武器庫 ] 娯楽室と似たような内装だが…
[ 食堂 ] 共用のキッチン。ある程度の食材は冷蔵庫、基本は各自持ち込み
[ ランドリールーム ]
[ ボイラー室 ] この最奥にある階段を抜けると地下研究所に繋がっている
1階 -
[ 時計店 Samiel ]
[ 本屋 詞湶堂 ]
2階 -
[ 喫茶店 Mountain ]
[ 輸入品店 Ark ]
全店、営業時間は朝-夕。
メンバーに限り従業員が店に居る場合は終日利用可能。
3階 - クラブ
4階 - ハート
5階 - ダイヤ
6階 - スペード
エレベーターの6階はカードキーを通さないと押す事が出来ない
屋上 - 集会所
屋上はドーム型の屋根で、傍から見れば温室のようにも見える
其処には全員分の椅子と机があり、会議や暇潰し等に使われる
[ 地下研究所 ]
メンバーには知らされて居ない場所。迷い込まない限り入る事は無いだろう。
地下二階 - アルバートの研究所
地下三階 - カラスの研究所 廊下に乾いた血痕が残っており、常に薄暗い場所。
[ 手術室 1 ] 薬品棚に囲まれた部屋。ガートル台や心電計、手術台があり一般的な手術室に酷似
[ 手術室 2 ] 乾いた血痕が手術台や床に残っている。肢枷や拷問器具の様な物も置いてある様子
[ 培養槽 ] 厳重な南京錠により施錠されている
[ 私室 ] 軽く施錠されている。二つ目の私室として使われている様子
[ 地下四階 ] 収容所
サクラ・ポート - 市中
[ 不動産屋 ]
[ 波止場 ]
[ スーパーマーケット ]
* 行動ロルは2行~1コメントに収まるまで
* ☆//^^;www♪等の記号は使用禁止です
* 100コメントを取った方が次のトピを立てる様にお願いします
* 幹部キャラ以外は基本的に6階への立ち入りが出来ません
* 地下研究所に出す際は雑談で一言お声掛け頂けると助かります
* ひとり部屋のキャラクターは自室のロルをお控えください
[ 5階 会議室 - ミミズ ]
五枚のカードを山札に戻すと、代わりに渡された小皿を受け取った。
その弾みで解放された影を意に介さず、アンダルサイトは静かにキャンディポットを見据える。
「それで?次も同じルールかい」
チップの内容を問われて咄嗟に思い浮かんだ白い甘味を提案した女は密かに戸惑っていた。
何も角砂糖に拘る必要はないはずだ、求めればチョコレートだって出てくるだろう。
今の彼女はそれを欲していない、ということにしておかなければいけない気さえする。
[ 5階 会議室 - ミミズ ]
五枚のカードを山札に戻すと、代わりに渡された小皿を受け取った。
その弾みで解放された影を意に介さず、アンダルサイトは静かにキャンディポットを見据える。
「それで?次も同じルールかい」
チップを決めるかと問われて咄嗟に思い浮かんだ白い甘味を提案した女は密かに戸惑っていた。
何も角砂糖に拘る必要はないはずだ、求めればチョコレートだって出てくるだろう。
彼女は今、それを欲していないということにしておかなければいけない気さえする。
「 ?……ああ、キャンディポットですね 」
それ、と言った彼の視線を辿る。
そして、先にあった物を視認して頷くと、指示の通りに彼の手元へ置いた。
視線で使われるのも慣れたものだと心の内で自嘲する。
『 愛しの遊さんならやってくれますよね 』
聞こえてきた声にピクリと眉を寄せ、嫌悪を露わにした瞳が左隣を睨んだ。
”自分でやれ”と言いたい所だが、効率を考えれば回す方が早いのは明らか。
そもそも頼んできたのがこの脳筋でなければこんな思考すら必要ないのだ。
「 ” 愛しの ” はやめろ。…ほら、貸しなさい 」
グイ、と半ば強引に小皿を手から奪い、それぞれに配り渡した。
[ 5階 会議室 - エマ ]
「 小皿ですか 」
小首を傾げ乍らも命令通り戸棚から小皿を六枚出す。
面子的に配れば良いのだろうが気遣えるレディはいない。
キングの方向へ届かないので遊さんに渡して回して貰うことにしよう。
「 愛しの遊さんならやってくれますよね 」
冒頭の不穏な文字は
意図的に脳内から削除すると精神衛生上宜しかろう。
彼はしばらく、放浪していた。
無意識に見てしまう幻想に糸を引っ張られるのは、彼の日常である。
気付くと見た事のない動く綺麗な「ブロンドの色」に惹かれてここに来てしまった。
