4月自作 桜 『桜の姫』(後編)
- カテゴリ: 自作小説
- 2016/04/30 00:43:45
それから永い時間がたったあと。 私はトレジャーハンターの船に引き上げられました。 フジツボだらけの私の首には、フェイディアス様の白い骨の欠片がからみついていました。その腕の部分だけが。 他の部分は波にさらわれたり、魚につつかれたりして、なくなってしまったのです。 私はきれいにされて、い...
それから永い時間がたったあと。 私はトレジャーハンターの船に引き上げられました。 フジツボだらけの私の首には、フェイディアス様の白い骨の欠片がからみついていました。その腕の部分だけが。 他の部分は波にさらわれたり、魚につつかれたりして、なくなってしまったのです。 私はきれいにされて、い...
(今回はちょっとホラーです)
そのデッキは真っ白で、乗ってくるお客さんは誰もが一瞬目を焼かれました。 大理石のやわらかな光沢じゃありません。硬化ワックスを薄く薄く流し込んでいるのです。 だから異様につるつるで、ぴかぴかすぎました。 緩やかな曲線を描いて、はるか頭上でまあるい天蓋を作ってい...
かくして。
いけにえの巫女は最低あと六十五年ほど待たなければいけなくなり。
死者の神殿にて、祈りと修練の日々を過ごすこととなりました。
神たる青年は男たちも余っているからもういらないと仰ったので、以降、いけにえの儀式は行われないことに。
ほむらさんは神様のお墨付きをもらって晴れて少女の...
私が太陽神の幻像を映し出しますと。 蒼い髪の少女は目を見開き、兵士たちは唖然。 いやあ、幻像なんて今時めずらしいですよねえ。見たことない人がほとんどかも。 メニスの王アイテリオンのせいで、便利なものはなんでもかんでも禁止されちゃって、大陸の文化レベルって今や原始レベルなんですもん。 どよ...
『ほ、ほむらさん。あの……』
私は真っ赤な刀身が放つ波動の向こうから、ふんばる剣におそるおそる声をかけました。
『そのお嬢さん困ってますよ? 彼女は、自ら進んでいけにえになりたいのでは?』
『なにをいうのエクスちゃん! そんな運命に甘んじる生き物がこの世にいるなんて...