マスカットキャンディー-色鉛筆series-
- カテゴリ: 自作小説
- 2012/02/03 23:12:50
あれ、もう二人だけ?
あっこ、ノート貸してくれるって言ってたのに。
預かってる、預かってる。
急にバイト入ったんだって、謝っておいてって言ってた。
夕暮れ時の教室。
インフルエンザで遅れた課題をこなすのが目的なのに、
結局は中々進まなくて、時間だけがいたずらに過ぎてゆく。
午後ティーに
ポッキ...
あれ、もう二人だけ?
あっこ、ノート貸してくれるって言ってたのに。
預かってる、預かってる。
急にバイト入ったんだって、謝っておいてって言ってた。
夕暮れ時の教室。
インフルエンザで遅れた課題をこなすのが目的なのに、
結局は中々進まなくて、時間だけがいたずらに過ぎてゆく。
午後ティーに
ポッキ...
玄関の古時計はまだ6時を廻ったばかりで
外は白々と夜が明け始めてる。
息は白く
手はかじかみ
それでも横で君は嬉しそうに
僕の脇を少し遅れて歩く。
坂道からさえ見える、あちこちの湯けむりは
静まり返った朝を少しだけにぎやかに演出している。
坂道を登り切った先に
目的地の六番外湯が見えてきた。
ブランコを立ちこぎしながら見た
あの頃の夕焼け空は
今よりもっと澄んでいて、
浮かんでいた雲もただただ綺麗だった気がする。
いつからだろう
赤く染まった夕焼け空、浮かぶ雲を見て
無性に泣きたくなるような何とも言えない感情が
湧いてくるようになったのは。