エメラルドの都-色鉛筆series-
- カテゴリ: 自作小説
- 2011/12/13 22:09:18
誰もいない
ここに街があったなんて
今や想像すら出来ない。
大昔ここには
とても繁栄した都があったんだ。
国の各地に宝石の名を冠とした、
それは大層美しい国だった。
その悲運の国の話はいずれまた。
誰もいない
ここに街があったなんて
今や想像すら出来ない。
大昔ここには
とても繁栄した都があったんだ。
国の各地に宝石の名を冠とした、
それは大層美しい国だった。
その悲運の国の話はいずれまた。
外は今日も雪がしんしんと降っている。
アスタワは今日も来そうにないね。
コケモモのジャムをママから預かっているのに。
ヴィルヘルム、もう邪魔をしないで。
ほら、お願いだから。
いいわ、雪が少し収まったら散歩連れて行ってあげるから。
こんな日は
温かな火の傍に居るのが一番なんだけど。
ここで最後に会ったの覚えてる?
君は怪訝そうな顔で僕を見つめた。
どうも覚えていないらしい。
その様子だと覚えていないみたいだね。
忘れたならいいんだ。
あまり良い思い出とも言えないし、忘れてたままの方がいいかもしれない。
夕暮れ時のこの並木道、
僕はその度に思い出すというのに
当事者の君がそ...
風のざわめきが
僅かに普段と違う。
鳥が飛び立つ鳴き声に
違和感を感じる。
月が翳る。
闇が濃くなる。
何が起ころうとしているんだ?
嫌な胸騒ぎがする。
眠ってる。
こんな狭い所で。
お気に入りがいっぱい。
蒼色のビー玉に、
外国のマッチ箱、
海で見つけた桜貝。
まぁ、まるで
冬眠中のリスのようね。