銀の狐 金の蛇 23 背中(後編)
- カテゴリ: 自作小説
- 2017/10/25 08:41:22
暗い洞内は細く、どこまでも一本道だった。 見上げれば、つららのような形の鍾乳石がびっしり垂れ下がっている。 長い長いトンネルはゆるやかに傾斜しており、白い子は一行をさらに地の奥底へと案内していった。 浅い皿のような穴が無数にあいている地べたはどこもかしこも湿っていて、うっすら張っている水はきんきん...
暗い洞内は細く、どこまでも一本道だった。 見上げれば、つららのような形の鍾乳石がびっしり垂れ下がっている。 長い長いトンネルはゆるやかに傾斜しており、白い子は一行をさらに地の奥底へと案内していった。 浅い皿のような穴が無数にあいている地べたはどこもかしこも湿っていて、うっすら張っている水はきんきん...
夢見の導師の問いに、士長は固い顔で答えた。
「前にも申し上げましたが、この子の父親は、生粋のユインのもんです」「うむ。その中の一体誰なのだ?」「誰かというのは……わかりません。国主さまは白子をお生みになったとき、父親は一の君様ではないが、生粋のユインのもんだと。それしか...
学都オムパロスは大陸の腹をえぐる黄海の真ん中にある。 大陸共通語ではナベルと呼ばれるが、その意味はずばり「臍」だ。 島は人工的に広げられており、ほぼ全域が白亜の街。七つの塔が針山のごとくそびえたつ。 島名すなわちこれ街の名であり、どこの国にも属さない。 「ここは大陸同盟の一機関。学...