雨に香る銀木犀-色鉛筆series-
- カテゴリ: 自作小説
- 2012/03/07 22:51:37
君が望むまま
引かれて歩いて来たら
見知らぬ道に迷いこみ
晩秋の花の香りに惑わされた。
雨に濡れながらも
未だ飽きることなく歩く君を目に
私は香りの源を探したくて
君の望む道とは違う方向へ足を進めた。
やっとみつけた。
今度は晴れた日に来よう
君もまた一緒に、ね。
君が望むまま
引かれて歩いて来たら
見知らぬ道に迷いこみ
晩秋の花の香りに惑わされた。
雨に濡れながらも
未だ飽きることなく歩く君を目に
私は香りの源を探したくて
君の望む道とは違う方向へ足を進めた。
やっとみつけた。
今度は晴れた日に来よう
君もまた一緒に、ね。
眼前の景色が信じられなかった。
確かうとうとし始めた時には
バイパスを走っていた筈なのに。
「ここ、どこ!?」
いつか連れてくるって言ったべ
ここは朝が一番綺麗だ
それも寒いけど冬の朝が特に...
いやいやいや。
そんなことを聞いてるんじゃ、なく、て...?
うーわー、本当に綺麗!!
朝陽が...
先生の家は
どこか浮世絵離れしていて
時間の進み具合が下界と違う気さえしてしまう。
戸棚に並んでいる先生お気に入りの洋書も
ノスタルジックな音をたてている柱時計も
そう、家中ほのかに香るこの甘い香りも
何もかも異世界を思わせる。
先生、起きて下さい。
もう昼ちかい刻ですよ。
台所にオーツ麦のポリ...
あれ?
めずらしいね、今日は烏龍茶じゃないんだ。
呑めない訳じゃなかったんだ。
いつも酔っ払い相手に聞き役に徹してる
呑めないと思っていた彼女が
今夜は綺麗な色のグラスを傾け頬を染めていた。
たまには、ね。
こんな時くらいは、ね。
いわくつきのピーチフィズでね。
少し酔っぱらっているらしい、
...
歌声が聴こえる。
ひどく懐かしい曲だ。
遠い故郷や、故郷に残してきた大切な人達を思いだす。
やわらかな優しい歌声
これは誰が歌っているのだろう?
この怪我さえなければ、すこし顔をあげて確かめられるのに。
明日の朝、
誰かに訊ねてみよう。