-零章【オリチャ】
- 2015/03/07 21:00:08
__________________
――時に十二月二万百七日、五十年間続いた戦争から五年後。
国の中心部に位置する超巨大都市輪舞に、全ての国民に再び緊急招集が掛けられていた。
赤紙を配られた彼らに、逃げする術は無い。
集められた彼らは、それぞれの軍の巨大な要塞に設けられた個人の部屋で、要塞生活の真っ最中である。
烈戦を極めた戦いであったが、それぞれの軍には憔悴の色が目立った。
よって、三つの軍は一時的に休戦協定を結び、五年が経過した。
*
うららかな陽射しが、どんより垂れこめていた雪雲の隙間から差し込んだ。
束の間の晴天だ。
真冬にも関わらず、独自の進化を遂げた植物たちは枯れることを知らない。
青々茂った芝生が、朝に照らされ目に優しい色を反射している。
三つの軍の共有するこの広場は、それぞれの国柄を示した公園とも言える。
井戸に、ベンチに、縁側。そして入口には薔薇の蔦絡まる大きなアーチ。
まるで、今尚こうして争いあっているかのようだった。
再び集められた彼らは何を思うか。
この、三つの軍の者たちが一同に介することを許された場所で。
__________________
☑オリチャトピックとなります。
戦争開始までの短い間、「零章」という形で3つの軍の自由な交流が可能となっています。
☑オリチャの際には、「w」「^^」「b」「v」や顔文字、「ゎ」などは全面的に禁止となっております。
「!」「?」は大文字でお願いします。
沈黙の描写には「……(三点リーダ)」をご活用ください。通常の「・・・」の使用は不可です。
ロルは1行で構いませんが、長くなる分には、〝いくら長くなっても構いません〟。
☑また、オリチャのスタイルは、
(キャラ名)「 台詞 」
ロル
というカタチで統一してください。
P.S.
こちらのトピックで、重要なお知らせがあります。
お目通しください。
http://www.nicotto.jp/user/circle/articledetail?c_id=247696&a_id=2326033
落ちる様に膝をついてこうべを垂れた
「して、どちらへ?」
ちらりと見上げた彼も随分神々しく、ついに胸へ突き立てた爪が皮膚を傷つける
口角が不自然な方向に動きだそうとするのを必死に抑えようとすれば、気づくか否か。ピクピクと痙攣し
た
*
革張りの口輪をかすめ、乾いた頬へ触れた細く柔い指先
繋がる四肢と、子供らしいみずみずしい身体。ほっそりとした首を見上げれば目に入る、妖艶でありながら幼いその顔
それが自分の全てであるのだ、と。私は自信をもって言えるのだ
「ぇお……いおぅ、ああ」
カツーンと脳味噌ごと溶かしてしまいそうな声にうっとりと目を細め、動くたびにずれて手をすっぽりと覆うまでになった袖に溢れる涎を垂らす
愛おしい。口づけたい!小さな全てでは受け止め切れてもらえない大きな愛を、捧げたい
脚へ頬を押し付けながら無様に舌を出す。しかし、伝わってくるのはピンと張られた皮の感触だけで。ひどくもどかしいのを思わず顔に出した
もたれ掛かっていた椅子からぐんと身を乗り出すと、持ち上げた片足の下駄を脱ぎ捨てて〝彼〟の頬につま先で触れた。
し亟「なぁに?よく聞こえないわ。」
甲高い声は広すぎる玉座の端々にまで響く。
歪めた真紅の双眸が嬲るように足元の〝犬〟を見下ろしては、台詞の後ろで転がった下駄が分厚い絨毯を叩いた。
傷だらけの膝へ、乾いた髪がぱさりと音を立てたのと同じくらいだっただろうか。鼓膜を微かに震わせるか細い声が、はやくここから出ていけと責め立てるように聞こえたのだ
崩れる様に手を、脚をついた。右足左足、その前に右手を動かす
ぺたりぺたりと四つん這いのまま、扉を身体で押し開けた
「…………ぇおうあ…ぁ」
彼女の名を呼ぼうとする口にあたった金具が痛い。硬い床をゴツゴツと踏みしめる膝も、掌も
そんな顔をしかめたくなるような状況で、彼は喜々として彼女の足元へと擦り寄っていった
長い睫毛が震えれば、薄い目蓋が線を引いたように開かれ、茜色の瞳がゆっくりと姿を現す。
上から紅、赤、薔薇、牡丹、と色を変える美しい双眸が、たった今うたた寝から目覚めて周囲を見回した。
し亟「…………誰か居ないの?」
あどけない少女のふっくらした小さな唇から紡がれたとは思えない掠れた声が、外で未だ深々と降り積もる雪がもたらす静寂に浸された玉座の間に落ちていった。
何か用があって呼び止めたつもりだったのだけれど、嫌味のようなその台詞を口にしたら、大事なものがスッと溶けていってしまった。
曇りガラスにも似た色違いの紫の瞳は元帥を興味なさげに一瞥すると、また車椅子を動かした。
停戦を破るのも、このまま続けるのも、本当はどれも簡単なこと。
けれどまだ時ではない。まだ、もう少し。
「サチ。みんなを集めて。」
大元帥は言った。
彼の気持ちなんて分かりもせずに、或いは全てを知って。
