Nicotto Town



青い薔薇の魔法(4)

 師に事情を話してから一週間後、エルクは師から眼鏡をもらった。  鍛冶工房にいる黒き衣のゼクシスに、特注で作ってもらったものだ。  近視になったからだとラデルには説明したけれど、ギヤマンのレンズには特殊な膜が貼られている。  (幽霊だけ見えなくなるなんて、すごい!)  眼鏡をはずすと、回...

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青い薔薇の魔法(3)

(はじめはぼんやり、影のようなものが見えるだけだった)(でも何日かしたらくっきりはっきりしてきて)(あっちにもこっちにも、うじゃうじゃいる……)(ほら、こっちをにらんでる) エルクが必死に頼んだので、師は口を閉じてくれた。 ラデルに講義で使う巻物を探すよう命じた師は、...

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青い薔薇の魔法(2)

 朝餉を食べ終えたあと、ラデルはエルクを図書室にいざなった。 二階にある図書室は、岩穴がいくつもつながっている構造で、とても広い。  壁は一面、岩をくりぬいた本棚だ。木製の書棚も、森のようにうっそうと、何列もそびえている。  書物が痛むのを防ぐため、窓はひとつも作られていないが、室内はとて...

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青い薔薇の魔法 (1) 

 きらめく湖水が足もとに寄せてくる。   まっ正面から吹いてくるのは、くるくる踊る、生暖かい風。 「上も青。下も青」  目をこらして、岸辺に立つ子はそうつぶやいた。  踊る風の向こうにある、晴れわたった空と、目の前に広がる湖の境目を、じっと見つめながら。  それから、自分が羽...

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