とし婆さんはお茶を一口すすると話を続けた。
「お客さん、私の話を信じていないね。じゃ見せてやろう」
とし婆さんの話す口調が何かに呪われたかのように変わった。 とし婆さんは「ふふふ」と薄気味悪い笑いを残して立つと隣の部屋にすっーと消えた。
利弘は背中に何か冷たいものを感じたが幻の蝶が見ら...
とし婆さんはお茶を一口すすると話を続けた。
「お客さん、私の話を信じていないね。じゃ見せてやろう」
とし婆さんの話す口調が何かに呪われたかのように変わった。 とし婆さんは「ふふふ」と薄気味悪い笑いを残して立つと隣の部屋にすっーと消えた。
利弘は背中に何か冷たいものを感じたが幻の蝶が見ら...
利弘は新聞のコラムに目を止めた。
「幻の蝶を訪ねて。村に伝わる伝説の蝶」
利弘は少年の時から蝶に興味を持っていた。
蝶の標本を小学生のときに父から誕生日のプレゼントとしてもらったときから蝶の魅力に取りつかれた。
美しくよわよわしい。捕まえて触ればすぐにいたんでしまう羽。細く長く...
後ろに置かれた人形から人の気配がするのを感じ田村巡査は後ろを振りかえった。
「なんか気味が悪いなこの人形。しかし良くできたマネキンだ」
田村巡査は立ってマネキンに近づきながらそうつぶやいた。
改めて見ると人間のように見える。
誰もいない駐在所。裸のマネキン。男ならだれでも触りたくなる...
田舎の村に駐在所があった。
田村巡査長35歳はこの駐在所に勤務して3年、事件らしい事件は何も起こらないこの村に少しいやけがさしていた。
ある日の午後いつものように村の巡回をしようと準備をしていたところに、とし婆さんが息をきらしながら駐在所に駆け込んできた。
「田村さん、向こうの田んぼのあ...