何か用があって呼び止めたつもりだったのだけれど、嫌味のようなその台詞を口にしたら、大事なものがスッと溶けていってしまった。
曇りガラスにも似た色違いの紫の瞳は元帥を興味なさげに一瞥すると、また車椅子を動かした。
停戦を破るのも、このまま続けるのも、本当はどれも簡単なこと。
けれどまだ時ではない。まだ、もう少し。
「サチ。みんなを集めて。」
短く、そう答えた。そう答えるのが精一杯だった。
揺らされる鼓膜が直接心臓を叩きならし、それだけで自分は年甲斐もなく歓喜する。
この感情を漏らしてはならない。知らせてはならない。
本能的な感情。
歓喜に打ち震える体は、なにかにしがみつきたい衝動に駆られる。
――昔なら、昔なら彼にしがみついたのだろうか。もう覚えていないけれど。
かわりにつかんだ胸元に爪を立てる。服の布地から食い込む自身の力が痛いくらいに。
静かな声は、波のない水面に一滴雫を垂らしたようにそこへ広がり、彼を捉えた。
車椅子に座る小さな人影は、大きな軍帽とマントに覆われて全身黒ずくめ――まさに浮き出た〝影〟のようだった。
跪く元帥を見下ろす瞳に宿るのは、相変わらず生を纏わない無があるのみだった。
そこで動きが止まる。
くらり、と。眩暈によく似て甘美に響くはその声。
深く考えたのならば、この開けた廊下のどこに響くのか。だがそんなことはどうでもいいのだ。
「禍、ツキ様。」
貴方が、俺の名前を呼んでくださるなら。
かくん。と落ちるように跪く。
雑面の下、見えない顔は誰にも見せたことのないようなあどけない純粋な笑顔。
―――それは根本から歪んでいることなど露知らず。
「お呼びでしょうか。禍ツキ様」
そこで動きが止まる。
くらり、と。眩暈によく似て甘美に響くはその声。
深く考えたのならば、この開けた廊下のどこに響くのか。だがそんなことはどうでもいいのだ。
「禍、ツキ様。」
貴方が、俺の名前を呼んでくださるなら。
かくん。と落ちるように跪く。
雑面の下、見えない顔は誰にも見せたことのないようなあどけない純粋な笑顔。
―――それは根本から歪んでいることなど露知らず。
その背に、掛けられる声があった。
実際に喉から発されたのか、脳内に直接木霊したのか区別が出来ないあやふやな声。
それは、〝有能〟な【紫】の元帥の背後で不意に、形を取った。
くすんだ灰色の髪。
色違いの紫の瞳。
黒ずくめの痩せた人影が、キイキイと耳障りな音を立てて止まった。
閉じる。
開く。
「あァ…暇だ。」
晴天にも構わず外は寒い。
外に出る気にもなれずに閉じこもっている自室は微妙にぬるい。
喧噪に寒さ 静寂に暖かさ どちらに方がましかと問われればまあ後者だ。
しかし「暇」これが敵だ。
することがないとただでさえバカな頭が5割増しでバカになる。気がする。
しょうがなしに、寒気を遮る扉を開けた。
人もまばらな中庭で、ひとたび喧騒を避けると誰も彼も暖かい要塞に篭もりっぱなしで一人ぽっちになってしまったような気さえする。
フラフラとアテもなく中庭の奥へと歩を進めた。
いつになったらこの形だけの休戦は終わるのだろう。
色の違う者同士、優劣を求めるに決まっているのだから所詮手を取り合って暮らすことなど夢物語に過ぎない。
さてどうしようか。
どこに行けば誰にあえるか。風には聞かない。
今日は旅の日だ。
小さなこの箱庭の中をゆっくり散歩する。一期一会は大切である。
ゆらりゆらりと、時に会釈も交えながら歩みを進める。
返された声は幾分柔らかかった。
祈ルヴァーナ「…………そう」
かくして、黒猫は歩み去っていった。その変わり身は一種、北風のように早かった。
そこに誰も居なくなると、広場の喧騒が風に乗ってほんの少しだけ流れてくる。
声色が冷たい。
風は切り裂くほどには冷えていないのだが、自分はこの声に凍えてしまうのだろうか。
彼に殺されるなら本望だ。
もっとも、誰に殺されたってこう思うだろうけど。
すっと顔をあげる。
雑面がふわりと舞い、横顔から笑顔が見て取れる。
大体のことは風が教えてくれるから。
壱ノイチ「あちらに、いらっしゃいますよ。」
掌を仰向けに。風から聞いたヴェルカの居場所を示す。
そう遠くもなさそうだ。
分かりきっていることを、しかし黒猫は答えるのだった。
きっと雑面の下で、今にも舌打ちしそうな顔をしているのだろう。
灰色の髪が冷たい風に揺られれば、ひらりと舞った紙から覗いた素顔はあまりにも幼く、そして怜悧。
子供でいることを許されなかった子供。
親の居ない子供の眼差し。
*
彌カ「そうね」
ぶっきらぼうに言った彼に、彌カはクスクスと笑い答えた。
残念ながら私事で此処へ出向いたわけではないので、いつまでも彼とゆっくりお話しているわけにはいかないのだけれど、少しくらいなら許してくださるだろう。
いかにも〝お堅い軍人さま〟風の出で立ちは、知らない人が見ればもしや【紅】の人なのではと思うに違いない。
「どうしたの?お探し物?」
彌カは腰を浮かせて彼の分にベンチを開けた。
