Nicotto Town



7月自作 青空の広間

 俺はひたすら降りていた。  かつりかつり、軍靴の音を鳴らしながら。一段一段ゆっくりと、階段をひたすら降りていた。  そこはゆるやかな螺旋階段で、なだらかな円をなす壁はとても暗い。  何段あるのか、数えることを忘れたころ、延々と降りた渦巻きの底に行き着いた。  そこはかなり暗い広間で、なんとも不思...

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【石物語】黒衣の魔術師 ②

「王様からのご褒美すごいわよね。あれ、あなたよりも十倍はでっかい金剛石だったわ」  窓辺に寝そべる猫がぱしんぱしん。尻尾を振りながらにゃあにゃあ。 「とってもきらきらしてた。いいなぁ。あたしにくれないかしら~」  私もいちおう、金色のきらきらが入ってますが… 「そうね。でもあな...

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【石物語】黒衣の魔術師 ①

 どろどろどろどろ。  舞台のすぐ下で太鼓が鳴ります。  火薬が弾ける音とともに突然、舞台に黒い影が現れました。  きなくさい白煙と一緒に顕現したその者は両手を合わせ、客席に向かって深々と頭を下げます。 「みなさまに、太陽と月の恵みがありますように」  黒いターバン。黒服に黒マント。頭に...

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【石物語】ラピス

ラピスラズリ・デュ・ヴレ・ヴィサージュ Lapis lazuli du vrai visage
(フランス語で真貌のラピスラズリ、愛称ラピス)

紺碧のラピスラズリ。黄鉄鉱の金色の条が走る。
自ら変容する力、あるべき姿と歓びの希求から組成される。
最初の所有者は半面に大きく傷を負ったフランスの宮廷奇...

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銀の狐 金の蛇 17話 陥没(後編)

 ソムニウスはじっと扉を見つめた。 青白く光る扉。その向こうにいるものは、今まで再三気配を感じてきたものだ。 その子どものごとき声は、今なんと言ったのだろう?
「醜いだと? 赤い髪だから、醜い? ああ……ああ、そうか」
 真紅の髪は、ほとんど藍色の髪の民のなかにあってはか...

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