Nicotto Town



行き止まり







人は永遠の友情とか、永遠の愛とか言うが

辿りつけない永遠より

触れる柔らかい行き止まりがいい

永遠を夢見るのと現実を受け入れるのは矛盾しない

人は理想を追い求めるだけではない

赤ちゃんは羊水の海で

母親の胎内の壁を蹴って安心する

だれも赤ちゃんの頃を覚えてはいないが

壁を感じることで心音が安定するという

人はこの世に生まれた瞬間

「永遠」と言う罠にとり囲まれる

まるで麻薬のように

何かに手招きされているかのように

永遠を見るために

さあ目を開けなさい 愛しい人よ!

闇に慣れた目が眩しそうにうすく開かれると

おぼろげな柵は取り払われた

以来、時の外に暮らす昔話や

夢の奥に消えていく小道や

水溜りに映る空の青さが

永遠と果てしなき夢を人々に注ぎこみ続けた

しかし、永遠が相対化された今

ボロボロになった永遠をしまうのだ

なつかしい胎内の闇から太古の海へ

浮遊していく自分を感じる

世界がどんなに揺れても手を伸ばせば

やわらかい行き止まりが守ってくれる













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