ベンチの斜め後ろ、彌カが正面を向けば視界にギリギリ入る程度の立ち位置を動かすこと無く、顎を軽く引く。
それはいい天気への賛同を示していたが、微かに揺れる雑面だけでは分かり難いだろうに。そこまで考えていないのか、気を回すのが不得手だからか、ただその気が無かっただけか、それ以上に動くことは無かった。
獣の唸るような低い声で、抑揚を殆ど付けずに嗔ヅチは話しだす。
嗔ヅチ「良い天気かは分かりませんが、眩しくないのは良い、です」
どこかぎこちなさの残る丁寧語は、子供の様な体躯にも、大人らしい低い声にも、アンバランスだ。
そこでふと視線を下に落とし、刀の柄に手を置いていることを認識するとすぐさま手を放した。礼儀の類は分からない彼であったが、上官の前で刀に手を掛けることが宜しくないと考えられる程度に発想力は、幸いにも存在している。
分かりきっていた事態に、雑面の裏で苦笑いをもらした。
それでも挨拶はしたい。
というかしないのはいくらなんでも無礼だ。相手は尊敬する上官様なのだから。
そしてここでさよならというのも可笑しい事だろう。
壱ノイチ「どなたかお探しでしょうか?」
これまた分かりきっている質問。
先ほどからまわりに細心の注意を払っているように見える。
そして祈ルヴァーナが一人でいる。となればきっと探しているのはあの人だ。
よもや誰か居るとは夢にも思わなかった。
こんな中庭の外れのベンチに、わざわざ座りに来る物好きもなかなか居ないものだ。
来るとすればそう――小鳥くらいのものかも。
彼は小鳥だろうか?
……いや、もっと凶暴だ。
ひとしきり妄想に耽り、彌カは雑面の下で人当たりよく微笑んだ。
彌カ「おはよう。良い天気ね」
空は曇り。
決して良い天気とは言えぬものだが、晴れの日よりも居心地が良いものだ。
雪に陽の光が反射するのは恐怖であり、凶器にもなりうるから。
*
祈ルヴァーナ「…………おはよう」
果たして、【黒猫】はぶっきらぼうに答えた。
雑面の下で色違いの瞳が訝しげに細められる。
猫は決して不機嫌なわけではなかったが、禍ツキを崇拝するあまり【紫】を愛しすぎた。
だからどの軍にも変わらず愛想を振りまく目の前の少女のことがあまり好きではなかったのだ。
((
お二人共ご参加ありがとうございますー!!
よろしくお願いします!
ゆるく弧を描いた表情にかぶさる雑面が揺れる。
祭式衣装の袖からたれる布も、同調するかのように揺れた。
水を操る力を持ちながら風に吹かれることを好む女は、髪をまとめる紫の布を堂々と見せながら道の端を歩く。
道行くのは紅玉軍に蒼海軍、もちろん自軍も。
壱ノイチ「ごきげんよう。今日も素敵な日ですね。」
雑面から覗く唇に偽りはない。
何者かも分からない相手に笑顔でそう告げてゆく。
そのまま当てもなく歩き続けると、よく見知ったお方を見つけることが出来た。
恐れ多くも同じ印の力を頂いてしまったその方の下へ走り寄り、丁寧に会釈をした。
「ご機嫌麗しゅうございます祈ルヴァーナ様。」
((キャラを作るのに時間がかかってしまいました・・・すいません。
どうぞよろしくお願いいたします。
灰髪は相も変わらず意思持つ様にぐるぐると蠢き、雑面に隠れた紫二つは獲物を狙う猛禽が如く、濁りギラついた輝きを帯びている。白い息が雑面を微かに揺らして、音も無くやわやわと消え往くのが彼の持つ空気とは妙に食い違って見える。
……やがて、空を見上げて立ち尽くす。
特別にすべきことが思い至らなかったから、時期の切れ目は静まっていたから。理由は幾らでも見つけられるが、空を見たこと、ここに来たことのほんとうの理由は、彼にすら分からない。分からないからこそ何秒も立たずにソレを止め、すいと視線を下げると……同じように空を見上げている同じ軍の女性を、その目が見つけた。
ここで挨拶をしない道理はない。一歩、二歩と近づくと、斜め後ろから声を掛けた。
嗔ヅチ「……紫逢代将。 ……お早う御座います」
悩んだのは、今は果たしてお早うとこんにちはのどちらに相応しいか一瞬困ったからだろう。
結局、時間帯から判断して前者を選択したらしいが。
(これから宜しくお願い致します!)
名前を呼ぶのにも疲れた頃、ベンチに腰掛けてぼうっと空を見上げる。
吐き出した息が白くくゆり、溶けながら雲に紛れていく。
彌カ「………………馬鹿ね」
本当は分かっている……〝彼〟がどんな理由で【紫】に居るのかなんて。
でも、知らないふりをしていたかった。
吐き出した言葉はどこにも行かず、膝の上に落ちて――音もなく崩れ去った。
新たな人物に声を掛けられると ぐるんっとそちらへ向き直る――
というより、社交ダンスの如くその場で身体ごとそちらへ華麗にターンする。
勢いよく振り上げた長い袖がばっさばさと目に煩く揺れ、青い花びらが舞った。
すうリン「ざっっつらーーーーいっ!」
今にもぱふぱふどんどんと効果音が聞こえてきそうだが、残念ながら彼女には音は操れない。
「As you said,ワタクシ令狐すうリンと申す者で御座いますですワ!
