恋は舞い降りる天使の羽のように~初夏~(14)
- カテゴリ:自作小説
- 2010/01/15 14:37:07
春菜の姿が校舎に消えると、杏樹は再び歩き出した。
杏樹は春菜に出逢ったことで、かえって新しい一歩を踏み出す勇気をもらったような気がした。
顔を上げて、校門の鉄の扉についている天使のレリーフを見上げた。
(さよなら!天使。ごきげんよう・・・。みんな。)
開かれた門をくぐりぬけ、セミ時雨の中、バス停までの道のりをゆっくり歩いていった。
その夜は、早く帰宅した両親と久しぶりに夜遅くまで話した。(その夜、兄の亨は、帰ってこなかった。)
学校のこと、鈴羽での生活。今までのこと。
智子も隆も、しばらく会わないうちに随分と成長した娘の様子に目を細めた。
その夜、杏樹はベッドに入りながら、鈴羽村へと思いをはせた。
さて、翌朝。 鈴羽村では・・・・。
夕べ、美里蘭の経営する”スナックみさと”で喬介と飲んでいた龍太郎は、
店の駐車場に停めた自分の車の中で目覚めた。
6月とはいえ、鈴羽村の朝は冷え込む。
起き上がって、何気なくフロントガラスを見るとワイパーに一枚の紙が挿んである。
窓を開けて、そっと取ってみると、
(別荘にて・・・・。)
書かれていたのはこの一言だけだった。
だが龍太郎には、誰が挟んで行ったのかすぐに分かった。
(蘭・・・・さん。)
龍太郎は倒していた運転席のシートを起こすと、顔をパンッと1つたたいて、車のエンジンをかけた。
窓をいっぱいに開け、駐車場から出ると、明るい朝日がフロントガラスにまぶしくかがやいた。
家に戻ると、早起きの源さんは外の流しで顔を洗っているところだった。
「おう!夕べは楽しかったか?久しぶりの飲み会だったずら?」
「飲みすぎてしまって・・・。車で寝てきたんです。」
「そうか・・・。ん?今日・・ずら?美術展に行くのは?」
「はい・・・・・。」
「そうか。おい、それはそうと、朝飯の支度をしてくれるか?」
龍太郎は、慌てて家に入るとすぐに台所にたった。
味噌汁用の大根を切りながら、龍太郎はさっきのメモを思い出していた。
美里蘭の別荘は、鈴羽村から離れた隣町の別荘地の中にある。
この別荘の存在を知っている者はほとんど居ない。
だから、二人はそこで何回か逢瀬を重ねていたのだ。
<そう、杏樹が来るまでは・・・・・。>
杏樹のことを考えたら、胸の奥のほうで何かがチクッとするのを感じた。
(・・・・・・。俺は・・・。)
味噌汁と漬物で簡単に朝食すませると、龍太郎はアトリエも兼ねている自分の部屋に行った。
部屋の中で、出展する作品の荷造りを始めた。
この展覧会は、龍太郎の卒業した大学の教授、鳥越の私設美術館で開かれる。
源さんのことを知っている鳥越は、卒業生だった龍太郎にも声をかけたのだ。
源さんの勧めもあり今回出展することを決めたのだった。
だが、専門の運送業者に頼むとかなりの出費である。それゆえ、龍太郎は自分で運ぶことにしたのだ。
荷造りが終わると、普段はめったに乗らない自分の4WDに、作品をそっと運び込んだ。
その日の夕方、準備を終えた龍太郎は源さんにあいさつをした。
「そろそろ行きます。」
「うん。気をつけてな。鳥越さんによろしく言っといてくれや。」
「はい、いってきます。」
源さんに頭を下げると、心の奥が痛んだ。
本当は明日出発すればいいのだが、蘭の別荘に今夜行くために早く出てゆくのだ。
なんだか今回は後ろめたい気持ちがする。
別荘へと向かう道を走りながら、龍太郎の心は揺れた。
(いいのか、このままで・・・・。)
隣町に入り、国道をはずれ別荘地の中の道を走ってゆくと、奥まったところにある蘭の別荘が見えてきた。
玄関の明かりと、部屋の明かりが周りの木立の中にぽっかりと浮かんでいる。
こじんまりとした別荘の裏手に龍太郎は4WDを停めた。
玄関の呼び鈴を鳴らすと、鍵が開けられた。
「いらっしゃい!待ってたわ。」
蘭は、龍太郎を招き入れると扉を閉めた。
「明日は早いの?」
「あぁ。道が込まないうちに、インターまで行かないと・・・。」
「じゃぁ、すぐに夕食ね。準備は出来ているわ。」
萌黄色のサマーセーターとジーンズ姿の蘭は、店に居るときとは違いごく薄い化粧をしているだけだった。
蘭は、エプロンを取ってキッチンにたった。
鍋からは美味しそうな匂いが漂っている。
以前、東京でシェフをしていただけあって彼女の腕前は確かだ。
東京の店に勤めていたとき、そこのオーナーと結婚した。
しかし、いろいろあって離婚し、7年前に鈴羽村へ戻ってきたのだった。
村の顔役だった父親に、今の店をだしてもらい今に至っている。
龍太郎と知り合ったのは、4年前源さんが龍太郎を店につれてきたときだった。
そうして3年前から、二人の関係は続いていた。
「いい匂いだ・・・。」
キッチンに立つ蘭に龍太郎はそう声をかけ、後ろからそっと手を回して優しく抱きしめた。
~つづく~

























そうですよね~29で彼女いなかったら・・・ムフフ
最近生徒と接していて思うのですが、高校生までのほうが大人よりも成熟している面があるというか
なんなんですかね、生徒を見ているとものすごく癒されます。
何が言いたいのかというと、歳の差カップル最高!ってことですw
こんな展開アリですかぁいっっ!!!???
龍太郎ッッ!!!杏樹ちゃんは良いのかぁあああよぉおおお(◎д◎;)ξ
あはぁ〆(・ω・c)続き 楽しみにしてますよぉ~
最初は迷ったんですが、29歳にもなって彼女もいないなんてのはおかしい(?)と思いまして・・・。
この出来事は今後の展開にも、関係ありますし・・・|ω・`)コッソリ・・・。
今後を、乞う!ご期待!
龍太郎もそんな人なの・・・?
つ、続きが気になります^_^;
どうなるんだ~~~!
あ~どうするんだ龍太郎><続きが気になる~☆
杏樹が天使さんにサヨナラしとる時に何しとんぢゃい!!!w
さて、どうなりますやら♡