7月自作 青空の広間
- カテゴリ: 自作小説
- 2017/07/31 23:41:16
俺はひたすら降りていた。 かつりかつり、軍靴の音を鳴らしながら。一段一段ゆっくりと、階段をひたすら降りていた。 そこはゆるやかな螺旋階段で、なだらかな円をなす壁はとても暗い。 何段あるのか、数えることを忘れたころ、延々と降りた渦巻きの底に行き着いた。 そこはかなり暗い広間で、なんとも不思...
俺はひたすら降りていた。 かつりかつり、軍靴の音を鳴らしながら。一段一段ゆっくりと、階段をひたすら降りていた。 そこはゆるやかな螺旋階段で、なだらかな円をなす壁はとても暗い。 何段あるのか、数えることを忘れたころ、延々と降りた渦巻きの底に行き着いた。 そこはかなり暗い広間で、なんとも不思...
「王様からのご褒美すごいわよね。あれ、あなたよりも十倍はでっかい金剛石だったわ」 窓辺に寝そべる猫がぱしんぱしん。尻尾を振りながらにゃあにゃあ。 「とってもきらきらしてた。いいなぁ。あたしにくれないかしら~」 私もいちおう、金色のきらきらが入ってますが… 「そうね。でもあな...
どろどろどろどろ。 舞台のすぐ下で太鼓が鳴ります。 火薬が弾ける音とともに突然、舞台に黒い影が現れました。 きなくさい白煙と一緒に顕現したその者は両手を合わせ、客席に向かって深々と頭を下げます。 「みなさまに、太陽と月の恵みがありますように」 黒いターバン。黒服に黒マント。頭に...
ラピスラズリ・デュ・ヴレ・ヴィサージュ Lapis lazuli du vrai visage
(フランス語で真貌のラピスラズリ、愛称ラピス)
紺碧のラピスラズリ。黄鉄鉱の金色の条が走る。
自ら変容する力、あるべき姿と歓びの希求から組成される。
最初の所有者は半面に大きく傷を負ったフランスの宮廷奇...
ソムニウスはじっと扉を見つめた。 青白く光る扉。その向こうにいるものは、今まで再三気配を感じてきたものだ。 その子どものごとき声は、今なんと言ったのだろう?
「醜いだと? 赤い髪だから、醜い? ああ……ああ、そうか」
真紅の髪は、ほとんど藍色の髪の民のなかにあってはか...