初雪の空-色鉛筆series-
- カテゴリ: 自作小説
- 2012/02/23 23:18:48
見上げたら
雪がひらひらと
とてもたくさん空から降ってきたんだ。
ひとつちいさなくしゃみがでて、
ほんの少しだけ後悔し始めた頃
座ってるベンチの横に探しに来てくれたお兄ちゃんをみつけたの。
「もう家に帰るよ。」
ううん、と首を横に振ることは出来なくて
差し出された温かな手をつかんで帰途についたの...
見上げたら
雪がひらひらと
とてもたくさん空から降ってきたんだ。
ひとつちいさなくしゃみがでて、
ほんの少しだけ後悔し始めた頃
座ってるベンチの横に探しに来てくれたお兄ちゃんをみつけたの。
「もう家に帰るよ。」
ううん、と首を横に振ることは出来なくて
差し出された温かな手をつかんで帰途についたの...
やわらかなあたたかな日差しが差し込む昼下がりに
このコンサバトリーでお茶をするのがお嬢様の日課。
母屋からトマスが車椅子を押し
ここへ着かれたら私がお茶と焼き菓子をお持ちする。
この時ばかりは、わずかばかりの笑顔をみせて頂ける
この瞬間が私は一番好き。
お嬢様、今日は趣向を変えてアップルティーを...
貴女はこうなることを予測されていたのでしょうか?
僕自身、こうしてここへ戻って来るなんて思いもよらなかったのですが。
仕事の合間にこの窓から見える
懐かしく見慣れた景色を眺めていると
今も変わらない笑顔でそこに居てくれるような気がしてしまいます。
恩返しをするには遅すぎますが、
あなたが遺してく...
ねぇ、聞いてひどいのよ。
誰も私の言うことなんか聞いてくれやしない。
あぁ、マリーあなたが話をすることが出来たらいいのに。
いつもそうだ。
部屋に帰って来ると
私を抱いて一頻り同じように私が口をきけたら良いのにと嘆き
頬を摺り寄せて涙を数粒零すんだ。
私を大切にしてくれるこの娘の願いをきいてあげ...
どうして、
こんなになるまで...
いや。呪うなら気付けなかった自分を呪うべきか。
そっと眠っている子の頬を撫でると
良い夢でも見ているのか
嬉しそうに何か一言二言呟いて
眠りの底におちていった様子だった。
これから、どうなるんだろう。
東の空は真っ暗で、
これから降る雨を予感させた。