とあるマナーハウスの一場面
- カテゴリ: 自作小説
- 2012/05/20 07:46:50
「人を馬鹿にしてると思わない?」
収穫したばかりの野菜を手で弄びながら、
年若いメイドがこちらに同意を求めてきた。
「そうさなぁ。おまいさんの言う事ももっともだが、
わしは、そのにいさまの言わんとしとる事も分からんでないがのお。」
「そりゃ、私だって...。」
言いかけたその時、母屋の方か...
「人を馬鹿にしてると思わない?」
収穫したばかりの野菜を手で弄びながら、
年若いメイドがこちらに同意を求めてきた。
「そうさなぁ。おまいさんの言う事ももっともだが、
わしは、そのにいさまの言わんとしとる事も分からんでないがのお。」
「そりゃ、私だって...。」
言いかけたその時、母屋の方か...
使用人の私が言うのは
出過ぎた真似かもしれませんが
そのような事は
お兄様であられるグレアム様も望んではおられないと...。
ええ、それは分かっているわ。
いつも兄様は優しいもの。
だけど、だからと言ってこのままいつまでもという訳にはいかないでしょ?
いいえ。
お嬢様が一番ご自分の為に良いと思わ...
一番気を付けなければならない?
ごめんなさい、意味が分からないわ。
お屋敷に置いて貰ってまだ一月足らずですが、
お嬢様は...、何というか一番お優しくて手がかからないように
お見受けされるのですが。
ええ、
あなたの目測は間違っていないわ。
でも、お嬢様には一番心砕く必要があるのは本当。
重々承知...
ママ、
お外にきれいな色の鳥さんがいるよ。
ママはちょっとこっちをみて
スズメさんかしら?ってぼくに聞いたの。
ちがうよ
スズメさんとは全然ちがうもん。
あら!本当
どこの子かしら
きっとご近所で飼ってる子が逃げ出したのね。
よく見ようとしたママがベランダに近づいたら、
きれいな鳥さんはその...
私の声がきこえますか?
雪降るように幸せは
貴方に降り積もっていますか?
春の日差しのように優しさは
貴方に降り注いでいますか?
歩みだした道が光ある後悔しない道であることを
遠き地からではありますが祈っています。