「 ━━こんばんはぁ。 」
笑顔満点のその唇から、
首筋に冷たい何かが触れるような音で綺麗な色に声を溶かす。
レイニーもここを知らず、音を殺してついてきたという感じであった。
「 ふうん、 」
”いつも通りだ”と答えた彼は確かにいつも通りのようだった。
気味の悪いこともあるものだと思いながら大きな欠伸を一つ。
その拍子に少し上へずれたマスクを定位置へと下げた。
「 ハイハーイ、仰せのとーりに。角砂糖ね、何も混ぜてないやつ。 」
OK、OK、と軽い返事に合わせて、胡散臭いにっこりとした笑顔を作る。
続けて、先ほど卓上にばら撒いた5枚のカードを粗雑にキングの方へと寄せ集めた。
「角砂糖スね、把握しましたよ~」
キングの意図を読み取り、手札を整えてから差し出す。
結局OSHIRUKOが何なのかは判明していない、何なら結論らしきものも出ていない。
一瞬こちらに意識を向けられたような気がしたが、今気にするべき事ではない。
[ 地下研究所 地下二階→三階 階段 - ジャキエ ]
「 こんなトコあったか?」
ふとボイラー室の裏にある階段を見つけ、単なる好奇心から降りてきたのだが。
明らかにひとが頻繁に出入りしている空気、閑散としすぎているアンバランス。
規則的に並んだ裸電球が揺らす影がなんともその場の不気味さを際立たせていた。
[ 5階 会議室 - カラス ]
「 いいや?いつも通りさ、僕は 」
次のプリフロップを準備する為、カラスは場札と自らの手札を纏め整えて行った。
五人に向かってくい、と人差し指を二回曲げる合図をしてみせる。
集めるから寄越せ、と言う事だろう。その程度も動かないのはなんとも彼らしい。
本来ならば一度目の賭けでチップの内容と数を決めている筈なのだが、
ゲームが終わった後に決めるとは何とも彼らに相応しい適当さだろう。
「 クスリかい?君がそんな物を選ぶなんて意外だな。僕はてっきり……ああ、」
─ 甘い物でも選ぶかと思った、と続けようとした声はふいに自己完結を迎える。
「 “ 君ら ”でもあるまいし、角砂糖は角砂糖だな 」
紫色に血管の透き通る瞳はアルバートとハーヴェストの方を見た。
「 ユウ、それを取ってくれるかい。エマ、棚から小皿を六枚 」
それ、と視線が指したのは角砂糖の入ったキャンディポット。
[ 5階 会議室 - ミミズ ]
「アルバートの指がチョコレートバーだったら良かったんだけどねェ」
卓上を覗き込もうと膨れ上がる影を片手で抑えつけた女は冗談めかして笑った。
生きるためとはいえ、獄卒が同族の肉を食べるとは考えにくい。
それでも、石榴が人に喩えられる味なら、自分たちは何なのだろう。
ふと湧いた疑問はそれ以上、彼女の好奇心を刺激するつもりはないらしい。
「角砂糖がチップだ」
先ほどから耳にする不思議な名前の飲料を賭けようとして思い直した。
兵器、即ち危険物であればアパルトメントに持ち込んだ後が大変だ。
隣同士の席に着いた時から警戒していたが、遂に刃物でも出して刺されるのかと思った。
が、どうやら違ったらしい。出て来たそれは小粒のチョコレート。
彼女は義足に何を仕込んでいるんだ。
「 はあ…絶対お汁粉知ってる奴いないだろ 」
雨音に隠してボソリと零した言葉を聞き取った者はいただろうか。
トントン、と角を揃えて、惜しくも負けてしまった5枚のカードを円卓の真ん中あたりに置いた。
[ 5階 会議室 - エマ ]
「 よく分かりませんが、敗北カードでしたか 」
結果を見て興味なさげに嘆息しながら肘を付く。
日常用にカスタマイズした義足から小さなチョコを取り出し口に運んだ。
暗器を隠すのに比べたらちょちょいのちょいである。才能の無駄遣い。
「 OSHIRUKOは必要ですよ、あれは常に激熱のAzukiTeaが飲めるのです 」
のです、と語っているが彼女は人伝に聞いただけである。
既に敗北となったカードを指で突きながら無表情ながらドヤオーラを醸し出した。
「 あーぁ、負けちゃった。ほら好きな所をあげるよ、どこがいいかな?ミミズちゃん 」
脱力したような溜息と共に5枚のカードを宙に手放せば、ひらひらと卓上に舞い落ちる。
”好きな所を”と両手を広げる彼は何時もの飄々とした笑みを浮かべていた。
あくまで冗談、しかしながら彼が言うとひょっとしたら本気なのではと思わせるので
容易に了解するのはお勧め出来ない。