ご挨拶遅れマシ申し訳ナシ、いとかたじけなし候ナリです」
自軍と喋り込んで自己紹介が遅れたことを少し恥ずかしがるような素振りは至って通常だが、その言動が異常だ。
よく光る不思議な文様を湛えた瞳で屈託なくゆら氣を見据えると、
イゴ良しなにー、とそれだけは何故か発音の良い言葉と共に アームカバーの無い方の手を差し出した。
嗅ぎ慣れた薬品の香り。
出来るだけ怯えないようにと思って頭を下げても腰が引ける。
無意識に脚が震え、ぎこちなくソファに座った。
いろリ「……お持ちしました」
そうして、彼の顔を見ないようにしながら懐に隠し持ったガーゼをそっと差し出す。
薄らと染み込んだ赤い色が、その中身を鮮明に思い出させて吐き気に襲われる。
木造の重苦しい扉を開けた男は、いつものようにあまり感情の乗せぬ声で少女を迎えた。
身を引いて招き入れる様なそぶりをすれば、部屋の奥から漂うのは僅かなホルマリン臭。
ソファーに座るように促すのもいつものこと。
そうして彼女の持ってきた者を品定めするのも、いつものこと。
このようなとき、本来相談すべき相手が起こした不祥事に、自分一人でどうすべきか。
――降参、の二文字が過る。
いや、そういうわけにもいかない。
それだけは駄目なのだ。
【蒼】が勝たねばならないのだ。
*
いろリ「はくメイ様」
ただいま戻りました。
軽くノックして姿勢を正す。
敢えて、一息つくことはしなかった。
そうしたら、いつまでも戸を叩けないと思ったからだ。
いつも以上に心臓は騒ぐ。いつもと何も変わらないのに。
___勿論反省した、という訳ではあるまい。
自室へ戻ってしばらくたった頃、静かで冷え切った廊下の奥から足音が聞こえてきた。
男は気だるげにめくっていた書類を机に置き、ゆっくりと椅子から立ち上がる。
どうやら例の彼女が戻って来たらしい。
内掛けを肩に掛け乍ら、滑るようにドアへと向かった。
___勿論反省した、という訳ではあるまい。
男が自室へ戻ってしばらくたった頃、静かで冷え切った廊下の奥から足音が聞こえてくる。
気だるげにめくっていた書類を机に置き、ゆっくりと席を立つ。
どうやら例の彼女が戻って来たらしい。
内掛けを肩に掛け乍ら滑るようにドアへと向かった。
あおイ「そう。ああ、もう良いよ。ご苦労様」
受け取った手紙を懐に入れつつ、わざとらしい反応をする元帥に事務的な口調で言う。
彼は本当に何を考えているのか分からない。
もっとも、それは自分も同じかもしれないが。
愛想よく扉を閉め、再び手紙の文面に目を通す。
……さて、これからどうする。
*
要塞に戻ってくると、外と比べて廊下はだいぶ暖かかった。
階を上がるとコートが暑いくらいで、脱ぎ捨ててしまいたい衝動を抑え元帥の部屋に急ぐ。
手の中のガーゼは薄らと湿り始めていて、思い浮かべるだけで嫌悪感が背筋を這い上がった。
いろリ「……………………はくメイ様、」
ため息混じりに発した声が宙に溶ける。
あのホルマリンの匂いが、頭の奥から離れない。
あおイ「そう。ああ、もう良いよ。ご苦労様」
受け取った手紙を懐に入れつつ、わざとらしい反応をする元帥に事務的な口調で言う。
彼は本当に何を考えているのか分からない。
もっとも、それは自分も同じかもしれないが。
愛想よく扉を閉め、再び手紙の文面に目を通す。
……さて、これからどうするのが最善か。
*
要塞に戻ってくると、外と比べて廊下はだいぶ暖かかった。
階を上がるとコートが暑いくらいで、脱ぎ捨ててしまいたい衝動を抑え元帥の部屋に急ぐ。
少女の表情は暗い。
大元帥の言葉に眉ひとつ動かさないまま淡々と答えた。
相手が何を言いたいかなど、考えずともわかる。
「もっとも最近は忙しそうですけれどね」
そう付け足し心配そうな表情をしてみせる。
嘘は一言も言ってはいない。
今頃彼女は外を駆けずり回っているのだろう。
元気な事に違いはあるまい。死体よりは元気だ。
「用事はこれだけです。もうよろしいですか?」
ああ、そうだった。
一向に合わされない視線と、意味深なその表情。
鈴のような音を立てた耳飾りが揺れるのを見ながら、あおイは僅かに肩を落とす。
「…………〝彼女〟、元気?」
代わりに、苦笑のようなものを浮かべながら話題を変える。
その言葉が指すのは一人だけ。目の前の男の養女、〝事件の犯人〟。
……もちろん、この男が本当のことなんて、言うわけが無いのだけれど。
ああ、そうだった。
一向に合わされない視線と、意味深なその表情。
鈴のような音を立てた耳飾りが揺れるのを見ながら、あおイは僅かに肩を落とす。
「…………〝彼女〟、元気?」
代わりに、苦笑のようなものを浮かべながら話題を変える。
その言葉が指すのは一人だけ。目の前の男の、〝事件の犯人〟。
……もちろん、この男が本当のことなんて、言うわけが無いのだけれど。
大元帥に渡した際、手紙の封蝋は剥がされてはいなかったが、内容など聞きもしなくてもわかる。
