2月自作 氷雪 「雪まつり」2/2
- カテゴリ: 自作小説
- 2019/02/28 23:50:02
内臓が飛び出るかのような衝撃。ぐしゃりと、体が宮殿の白壁に叩きつけられる。 危なかった。腕時計のボタンをとっさに押さなかったら、全身の骨が砕けているところだ。 ついこの前、ウサギの技師からもらった腕時計は、強固な物理結界を展開する優れもの。もらった...
内臓が飛び出るかのような衝撃。ぐしゃりと、体が宮殿の白壁に叩きつけられる。 危なかった。腕時計のボタンをとっさに押さなかったら、全身の骨が砕けているところだ。 ついこの前、ウサギの技師からもらった腕時計は、強固な物理結界を展開する優れもの。もらった...
扉を開けたら、そこは雪国――ではなかった。 「今年は全然、雪が降らなくて」 異常気象とか暖冬だとか。そんな言葉が緑の芝生にたむろする人たちから、ちらほら。宮殿の光熱費が激減してウハウハだが、という声も聞こえてくる。紺のお仕着せを着たあの集団は、王宮の経理部に勤めている文官たちなのだろう。...