「 ってちょっとカラス、キミ調子でも悪いわけ? 」
イカサマもせずにハイカードで負け、と言うのは率直に言って驚いた。
何と言ってもそれは彼の得意分野だろう。
もしやこの土砂降りの雨は彼の所為、或いは明日は嵐でも来るのか。
どちらにせよ勘弁して欲しいものだ。
「 …あー、あれだね…確か……最新の飲料型兵器 」
「OSHIRUKOって、アレでしょう?上手く飲まないと窒息して死ぬっていうゲームの」
全員の手札を眺めているうちにチップが体のパーツに置き換わっていた。
いや、普通に信じられないが。というか受け入れないので話半分に聞いていた。
会議らしいていも何もなく駄弁って円卓を囲んでいるが、まあ最初からそんな空気は無かったと思う。
ちなみに彼はOSHIRUKOというものを知らない。
[ 5階 会議室 - カラス ]
「 後払いなら構わないけど……都度なら困るなあ 」
そう言って机に並べたのはハイカード。何の役も持たない、所謂ブタ。
チェスで言えばポーンにすら及ばない、盤外の駒も同然の手札だった。
普段より幾らか気怠げな色を隠す気もないカラスは弛緩した瞳で静かに笑う。
十八番のイカサマをしないと言うのは、なんだか一周も巡って不気味な物だ。
「 OSHIRUKOって、なんだい 」
さしづめ、また妙なエナジードリンクでも流行っていると言ったところだろうか。
それなら自分の作った薬の方が絶対に良いとカラスは思うのだが、
やや問題のある薬である事は隠し用もない事実。例えば、寿命が半分に減るとか。
「 ミミズの一人勝ちだな。君がチップを決めるかい?」
この成人たち、最早ただ遊んでいるだけである。
[ 5階 会議室 - ミミズ ]
「同じ絵が揃った」
煩わしい雨音よりも気になることがあるのか、カードをじっと見つめていた女が手札を開いた。
卓上に連続した数字を並べ、その中の一つを指先で叩く。
それが読めない彼女にしてみれば、五枚すべてに描かれたスートの方が大事に思えるのだろう。
それでも、ストレートフラッシュと呼ばれる役の条件を満たしていることに変わりはない。
「片腕がチップ?駒を減らす気かい」
「 自販機にOSHIRUKOは要らないと思いますが。…フォーカード。 」
会議という名の暇つぶし、それも甘んじて受け入れることに慣れてきた今日この頃。
左隣を怪訝そうな表情で見遣ると同時に扇型に並んだ5枚のカードをテーブルに滑らせた。
同じ数字が4枚、フォーカードだ。役としては決して悪くない。
ちなみに、チップを体のパーツにするのもチョコチップを体のパーツにするのも勿論却下である。
[ 5階 会議室 - ミミズ ]
「片腕がチップ?駒を減らす気かい、……カラス」
煩わしい雨音よりも気になることがあるのか、カードをじっと見つめていた女が口を開いた。
青年の名を呼ぶ、物言いたげなアンダルサイトは紫眼を覗くが、腕を伸ばそうとはしない。
手札を公開すれば自分の役を教えてくれるだろうと判断したためだ。
「同じ絵が揃った」
卓上に連続した数字を並べ、その中の一つを指先で叩いた。
紛れもないストレートフラッシュ。
「 自販機導入に伴い、OSHIRUKOを入荷する話では? 」
顔にかかる髪が鬱陶しいのか耳に掛け乍ら、カードを見遣る。
同じような柄のカードが三枚、他は普通の数字カードと見たが…判らん。
未だにルールの把握出来ない高度な文明のカードを机の上に開く。3ペア。
「 チョコチップを身体のパーツに 」
それは非常食的な意味合いか?と視線が物語る。
然し悲しいばかりは彼女の解釈性の壊滅的さに違いない。
「 自販機導入に伴い、OSHIRUKOを入荷する話では? 」
顔にかかる髪が鬱陶しいのか耳に掛け乍ら、カードを見遣る。
同じような柄のカードが三枚、他は普通の数字カードと見たが…判らん。
未だにルールの把握出来ない高度な文明のカードを机の上に開く。3ペア。
「 チョコチップを身体のパーツに 」
それは非情食的な意味合いか?と視線が物語る。
然し悲しいばかりは彼女の解釈性の壊滅的さに違いない。
「 うーん、これは…会議、じゃあないねえ 」
左手で頬杖をつきながら、右手では左隣に倣ってカードを返していく。
「 フルハウス 」
大きくばつ印の描かれたマスクを少し下げると、
続けてキューブ型の小さなチョコレイトが放り込まれる。