目の前の彼とは視線をあくまで合わせない。
「〝私〟はなにもしていませんよ?」
犠牲者とやらの顔も名前も知らない。
そもそもこの要塞から外へ出ることもない自分が、一体何をできるというのだろう。
桔梗色の目を細めて首を傾げると、耳飾りが微かな金属音を立てた。
目の前の彼とは視線をあくまで合わせない。
「‘‘私〟はなにもしていませんよ?」
犠牲者とやらの顔も名前も知らない。
そもそもこの要塞から外へ出ることもない自分が、一体何をできるというのだろう。
桔梗色の目を細めて首を傾げると、耳飾りが微かな金属音を立てた。
それは自分ももしかしたら同じかもしれないけれど。
あおイ「えっ、」
白々しい物言いを前に、その表情はもうある意味見慣れているとも言える。
濁点でも付きそうな声を出して、恐る恐る受け取った手紙の封蝋を、重そうな指甲套の嵌められた片手で器用に剥がして中の便箋に素早く目を通す。
どうやら〝今回〟は、紅玉軍で顔も知らない哀れな一等兵が無残な死体となって発見されたようだ。
この事件の犯人は我が蒼海軍ではないかと手紙の主は言っており、大元帥は苦笑から苦虫を噛み潰したような顔をする。
「……あのさ、君の〝趣味〟にケチを付けるわけじゃ無いんだけど……あんまり騒ぎは起こさないでもらえるかな?」
それは自分ももしかしたら同じかもしれないけれど。
あおイ「えっ、」
白々しい物言いを前に、その表情はもうある意味見慣れているとも言える。
濁点でも付きそうな声を出して、恐る恐る受け取った手紙の封蝋を、重そうな指甲套の嵌められた片手で器用に剥がして中の便箋に素早く目を通す。
どうやら〝今回〟は、紅玉軍で顔も知らない哀れな一等兵が無残な死体となって発見されたようだ。
この事件の犯人は我が蒼海軍ではないかと手紙の主は言っており、大元帥は苦笑から苦虫を噛み潰したような顔をする。
「……あのさ、君の〝性癖〟にケチを付けるわけじゃ無いんだけど……あんまり騒ぎは起こさないでもらえるかな?」
相変わらず、年齢も性別もよく分からない姿
大元帥と並べばより一層訳が分からなくなる。
はくメイ「えー....あおイ様?大変申し訳ないのですが」
そう男が眉を顰めて、ぺらりと赤い蝋封のされた手紙らしきものを手渡す。
表情は申し訳ない、といった風なのに声はあくまでも空々しい。
「せの槐さまからです」
ノック音がしたとき、びくりと盛大に肩を揺らした。
ぼんやりと丸められていた背中が伸び、楽しげな声が静けさを破る。
いそいそと椅子から立ち上がって長い漢服を引きずれば、案の定脚が縺れる。
危なっかしくよろけながら、飛びつくようにドアノブに手を伸ばした。
「どうかした?」
ニコニコと嬉しそうに扉を開き、まるで友達にでも尋ねるように言う。
うんうん、と一人頷き、自己肯定に忙しいひずムの姿を見て、ゆら氣が怪訝そうに紅い目を細める。
周囲を敵にばかり回すようなこの男に、自軍でまともな友人がいるとは到底思えなかった。
ゆら氣「お初にお目にかかる。紅玉上級大尉の神穀ゆら氣だ。貴殿は令狐すうリン殿とお見受けするが、合っているだろうか」
*
コンコン、と静かな大元帥室に乾いた木を打つ音が聞こえる。
続いて聞こえるのは穏やかな声音と衣擦れの音。
はくメイ「あおイ様、いらっしゃいますか」
静かな部屋に、不釣り合いに無邪気な声だった。
椅子に跨り、行儀悪く背もたれに顎を載せた男――青年、ともすればその中性的な顔立ちは、女性のようにも見える。
身に纏う黒い軍服の上に羽織った漢服は、目も覚めるような蒼色をしていた。
窓辺から見下ろす広場には、黒と白、灰色の頭が集まり、歓談に耽っている。
「僕も行きたいなぁ」
ねえ、駄目かなぁ
期待を込めて振り返り、傍に控える少年、もしくは少女。
男に良く似た月白色の髪と、オフェリアの瞳を持つ、幼いその人物は。
ついぞ何も答えることは無かった。
「………………まだ」
許してくれないんだ
諦めたように男は呟き、また飽きもせずに、窓の外に視線を戻した。
((
あおイの試運転を始めることにしました。宜しければ、ぜひ大元帥の部屋を訪ねてお気軽に絡んでやってください。
同軍の上級大将の姿を目にするや否や、ぱああっと表情を更に明るくして人懐こい笑みを浮かべる。
やはり言葉は支離滅裂にも聞こえるが、意味の通る返しをしている辺り、会話は可能なようだ。
ナンパまがい、セクハラ疑惑の上司の声掛けにも動じず、ニコリと笑って小さく会釈をした。
「Oh,I see…つまるところつまりの上は、星屑ロンリネスを極めておられたというワケで御座いますデスね。
あな悲しや、蒼海人はfreedomな方メニィいらっしゃいます故、泡沫今朝方致し方ないコト」
だぼっとしたアームウォーマーの袖で口元を隠し、ぱちぱちと瞬きをして辺りの人々を見回した。
なるほど紅玉人は多いものの、確かに同じ国の人間であることを表す白い髪が少ない気がする。
