フローリングの上で眠る犬と少年
- カテゴリ: 自作小説
- 2010/06/04 22:49:18
雪がチラチラ降る夜に
君は貰われてきたんだよ。
そう君はモコモコの毛皮をまとい、
まだ開ききららない瞳で僕をすがって来たんだ。
気持ち良さそうに眠ってるね。
僕も一緒に横になっていいかい?
雪がチラチラ降る夜に
君は貰われてきたんだよ。
そう君はモコモコの毛皮をまとい、
まだ開ききららない瞳で僕をすがって来たんだ。
気持ち良さそうに眠ってるね。
僕も一緒に横になっていいかい?
チィは甲から戻ったのか?
いや、リンと共に子へ言ったきり戻ってないよ。
丙午の年だし、閏は遥か先だよ。
もし還ることがあれば
蠍街の紅蘭楼に居ると伝えてくれ。
紅玉の行方を教えてやれるだろう。
カラカラだね。
以前来た時には泉はたくさんの水を湛えていたのに。
ライムの木も枯れてしまっているね。
やぁ、ヤコブ悪いね。
ここで少しは休ませてやれるかと思ったけど
こんな有様だ。
夜は盗賊が出ないとも限らないし、
街へ急ぐとしようか。
満月の夜に
金色の鍵と、銀時計と、白い天使の羽を用意して
零時丁度に南向きの窓から飛び出すと
妖精の国へ行けるんだって。
でも片道切符だから
帰ってこれなくなるって
日曜学校のオトモダチが喋ってた。
紫陽花?
そう、紫陽花。
心変わりという意味を持つ花。
でも、そんな深い意味があるとは思えない。
だって昔からずっと咲いていたって記憶してる。
それは確かな記憶?
更紗の8ミリには映っていなかったわ。
まだ2年しか経っていない映像なのに。
...そんな、馬鹿な。
あれは物心ついた時には、もう...