七夕の夜に
- カテゴリ:小説/詩
- 2025/07/07 21:42:19
僕が激しく君を抱きしめると
君のイヤリングの片方がはじけて飛んでしまった
きっとそこいらに落ちているさ、
銀河の奥や天の川の中を探してごらん!
君は不満そうに
見つからなければ新しいのが欲しいと言う
一つのボタンがなくなれば残りのボタンを
すべて変えなければいられないように
そんなふうに真新しい綺麗な
ひと揃いの愛を君は求めるんだね
魔法の杖で美しいドレスや
輝く馬車も欲しいのだろう
けれど、僕が持っているのは
どこかが欠け、どこかが損なわれたものばかりだ
片方しかないイヤリングは僕には似つかわしいけれど
君には不満らしい
飾りのない君の耳の後ろから広がり続ける
寒い夜空だけを僕は信じる
僕がその寒さの中で迷子になろうとも
約束のように時は不断に流れ続ける
明日、君は目覚めたら
片方のイヤリングの代わりに
もっと輝く星を求めて彷徨うのだろう
いいさ、せめて一年に一度だけでも
僕のところに帰ってくれれば
天の川のこちら側でずっと待っているから