Nicotto Town



自作8月 氷・城「思い出の城」3/3

「というわけでその……」
「ああ、結果は、さっき隣の塔に帰っていったウサギたちから聞いとる」

 大窓並ぶ謁見の間。玉座に足を組んで座っているジャルデ陛下が、俺にひらひら手を振り苦笑する。
 料理大会が終わり、メンジェールの王宮で立太子の式と祝賀会なるものが開かれたあと。...

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自作8月 氷・城「思い出の城」2/3

 重々、警戒はしていたはずだった。  フーシュ殿下とおばちゃんは幾人もの護衛に守られて、大会前日メンジェールに入った。  だが、王太子としての教育を当然のように受けてきた第一王子もまた、自身の腕のみに頼るのは不安だったのだろう。  しかも第一王子派は、剣に食聖の魂がやどっているのはガセネタと...

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自作8月 氷・城「思い出の城」1/3

   エティア王国国王ジャルデ陛下のお妃さまは、蛇である。  蛇のような性格の人ではなくて、尻尾がある蛇女とかでもなくて、完全に蛇である。  長さはだいたい、三分の一パッスス。茹でとうもろこしをニ本並べたくらいだ。  そう、まさにこのまな板の上にのってるこれぐらい。  ...

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銀の狐 金の蛇21 精霊刀(後編)

 士長こそは、英雄と呼ばれるべき類の人だろう。 巨大魚の頭を切り裂くさまは、疾風のごとし。 持っているなたのような刀は無骨な形だが、切れ味は抜群だった。 しかし……
(どこかで使ってきたばかり? だが)
 刀剣は、普通汚れたまま鞘に戻すものではない。刀身を振り、草や布で汚...

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銀の狐 金の蛇21 精霊刀(中編)



 たちまち魔法の気配が降りてきて、二人の右手に魔力が集まった。
『虚空に在りしは 黄金《こがね》のつわもの かかげし御旗は烈空の怒り』
 弟子の精霊は契約済みで召喚詠唱が短縮されているとはいえ、それでもかなり長い。  師が士長に初歩の結界を投げてその体をくるんだあとも、弟子は澄んだ声音で歌い続け...

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