纏まりがなくて自由奔放なところが、この国の国民性であり長所であり、短所なのだが。
確認するまでも無かったが、そのままベンチの背もたれに手を掛け、膝を椅子に載せれば、顔に浮かべた笑顔が更に深まった。
ひずム「やぁやあ!!!すうリンちゃん!!!元気かい!?エビバディセイッ!!!」
異国の言葉の知識が乏しいのか、唯単にふざけているのか分からない支離滅裂な言葉を彼女に返すと、ナンパをするかのように「今日も可愛いね」と付け足す。
「漸く蒼海の子が来てくれたよー。そう、皆でお話してたんだけど僕だけ軍のお仲間が居なかったんだ。」
知らない単語が飛び交い目を白黒させているゆら氣を尻目に、安堵したようにわざとらしいため息をつくとまた笑って両手を組んだ。
徐々に人が集まってきた真冬の広場に、また賑やかしが増えるようだ。
すうリン「Well,well!皆々様御顔を突き合わせお集まりtalkingデスますです?」
ゆら氣が座っていた、そしてひずムが座っている長椅子の背もたれ側からひょっこりと顔を出し
もはや思考回路を二巡くらい通さなければ理解出来なそうな言葉をぺらぺらと紡ぐ。
複雑怪奇な口調に反して、彼女のはっきりとした顔立ちには親しみしか浮かんでいなかった。
不思議な模様の浮かんだ瞳で紅玉陣の方へ視線を移すと、
ひらひらと親しげに(馴れ馴れしいともいう)手を振ってみせる。
「Now季節とてもcold御座います。お身体にお気を付けあそばしマシまし」
ふ金が転びそうになった所から見ていたのか、お大事にという意味も含めてそう声を掛ける。
使っている言葉こそ妙ちきりんだが、その声色や表情には素直な心配の色がある。
この気温にも関わらず丈の短い衣装と半袖を崩さない彼女に言われた所で、説得力があるかは別として。
厚いコートを着ていても染み込んでくるような寒さに、吐き出した白い息がもくもくと立ちのぼった。
じゃらりと煩く鎖が鳴く。
雪と同じ色をした真っ白な髪に、真っ青な瞳。
非の打ち所がない蒼海人の少女は、くるくるとカールした髪を指先に絡めて、もう片方の手の中のぬるりとした感触に、必死に悪寒を堪えていた。
その慌てようは正直異常にも思えた。
腕の中の少女は照れくさそうに笑い、するりと猫のようにきょう花の胸元へ飛び込む。
きっ蝶「い、いえ」
早口でまくし立てられた言葉の半分も聞き取れなかったが、最後に来た謝罪にぎこちなく笑い返した。
口にしたらどうなるか、それ以前に口にする勇気なんて到底無かったけれど、やはり〝目が見えない〟なんて、軍人としては致命的だ。
ただ、それを大元帥が許している以上、言えることなど無かった。
そして彼の言葉を聞くなり、目を伏せてしまった
やっぱり来ていないのね…
しかし落ち込んでばかりもいられないと、彼等に今度はお礼の意味も籠めて微笑んだ時だった
愛おしい声が聞こえた
声がする方向へ向くとふ金がやや覚束ない歩みでこちらに向かっているのが見えた
近付こうと踏み出した直後ふ金が崩れ落ちて、きっ蝶が受け止めた
きっ蝶の靴につまずいたとは気付かず、どこか調子が悪いのかと勘違いし、慌ててふ金のもとに向かう
きょう花「どもない?熱がおますん?どこぞ痛むん?悪いならすぐにやて救護室に行きまひょ!皆はん、わっちふ金を救護室に連れていきまっしゃろからこれでおしまいやす。あぁそやわ、遅れたやけどきっ蝶ちゃん、ふ金を助けてくれておおきにどした。怪我をしなくて済みたんや」(訳:大丈夫?熱があるの?どこか痛むの?悪いならすぐにでも救護室に行きましょう!皆さん、私ふ金を救護室に連れて行かないといきますので、これで失礼します。あぁそうだわ、遅れたけどきっ蝶さん、ふ金を助けてくれてありがとうございます。怪我をしなくて済みました)
ヒステリック気味にそうまくしたてつつも、皆に挨拶をする際きっ蝶と目が合ったことで助けてくれたことを思い出し、早口ながらお礼を述べた
その時、広場の反対側から大声が上がる。
きっ蝶「――っあ、少佐、すみません」
手にした特徴的な杖で足元を探り、早歩きでこちらにやって来るものの、その進路から慌てて退こうとしたきっ蝶の靴にそれがぶつかり、小柄な身体が前のめる。
謝罪と共に受け止めたが、その表情は硬い。
すっかり挨拶のタイミングを逃していたゆら氣がここぞとばかりに長椅子から立ち上がり事務的な敬礼をする。
どうやら上級大佐は妹君達を探しているようだ。自分は見ただろうか、と記憶を探ってみるが見た覚えは勿論無い。
ひずム「おはよう。紅玉の上級大佐。僕達はずっとここにいたけれど見てないなぁ。こっちの道は通ってないみたいだよ」
此方はベンチに座ったまま、向けられた笑顔に返すように間延びした声で応えた。
また妹達が来ていないことが分かると落胆したが、それらを悟られないように首を横に振って、2人に微笑んでみせた
その時、神穀ゆら氣上級大尉と神去ひずム上級大将が彼女たちの影に隠れていたことに気付く