"色々"配合した挙句どうしてか硬くなったそれは、ガリボリと音を立ててから喉の奥に消えた。
「 …ねえ、チップを体のパーツにするってのは 」
徐に口を開いて出てきた言葉は、 提案すること既に十数回漏れなく却下されてきた戯言だったが
だからこそ窓を叩く大粒の雨に負けないように、少しばかり声を張ったつもりだ。
「何の為かと申しますと、そりゃあ、会議スかねぇ」
肥えた雲から降り注いだ春の夕立を背に、役を並べてそう答える。
翳り始める日を見ることも無く、卓上に滑らせたのは五枚の揃ったスート達。…フラッシュ
流石に連続している事は無かったが、まあ夢のようなものだ。
覚えて日が浅いカードゲームは、すっかり彼らと円卓を囲む内に手に馴染んでしまった。
まあ、時間つぶし程度には。だが
「何の為かと申しますと、そりゃあ、会議スかねぇ」
肥えた雲から降り注いだ春の夕立を背に、役を並べてそう答える。
翳り始める日を見ることも無く、卓上に滑らせたのは五枚の揃ったスート達。
流石に連続している事は無かったが、まあ夢のようなものだ。
覚えて日が浅いカードゲームは、すっかり彼らと円卓を囲む内に手に馴染んでしまった。
まあ、時間つぶし程度には。だが
[ 5階 会議室 - カラス ]
春を肌に生温く感じる昼間だったが、今は激しい夕立がアパルトメントの窓を叩いて居た。
そんな雨にかき消されてしまいそうな高いとも、低く擦れているとも言えないが
聴く者を陶然とさせるように空気を震わせる声は、雨に向かって張る事もなく静かに響く。
「 さて、役は揃ったかな?」
合図。時計回りで円卓に向かって座る彼らに“親”であるカラスは手札の公開を促した。
ところで、だ。何も遊ぶ為に此処に集まっている訳じゃない。
倦怠とも言える義務感で行われる定期的な会議の為に、彼らは集まっているのだが…
遊ぶ為に集まっている訳ではないが、だからと言って議題にすべき話題がある訳でもなかった。
「 ねえ、僕らなんの為に集まったんだっけ。……ああ、僕のオープンは最後だよ 」
君が初めに、と右隣の相手を指名しながら呼びつけた張本人はそう言った。
そう言えばあの襲撃から丁度一年経った気がしないでもないが、嵐の前の静けさなんて言うのは
物語の中だけの話だろう。何、もしもこれが数人で紡がれる創作話なら別だったのだろうけど。
[ 5階 会議室 - カラス ]
春を肌に生温く感じる昼間だったが、今は激しい夕立がアパルトメントの窓を叩いて居た。
そんな雨にかき消されてしまいそうな高いとも、低く擦れているとも言えないが
聴く者を陶然とさせるように空気を震わせる声は、雨に向かって張る事もなく静かに響く。
「 さて、役は揃ったかな?」
合図。時計回りで円卓に向かって座る彼らに“親”であるカラスは手札の公開を促した。
ところで、だ。何も遊ぶ為に此処に集まっている訳じゃない。
倦怠とも言える義務感で行われる定期的な会議の為に、彼らは集まっているのだが…
遊ぶ為に集まっている訳ではないが、だからと言って議題にすべき話題がある訳でもなかった。
「 ねえ、僕らなんの為に集まったんだっけ。……ああ、僕のオープンは最後だよ 」
君が初めに、と右隣の相手を指名しながら呼びつけた張本人はそう言った。
そう言えばあの襲撃から丁度一年経った気がしないでもないが、嵐の前の静けさなんて言うのは
物語の中だけの話だろう。何、もしもこれが複数人で紡がれる創作話なら別だったのだろうけど。
[ 5階 会議室 - カラス ]
「 さて、役は揃ったかな?」
合図。時計回りで円卓に向かって座る彼らに“親”であるカラスは手札の公開を促した。
ところで、だ。何も遊ぶ為に此処に集まっている訳じゃない。
倦怠とも言える義務感で行われる定期的な会議の為に、彼らは集まっているのだが…
遊ぶ為に集まっている訳ではないが、だからと言って議題にすべき話題がある訳でもなかった。
「 ねえ、僕らなんの為に集まったんだっけ。……ああ、僕のオープンは最後だよ 」
君が初めに、と右隣の相手を指名しながら呼びつけた張本人はそう言った。
そう言えばあの襲撃から丁度一年経った気がしないでもないが、嵐の前の静けさなんて言うのは
物語の中だけの話だろう。何、もしもこれが数人で紡がれる創作話なら別だったのだろうけど。
月日が流れ、365日の春。何かは変わらず、何かは変わって桜は育つ。