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ある情景 その2(工事中)
- 2012/06/18 10:09:27
投稿者:こぐまのくまくま
幸一は明治時代から続く老舗の雑貨問屋の御曹司だ。
大きな企業ではないが、堅実をもっとうとする会社で地元では有名。
自宅の敷地には数棟の蔵もある。
この会社では代々社長に就任すると改名し、「平左衛門」を襲名する習わしがある。
幸一も50歳になり、5代目の「平左衛門」を襲名していた。
彼はまじめで毎日朝暗いうちから、日が暮れるまで仕事をして、いわゆる仕事人間だ。
それはあることがきっかけで始まった。
ある日、税務調査が入るかもしれないということで
夜、社員が帰ってから帳簿類の確認をしてみた。
信頼を置いていた社員が使い込みをやっていた。
その社員は金銭の管理を一手に引き受けていたのだ。
損失は数億円にものぼっていた。
この金額は従業員100名前後の零細企業の幸一の会社が支払のできる金額ではない。
昔からの取引のある銀行に融資を頼んだが断られた。
手形の決済期日が迫るなか、条件のゆるやかなサラ金から融資を受けた。
高金利なのですぐに自転車操業に追い込まれた。
やがて町金融にも手を出してしまった。
会社を存続させたい一心だった。
返済のための借入、借入のための返済である。
こうなってくると正常な思考ができなくなってくる。
(工事中)