妹達を迎えに行こうと思っていたが、彼らに何も言わずに去ってしまうのはよろしくないだろう
しかし能力を使って挨拶したならば、「本当は挨拶する暇なんてないけど」などといった類の言葉を零してしまいそうだ
そう思って、彼らに近付いてお辞儀をすると「早く妹達に会いに行きたいのに」という言葉を飲み込むかのようににっこりと微笑んでみせた
きっ蝶と同じく慌てて会釈をし、彼女からの視線を受け取り答える。
みな兎「私も先程ここへ来たばかりなので見かけていないのです。」
…上級大佐などと会話をするときはひどく緊張して落ち着かない。
周りが皆自分より上の位であり、今更ながらもう少し時間をおいてここへ来るべきだったと後悔する。
嗚呼、下賤な者共が。
今にあのお方から罰が下るだろう。
こちらに向けられた二つの視線に目もくれず、無視して広場の奥へと歩みを進めた。
*
まるで気分が害されたようだ。
腹立たしく思いながら、新たに声の聞こえたほうに顔を向ければ。
きっ蝶「猿之手上級大佐」
慌てて会釈をした。
難解なな言葉に耳を傾ければ、どうやら妹たちの行方を追っているようだ。
……それにしても相変わらず彼女は、同性の目から見ても憧れるほど綺麗だが、自分に自信がなさすぎるように思える。
「……私は、残念ながら見ておりません」
チラとみな兎に視線をやった。
((
お姉ちゃんんんんんんんんんn!!!!よろしくお願いします!!
訳助かります!!ウッス!
嗚呼、下賤な者共が。
今にあのお方から罰が下るだろう。
こちらに向けられた二つの視線を、雑面の細いスリットから睨み返して広場の奥へと歩みを進めた。
*
まるで気分が害されたようだ。
腹立たしく思いながら、新たに声の聞こえたほうに顔を向ければ。
きっ蝶「猿之手上級大佐」
慌てて会釈をした。
難解なな言葉に耳を傾ければ、どうやら妹たちの行方を追っているようだ。
……それにしても相変わらず彼女は、同性の目から見ても憧れるほど綺麗だが、自分に自信がなさすぎるように思える。
「……私は、残念ながら見ておりません」
チラとみな兎に視線をやった。
((
お姉ちゃんんんんんんんんんn!!!!よろしくお願いします!!
訳助かります!!ウッス!
輪から1歩離れたところで1人の女性が人形を持ち、立っている
口を1回も開かず、ゆったりとした口調でスラスラ話していたが、途中で言葉が切れる
妹達が来たかどうかを聞くだけのつもりが思った以上に話してしまったのだ
上手く能力を扱えない自分を恥ずかしく思い、俯いた
遅れましたが、これから宜しくお願いします!
一応分かりづらいかもしれないと思って訳も一緒に載せてるんですが、邪魔でしたら言って下さると助かります
ごちゃごちゃした印象を与えるこの広場は割と好きだな、と改めて思う。
ふと、聞こえた声の方へ向きその主を確かめる。
みな兎「……」
先程の二人にしたような礼儀正しさはどこへ消えたのか、凍てつくような視線で祈ルヴァーナを見やる。
理由などないのだ。彼が紫煙の者であるから。
准将であっても恭しくするつもりはあまりなかった。
濡れたように濃いそれは、ともすれば溝鼠のようだ。
独特な着物に、奇妙な模様の描かれた紙の面。
けれど刺すような殺気が、一見正体不明の人物の名を明るみに出す。
祈ルヴァーナ「……ヴェルカ」
ぽつりと呟いた。
探す人物は、ここには居ないようだ。
まるで汚物でも見るように、きっ蝶はそちらに一瞬向けた目を僅かに濁らせた。
きっ蝶から向けられた視線に臆することなくみな兎に言葉を返す。
行儀悪くベンチに乗せた足を下ろすと、寒さでこわばった身体をほぐすように伸びをする。
ここ暫くは書類とにらめっこをするか公園で暇を潰すかぐらいしかしては居ない。
元々インドア派ではあるのだが、あそこまで書類が積み重なった私室にずっといたら頭が可笑しくなってしまいそうだ。
今頃暖炉の火ですべて燃えていればいいのに、と思いながら締りの無い笑顔を少女二人に向けた。
言われた言葉も想像していなかったものでどう返そうかと口をもごつかせ、どうしたものかと言わんばかりの顔色でゆら氣ときっ蝶に目を向ける。
考え付いたのがさり気なく、話題を変えるということだった。
みな兎「ここは … 様々な人が集まりやすいところなんですね」
その話題は何処か間抜けな物で彼女の動揺が顕著に表れたものだった。
その上普段彼女が如何に人付き合いが少なく人に慣れていないかを示すものでもあった。
落ち着いた態度と声は、自然とこちらまで落ち着かせるようだ。
きっ蝶「……おはよう」
すると、背後から掛けられた声に驚いて振り返る。
顔を見て一つ下の階級の彼女だと気づくと微笑と共にぽつりと答えた。
彼女の元へ行こうとするが、ゆら氣の隣のやけに声の大きい男に気を取られて、細めた視線を向けてしまう。
((
参戦ありがとおおおお
こちらこそ!!!!
