オリチャ:捺×
- 2016/01/19 00:02:11
投稿者:紅蓮狐 糾蝶
*+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+*
☑管理人と香南さん専用トピックスです。
他の方のコメントはご遠慮させていただきます。
*+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+*
*+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+*
☑管理人と香南さん専用トピックスです。
他の方のコメントはご遠慮させていただきます。
*+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+**+:。.。:+*
咳払いしながらその白い手に触れる。人魚は冷たい水の中でしか生きられない。
「五分だ」
直ぐに戻ってくると、触れた手を離して奥へ行った。
右も左も分からない赤子じゃない、唐突に自我の芽生えた頭の中で、ほかの人に見られたらいけないと警鐘が鳴っている。
お願い、置いてかないで
伸ばした手は白すぎるくらいに白かった。
黒い髪の隙間から、怯える人魚の姿が見える。
玄関に水槽を置く趣味はない、こっちに来ないかと低い声は伝える。
「此処がいいというのなら、運んでくるが」
彼を見送るアイスブルーの目が驚きとわずかな怯えに見開かれていた。
けれどその二色の隙間に揺れるのは、紛れもなく期待に違いなく、猫のように細い瞳孔を彼へと向け、人魚は小さく口を開く。
「…………お肉」
手を止め、踵を返す。お前は此処にいろとだけ言うと、奥の部屋へと進んでいった。
誰かと話す声だけが数十分響き、やがて戻ってきたと思えば、その場にしゃがみこんで視線を合わせた。
「食事は?何がいい」
どうやら、さっきの台詞ははったりなんかではないようだ。
ぶたれると思った。
でも頭に触れた、人の手の温度に人魚は動揺する。
男を見上げた少女の瞳に、彼の顔が映り込む。
言われた台詞の意味を飲み込むまで、5秒。
頷いた。
どんな返事も相応しくない。
きっとそうだ。
そう復唱した後、威圧感を醸し出したままズンッと彼女に近づいていく。
顎を上げて、冷めた瞳で捉えては、無造作に右手で頭を撫で上げた。
「飼ってやる」
どういう風の吹き回しか。目の前の非日常にガラにもなく揺らいだのか。
答えは、自分でもわからなかった。
今度こそ間抜けな声が出た。
困惑に見開いた目を何度か瞬かせながら、いくらか口ごもったあとで、
「……黒」
そう答えた。
首を左右に振って否定をする彼女に、向ける視線は酷く濁っている。
暫くそうやって見つめたまま、思い出したかのように口を開いた。
「…好きな色は?」
随分と、的外れな質問だ。
((デッレデレにしてやりたい
大きな水槽の中で、一箇所に肩を寄せて縮こまる少女。
タオルに包まれた身体はいっそう小さく、華奢に見える。
((
デレ来い……!デレ……
アメとムチが見たいんじゃ……
顎を上げて見下すような顔をする。
視線の下の人魚は、怯えた表情をしている。
((はよデレさせたい…
咄嗟に目を逸らせば、それは彼とも同じタイミングだった。
……名前、なまえ。
「……あ、ありません」
絞り出すように言った。
思い出せないとか、記憶がないとか、そういうことではない。
全て、ここから始まった。目が覚めた瞬間に、全てが紡がれ出される。
((
ロリにも容赦ない捺さん……wwwwww
子供は怖いwwwww
日本語だ、と男は思った。へぇ、と返事をすると目の前の人魚を見つめた。
彼女ぐらいの年齢の人間と話すことなんてまずない。居心地悪そうに直ぐに視線を逸らす。
「…名前は」
覚束無い手つきで広げたタオルに上半身だけ包まりながら、少女は怯えた眼差しを男に向けた。
問い返す声はほとんど聞き取れないような音量で、空気が吐き出されたようだった。
いつの間にかその目の淵には、薄く涙が溜まっている。
「……鱗が、乾いたら……」
ポツポツと、ソプラノが答える。
((
お気になさらず!
バイオレンスwwwwwwやばいwwww
見開き直ぐに逸らされた瞳。人魚みたいな足元。この奇妙な生き物との接し方など知らない。
「そこから出たら死ぬとかあんの」
水槽を顎で指せば、男は初めて口元に笑みを浮かべた。
((遅くなって御免なさい><
四歳児とかバイオレンスで取り返しのつかないことになりそうでwwwwww
頭の上に落ちてきたタオルを掴み、人魚はそこで初めて声を発した。
それは声と呼べるほどに音を纏ってはいなかったけれど、確かにそう一言漏らした。
驚きに見開いた目を男に向け、瞬きを繰り返す。
それから控えめに視線を反らし、バスタオルをぎゅっと胸に抱いて顔をうずめる。
((
あざます!じゃあこのままで!
