10月自作 (月見)「玻璃の珠」後編
- カテゴリ: 自作小説
- 2020/10/31 22:26:55
がら開きのトラックの窓から、びゅうびゅう風が吹き込んでくる。 青空の下に、真っ赤な砂漠が広がっている。 道なき道を、トラックは走る。ひたすらに。地平線の向こうを目指して。 つらなる砂丘。孤空を飛ぶ鳥。はるか遠くに、ラクダの列。 えっ? 隊商? これは…&h...
がら開きのトラックの窓から、びゅうびゅう風が吹き込んでくる。 青空の下に、真っ赤な砂漠が広がっている。 道なき道を、トラックは走る。ひたすらに。地平線の向こうを目指して。 つらなる砂丘。孤空を飛ぶ鳥。はるか遠くに、ラクダの列。 えっ? 隊商? これは…&h...
作るのは簡単なのです。 思いっ切り、この白銀の管を吹く。 ほんとうにただそれだけで。 種も仕掛けもございませんよ。 1たす1は2であるように、夜が明ければ朝が来るように、 これは当然の結果なのです。 管の先にまっかに溶けたガラスを付けて、思い切り吹く。 そうすれば、しゃぼんのように膨ら...
それから俺は、ただただ呆然と、部屋が子供のもので埋まっていくのを眺めるばかりだった。 組み立て式の天蓋付きベッド。ちなみに天蓋は花模様の豪華なステンドグラス。子ども曰く、芸術家の手による一品もの、らしい。 巨大な十五階建てのドールハウス。たぶんこれは白鷹の城をそのまんまモデルにしてる...
「エリク。エリクや」 白髪の三つ編み、白髭ぼうぼうの俺のお師匠さまが、黒き衣の袖をひらひらさせて手招きする。 目が二つの山になってて、口はゆるやかな谷。 「あー、お帰りなさい、お師匠さま」 警戒しながら俺は頭を下げた。 ……やばい。 この表情...