Nicotto Town



自作6月 告白「占いの館 後編」

 なんてこったい。あたしはあんたに、こんな占い小屋に来るんじゃなくて、神殿に行って懺悔しろと言うつもりだったんだがねえ。 まさかこんな、突拍子もないことを聞くことになろうとは。 百年近く生きてきて、こんなにびっくりしたことは初めてだよ。「俺はどうしても過去へ……戻らないと...

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6月自作 告白 「占いの館」前編

 おや、こんばんは。こんな夜更けにお客さんとは。店仕舞いの看板が見えなかったかい? やっぱり入り口にランプを下げるべきかねえ。  まあまあ、せっかく入って来たんだ、そこに座るがいいさ、赤毛のお兄さん。   ずいぶんおどろおどろしい形の椅子だって? 怖がることはない、ただの木彫りだよ。骸骨も悪魔も、あ...

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【闇の貴公子エピソード】 「ナルシス」  

(エメラルドさんのコッペリアエピソードからの続きということで。)
「narcisse」 その時――
 漆黒の闇に沈む館に、来客を告げる歌声が鳴り響いた。 それは厳かなる鐘の音。黒衣の門番が鳴らすものである。 この館は茨の形をした鉄柵に囲まれており、唯一開くところ、すなわち鉄の薔薇が咲き誇る門のそばに...

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岩手文学フリマ:6月17日:みうみの本販売します

「くれないの髪燃ゆる君」「どうか俺と踊ってください。花音(かのん)を舞えるウサギさん」 たじろぐクナの体を、風が絡め取った。 それは力強くも柔らかな風で―― あっという間に、クナはその空気に引き寄せられていった。 いきなり摘まれて、香りを吸われる花のように。(黒の舞師 3-3 白兎より)


前に本...

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自作5月 『燕 「哀しい贈り物」』3/3

『ぷはー!』  あああ、おいしかったー! さて、ずいぶん食べさせていただきましたが、残すはあとひとりですね。くふふ。 おびえて壁にすがりつく最後のひとり。赤毛の男に、私はずずずと近づきました。「く、くるな。頼む。来ないでくれ。みんなをどこへ連れて行ったんだ」『ああたんに、わかりやすく隣の牢屋に隔離し...

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