自作8月 氷・城「思い出の城」3/3
- カテゴリ: 自作小説
- 2017/08/31 22:34:54
「というわけでその……」
「ああ、結果は、さっき隣の塔に帰っていったウサギたちから聞いとる」
大窓並ぶ謁見の間。玉座に足を組んで座っているジャルデ陛下が、俺にひらひら手を振り苦笑する。
料理大会が終わり、メンジェールの王宮で立太子の式と祝賀会なるものが開かれたあと。...
「というわけでその……」
「ああ、結果は、さっき隣の塔に帰っていったウサギたちから聞いとる」
大窓並ぶ謁見の間。玉座に足を組んで座っているジャルデ陛下が、俺にひらひら手を振り苦笑する。
料理大会が終わり、メンジェールの王宮で立太子の式と祝賀会なるものが開かれたあと。...
重々、警戒はしていたはずだった。 フーシュ殿下とおばちゃんは幾人もの護衛に守られて、大会前日メンジェールに入った。 だが、王太子としての教育を当然のように受けてきた第一王子もまた、自身の腕のみに頼るのは不安だったのだろう。 しかも第一王子派は、剣に食聖の魂がやどっているのはガセネタと...
エティア王国国王ジャルデ陛下のお妃さまは、蛇である。 蛇のような性格の人ではなくて、尻尾がある蛇女とかでもなくて、完全に蛇である。 長さはだいたい、三分の一パッスス。茹でとうもろこしをニ本並べたくらいだ。 そう、まさにこのまな板の上にのってるこれぐらい。 ...
士長こそは、英雄と呼ばれるべき類の人だろう。 巨大魚の頭を切り裂くさまは、疾風のごとし。 持っているなたのような刀は無骨な形だが、切れ味は抜群だった。 しかし……
(どこかで使ってきたばかり? だが)
刀剣は、普通汚れたまま鞘に戻すものではない。刀身を振り、草や布で汚...
たちまち魔法の気配が降りてきて、二人の右手に魔力が集まった。
『虚空に在りしは 黄金《こがね》のつわもの かかげし御旗は烈空の怒り』
弟子の精霊は契約済みで召喚詠唱が短縮されているとはいえ、それでもかなり長い。 師が士長に初歩の結界を投げてその体をくるんだあとも、弟子は澄んだ声音で歌い続け...