しかし4歳児のお世話する捺さんの図って面白い……(^ω^三^ω^)
そのまま何も言わずに玄関から立ち去れば、数分後、カッターの代わりに持ってきたのは大きな白いタオルだった。
無表情のままそれを水槽に投げ入れた。
((16歳で大丈夫ですよ~!美味しい♡
それでもどこか、意志の弱い双眸は彼を真っ直ぐに見つめ返すことが出来ずに足元に落とされた。
地を歩くことのできない尾びれの脚。
少女は怯えたように水槽の隅に縮こまるばかりで、言葉を返すことは無かった。
((
すみませぬ!!容姿には16って書いてたんだけど最初(今)は4歳のほうが良いかなあ?
どっちにしろすぐ大きくなるからどっちでも良いかなとは思うんだけどw
どっちが美味しいかなと思って!
ドスの聞いた声だった。幼い子供に話すような声ではないのが確かだ。
首筋に嵌められた黒い首輪を軽蔑したような目で見る。
部屋の温度が下がっているのか、妙に肌寒かった。
か細い、息のような声が漏れた。
それは言葉を成さないままで、男の目と、自分自身の目が交わった瞬間に、びくりと身体をこわばらせる。
細首に嵌められた黒い首輪が、異様な存在感を放っていた。
何者なのか、何処から来たのか、何の目的でこの場所にいるのか、聞きたいことは山ほどあった。
「俺の、言葉がわかるか」
声は、酷く静かだ。
深い水槽の下の底で、ぴくりと細い指先が動く。
少女はゆっくり、ゆっくりと顔を上げた。パサついた髪が濡れた頬に張り付き、どこか虚ろな双眸はぼんやりと彼を見上げた。
その光景を瞬きもしないで見ながら、子供騙しにしては随分と手の込んだ演出だと思った。
「……はっ」
零れたのは、自分自身に向けられた嘲笑だった。
ついに幻想まで見え始めたかと思った。
今まで見たことも無い髪の色と、同じ人種だとは思えない白い肌。
黒く煌く下半身は、まるで、人魚だ。
それは叩いた場所から氷の表面にまで広がり、水蒸気を上げながら少しずつ溶けていく。
人工的な照明を浴びてキラキラと白煙が煌く。まるで御伽噺の妖精が登場するシーンのようだ。
やがて煙が晴れて再び少女の姿が顕になる。
グラデーションの掛かった群青色の髪に、抜けるように白い肌。
そして水の下に沈む下半身は無数の鱗に覆われ――――黒く煌めいていた。
生き物がが送られてきたことはあるが、こんな綺麗な状況を見るのははじめてだった。
怪訝そうな顔をしながら、水槽を二、三度ノックする。
白っぽく濁った水の下、沈んでいる少女に見覚えはない
室内の証明を浴びてキラキラと光を反射する水は半分ほど貯められており、凍っていた。
白っぽく濁った水面の下に何が眠っているのかは分からない。
ただ、そこに眠ってたのは――まだ年端もいかない少女だった。
白い煙が気味悪く、頬を撫でた冷たい風が心地悪い。
完全に蓋を開ければ、カッターナイフの刃を戻し、もう一度箱の表面や側面を確認する
やはり、差出人は不明だった。
一筋の細い光。まるで、空の上に居る天使が細い裁縫針で夜空を切り裂いたみたいだ。
キラリ、と箱の底で何かが反射する。
カッターナイフが切り裂いたガムテームの隙間から漏れ出す、白い煙。
冷たい冷気を纏った蒸気が、彼の頬を撫でた。
遠くから見ても分かる程大きな段ボール箱に、やはり心当たりはない。
一体誰からだ、と思いどの側面にも天地無用と貼られているそれを見下ろす。
なるべく力任せにしないように表面に刃を立てた。
目深に被った帽子の下で、作ったような笑顔を浮かべて荷物を置き、拇印も受け取らずに去っていった。
置き去りにされた荷物は大きな段ボール箱で、とても今の女性が持ってこられたとは思えないサイズだった。箱の表面、側面にはしつこいくらいに「天地無用」のシールが貼り付けられており、子供の悪戯かと見まごうほどである。
この日を指定して何かを頼んだ覚えなどないのだが、仕事の関係上、知らせなく何かが届くことは珍しくはない。
どうぞ、と端末に向かって声を発し、画面でロックを解除し、自宅のドアを開ける。
「入ったところでいい」
男はそこに向かう気配も無く、画面を確認しながらそう言うだけだった。
広い玄関には、ノイズの残響だけが不気味に響いていた。
朝だというのに薄暗い空は、分厚い灰色の雲に覆われている。
トラックが信号機で止まるたび、排気ガスが白く渦を巻いた。休日にも関わらず、他に走っている車は無く、ひっそりとして薄気味悪いくらいだった。
やがて、トラックは彼の家の前に止まる。
無機質なチャイムの音が鳴り響いた。
((
1コメありがとー!!お気になさらず!
この世界に踏み込んだ時からかもしれないし、二十代に入ってからかもしれない。
それとももっと前、物心ついたときからだろうか。
今までの生活に不満はない。立場にも、満足している。
しかし、一番欲しいものはまだわからない。
本来はこうならなかった人生を選べるような何か、今の自分を根底から覆すような何か。
今も、俺は欲しいだろうか。はっきりとそれを答えられるだろうか。
もしも手に入れたら、俺はどうするだろう。
((遅れました~