宇宙ゴミになったクズト 11
- カテゴリ: 自作小説
- 2009/07/26 20:55:03
西暦2030年、生物が地球に誕生して40億年の時間が過ぎて人間は生物の頂点に位置していた。
遺伝子操作により人間は神の領域を犯し、一部の人間にとって都合の良いものを創りだしていた。
宇宙船ミルキーウエイでは、治療室に運ばれたクズト少佐の姿があった。
船長リサが、クズトに冗談をまじえて話しか...
西暦2030年、生物が地球に誕生して40億年の時間が過ぎて人間は生物の頂点に位置していた。
遺伝子操作により人間は神の領域を犯し、一部の人間にとって都合の良いものを創りだしていた。
宇宙船ミルキーウエイでは、治療室に運ばれたクズト少佐の姿があった。
船長リサが、クズトに冗談をまじえて話しか...
クズトは地球の夜の円いシルエット見詰めていた。
太陽系第三の惑星地球には、人間の文明の証である灯かりが見えた。
その灯かりは、太陽の光線が地球にあたり丸く縁を描き出す青白い輪郭の明るさに比べればほのかなものだった。
英知あふれる人間が創り出した文明も、この広大な宇宙では極微のものに思えた。
...
1997年12月11日に国立京都国際会館で行われた地球温暖化防止京都会議をかわきりに地球環境問題が国をあげたビジネスになり、宇宙ゴミの回収も各国が争うビジネスとなっていた。
宇宙ゴミの回収は国の外貨を獲得する手段として期待できるものだった。
そんななか、宇宙ゴミの回収技術は各国の最高の国家秘密と...
クズトの生命維持システムのバッテリーの容量は後一時間ぐらいになっていた。
バッテリー切れは、宇宙服内部の温度、換気、気圧の調整ができなくなることを意味し死につながることを暗示していた。
宇宙は静かだ。
その静けさがクズトの肉体を宇宙に溶け込めさす感じを与えていた。
この限りない大宇宙では、人...
2030年の医療は進歩していた。
核磁気共鳴画像法・MRIも小型化され宇宙船ミルキーウエイの治療室も搭載されていた。
メディカル・オフィサー・ノウセ少尉は副船長チロウ中佐の体をベッドにベルトで固定し、頭部は特に専用の固定器具で動かないようにした。
ちょうどノウセ少尉がMRIのスイッチを入れ...