しりとりを断った所為か不服そうに膨れる上級大将を無視していれば、次々と声が掛かる
特に職務もなく暇ばかりなこの時間、やはり辺りを見回しても人は多い。
彼女らもきっと暇に耐えかねて外へと出てきたのだろう。
ゆら氣「おはよう。胡蝶中尉、時鳥谷大尉。」
起伏のすくない落ち着いた声であいさつを返す。
白い息が揺らいで消える。やはり、寒い。
そんな寒さを体現したかのような隣の白い男は、自分にも声が掛けられたことに驚いたのか長椅子から背を起こして声の主を見上げた。
ひずム「やぁやぁやぁ、おはよう!紅玉の子は礼儀正しいしかわいい子が多くていいね!!おはよう!」
休暇を与えられても特別親しい者の居ない自分には時間を消費する手段を考えることしかできない何とも無駄な物でしかなかった。
新鮮な空気を求め、足は自然と広場へ向かう。
広場に着き、ふと長椅子の方へ目を向けると自分の上司と敵対する軍の男の二人が目に入った。
みな兎「神殻代将、それから神去上級大将さんもこちらにいらしたのですね、おはようございます。」
二人に一礼してその場に踏みとどまることなく縁側へ向かおうとする。
そしてもう一人の存在にも気づき、一礼。
みな兎「時鳥谷太尉も、おはようございます」
伏し目がちな瞳は変わらないままで口元に笑みを浮かべて会釈をし縁側に腰掛け空を仰ぐ。
₍₍
遅ればせながら参加です!
よろしくです!
休暇を与えられても特別親しい者の居ない自分には時間を消費する手段を考えることしかできない何とも無駄な物でしかなかった。
新鮮な空気を求め、足は自然と広場へ向かう。
広場に着き、ふと長椅子の方へ目を向けると自分の上司と敵対する軍の男の二人が目に入った。
みな兎「代将、それから神去大将さんもこちらにいらしたのですね、おはようございます。」
二人に一礼してその場に踏みとどまることなく縁側へ向かおうとする。
そしてもう一人の存在にも気づき、一礼。
みな兎「時鳥谷太尉も、おはようございます」
伏し目がちな瞳は変わらないままで口元に笑みを浮かべて会釈をし縁側に腰掛け空を仰ぐ。
₍₍
遅ればせながら参加です!
よろしくです!
休暇を与えられても特別親しい者の居ない自分には時間を消費する手段を考えることしかできない何とも無駄な物でしかなかった。
新鮮な空気を求め、足は自然と広場へ向かう。
広場に着き、ふと長椅子の方へ目を向けると自分の上司と敵対する軍の男の二人が目に入った。
みな兎「代将、それから神去大将さんもこちらにいらしたのですね、おはようございます。」
二人に一礼してその場に踏みとどまることなく縁側へ向かおうとする。
そしてもう一人の存在にも気づき、一礼。
みな兎「時鳥谷大尉も、おはようございます」
伏し目がちな瞳は変わらないままで口元に笑みを浮かべて会釈をし縁側に腰掛け空を仰ぐ。
₍₍
遅ればせながら参加です!
よろしくです!
束の間の休暇は、かえって仕事詰めな毎日に穴を開けて、自分を怠惰にさせている。
外に出れば、こごった要塞の中の空気で汚れた肺が洗われる。
冷たすぎるくらいに澄んでいた。
白い息を吐き、行く宛もなく広場に足を踏み入れる。
ここは広いけれど、狭い。
白と黒、対を為す二人の男性が長椅子に腰掛けているのが目に入った。
白いほうは神去ひずム、蒼の上級大将。知らない者は居ない。
黒いほうは神殻ゆら氣、紅の代将。……私の上司。
きっ蝶「お早う御座います、神殻代将。……神去上級大将」
通りすぎざま、彼らに機械的に会釈をした。
礼儀は大事だ。……いくら相手が憎かろうと。
((
参戦ありがとうございまあああああす!!!!
こちらこそよろしくお願いします!!
薄暗かった公園は徐々に明るくなり、湿り気を含んだ草木が僅かに煌めく。
公園の中程、小道の脇に設置されているベンチには白と黒の対をなす人影が二つ。
寒さで白い息を吐きながら、一人は行儀悪く、一人は妙に姿勢よく座っていた。
ひずム「しりとり」
ゆら氣「しないぞ」
>>
初コメがこんなのでよかったのかしら・・・
これからよろしくお願いします!