Nicotto Town



自作1月 鳥・卵 「王様のたまご」3/3

『たしかに僕は他の貴族をおとしめようと悪いことをした。その報いだということは十分に分かっている。だがしかし、食べ物がまずいということは、それだけで相当こたえるものだろ?』
『それはそうですね。私も、あのハムパンはおいしくないと思いますよ』
『なあ、配られる食事に、ちょっと手を加えてもいいよなぁ?』
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自作1月 鳥・卵 「王様のたまご」2/3

 王弟殿下も青年と同じく、甘露を出す魔王の魅了の技にとらわれていた。ゆえに陪審員は完全な有罪とはしなかった。
 王族の特権、継承権の剥奪。遠島への追放。
 当初処刑はまぬがれぬと囁かれていただけに、判決を聞いたジャルデ国王はホッと胸をなでおろしたという。

『エティアは三権分立だからなぁ。王とて、い...

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自作1月 鳥・卵 「王様のたまご」1/3

 
 果てしなく続く大理石の床。白と黒の格子模様が、細長く南北に渡っている。
 左右の壁には、細い扉がずらり。窓のないその廊下は地階なのだろう。等間隔に灯り玉が壁からせり出し輝いている。
 赤毛の男がひとり、長い廊下をひたすらモップで磨きまくっている。
 腰には銀の鎖。その手足には銀の枷。...

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銀の狐 金の蛇5 「呪詛」 後編

「魔法の気配は下りてないが……」
「ええ。実質的な危険はありませんが、よい雰囲気ではありませんね」

 老婆は祭壇の前から少しも動かない。平伏しながら歌の文句を繰り返し唱えている。
 しかしお参りに来た人々も床を掃く奉りびとも、その老婆にまったく驚く様子はない。皆そしらぬ...

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銀の狐 金の蛇5 「呪詛」 前編

 せっかく登った山道をかなり下り、獣道のごとき細い迂回路を歩き。
 やっと行き着いたその国は、寺院の向こう岸にある街よりはるかに狭かった。
 四方八方鬱蒼とした森林のなかにある、猫の額ほどの平地。
 そのわずかばかりの土地を真っ二つに割る太い大通りの両脇に、四、五階建ての木造の家々が林立している。
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