Nicotto Town


nekomeのつぶやき☆


恋は舞い降りる天使の羽根のようにー初夏ー(13)

 翌日、学院からの呼び出しに応じて、杏樹と両親は、学院長と佐々木教諭の前で話し合いをした。

  「では、お母様の勤める出版社は、直接あの雑誌と関係ないんですね?」

 佐々木教諭は、杏樹が居るのも気にせずに母の智子に聞いた。
 
 記事の内容は、ノーム・アロードのタケシや、杏樹たちの素性について
はっきりとは書かれていないが、学院の生徒であることもわかってしまうような内容だった。
一枚だけ、杏樹の写真が(目線が入っていたが)、記事に添えられていたのだ。
 
 この時点で、芸能雑誌に記事を持ち込んだのが、あのときに消えた男女の二人組だったのと、
母の智子の勤め先の出版社がその雑誌と直接ではないが関わりがあったということだけが解かっていた。
 
  「私の部署では、その雑誌についてノータッチなんです。記事を持ち込んだことも知りませんでしたし・・・。」

 智子は、弁解すればするほど身動きが取れなくなっているような気がしてきた。

  「まあ、いいでしょう。判断するのは今週末の緊急理事会ですから・・・。」

佐々木教諭は、そういって学院長の方を見た。

  「そう言うことになりますね。理事会後に結果を出したいと思います。」

  「結果というと?」

 父の隆が、学院長に問いかけた。

  「杏樹さんの処分についてです。」

  「杏樹は被害にあっただけで、何も悪いことはしていないんですよ?」
  
  「それは分かっています。しかしそういう場所に居たのは事実ですし、
    あのような記事を書かれてしまったのも事実ですから・・・。」
 
 隆は驚いてしまった。

  (ここまで、閉鎖的とは・・・・・。)

 杏樹にはとりあえず、処分が決まるまで自宅待機、ということでその日は家に戻った。

 何処をどうかぎつけたのか、家に戻ると留守電には取材依頼のメッセージが数件残されていた。
父の隆は、内容を聞きもせず、すべて消してしまった。

 学院側から、処分を知らせる文書が届いたのは、翌週になってからだった。
   
         『謹慎処分2週間』    というものだった。

 夏休みが明けて、すぐに謹慎期間の2週間が過ぎた。
しかし、処分が解けても杏樹は登校しなかった。
 なぜなら、夏休みの時から、杏樹の携帯に嫌がらせのメールが来るようになっていたからだ。

  『学院の恥!』  『目立ちたがりの厭なやつ!』  『学院にくるな!』  「辞めてしまえ!』

 毎日多くのメールが届いたのだった。

 この事件の中で唯一の救いは、ノーム・アロードのタケシがラジオ番組の中で
  杏樹たちを気づかってくれたことだけだった。

 

   と、その時。   チャイムが鳴った。 

 杏樹はハッとした。

 午後の授業が終わったのだ。

  「如月さん?大丈夫ですか?」

 佐々木教諭が、杏樹の顔を覗き込みながらたずねた。
あの時と同じ応接室で、杏樹は白昼夢を見ていたように、去年の出来事を思い出していた様だ。

  「すいません。大丈夫です。」

  「そうですか。では、これが成績に関する書類です。そちらの学校に行っても、しっかり頑張ってくださいね。」

 佐々木教諭はそういいながら、大きな封筒に入った書類を手渡した。

  「はい。ありがとう御座います。」

 杏樹はそういうと、ソファーから立ち上がった。
すると、学院長がすっと手を差し出した。

  「ごきげんよう、如月さん。頑張りなさいね。」

  「はい!学院長先生。」

 杏樹は、最後の握手をした。

  「ごきげんよう。学院長先生。ごきげんよう、佐々木先生。」

 深々と二人に頭を下げ挨拶をし、杏樹は応接室を後にした。
 
 休み時間らしいざわめきを背中で聞きながら杏樹は、涙が出そうになるのを必死で堪えた。
この学院を辞めてゆく自分だが、楽しい思い出が走馬灯のように思い出されるのだ。
やさしかった佐々木教諭。そして友人たち。
 
 玄関から出て並木道をしばらく行くと、後ろから誰かが走ってくる足音がした。
振り返ると、そこには宮島春菜が息を切らせて立っていた。

  「杏樹!」

  「春菜・・・。」

 春菜は、駆け寄って杏樹の手をとった。

  「元気だった。杏樹?」

  「ええ。」

  「あなた、おじい様のところに居るって小母様に聞いたけど?」

  「ええ。今,長野の鈴羽村ってところに居るの。」

  「メールも携帯もつながらないし・・・。どうしてるのかと思ってたの。」

 杏樹は学院の制服姿の春菜をまぶしそうに見た。

  「今度、手紙を書くわ。私、正式に学院を退学したの。」

  「えぇ!そうなの?しばらく休学したら戻ってくるかと思ったのに・・・・。」

 春菜は、ショックを隠しきれない様子だった。
そんな春菜を杏樹は、優しい目で見つめた。

  「ごきげんよう、春菜。」

  「ごきげんよう、杏樹。」

 春菜は予鈴のなる中、学院へと戻っていった。
その後ろ姿を杏樹は、ジッと見つめていた。          -つづくー

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2009/12/19 01:31
 杏樹のお兄さんのお陰で助かったものの。。。。
あの2人組みにぃいい(ーnー゛)
1杯やられましたね。。。。酷いぃいいw
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2009/12/17 21:56
おーこの展開・・
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2009/12/13 11:37
実際の話、こんな風にだまされて、
  親にも相談できずに大変な目に会う子もいるらしいです><

  子供の気持ちを弄ぶようなことがなくなると、委員ですが・・・・(*´ェ`*)
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2009/12/13 11:16
(>_<) ・・・・メールでいやがらせなんて最近のこは・・・なんて思ってしまいましたw

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2009/12/10 01:05
わ~い、すごく楽しみにしていましたヽ(^。^)ノ

これからもますます目が離せないです!!
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2009/12/09 00:27
待ってました!!!
なるほどそんな過去が!!!!
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2009/12/08 14:47
きたきたききたぁぁぁぁ!!!!!待望の続編!!!
nekome姫おつかれさーまー♡

そして、今後の杏樹もきになるーぅ



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