Nicotto Town


よしないごと かな


ファド知ってますか

この前の、日記で、アマリア・ロドリゲスの音源の話をしました。


ずっと昔、夜中のラジオをカセットテープで録音したというその曲を、聞いたのです。
アマリア・ロドリゲスってポルトガルでは国民的英雄なのだと、ずいぶん後に知りました。オリンピックだかワールド杯だったか忘れましたが、そのプレセレモニーで歌っていた気がします。

彼女が歌っていたのは、ファド。ポルトガルの民族音楽?です。
圧倒的な歌唱力。存在感。私はそのたった一度の音で、彼女に魅了されました。日本の映画に載せられた曲で、この「哀しみのフローレンス」はポルトガルでも知られていないでしょう。
私は、これを探しにポルトガルに行く予定でした。あいにくコロナでとん挫しましたが。
聞いてもらえばわかる、とはこのことで、私は何十年たっても一度聞いた音を忘れられずにいます。最初は彼女のCDを聴いて回り、私の聞きたい音は無いことを確認し。
若いころに聞いた音って、なんでこんなにも記憶に鮮やかなのでしょう。
心臓を掴まれて、生きている間はきっと忘れない。
その記憶はとても幸せなことです。

ファドと言えば。
私はずいぶん昔ですが、トルコを旅行しました。ファドとは直接関係ないのですが、その際酷い風邪をひき込み、現地の店でひどく疑われながら風邪薬を購入しました。ドラッグストアとつい言ってしまったのが間違いでした。怪しい薬が欲しかったわけではないのですけれど。何とか身振り手振りで説明し、風邪薬を売っていただきました。
結果として、驚くほど強烈な薬だったのですが。荒れた喉は回復せず、どう聞いても女性の声ではない喉ではなくなってしまい、出国する際も、フライトアテンダントさんにも、二度見されるされるw。うん、男性の声にしか聞こえませんね。自覚しています、ってなもんで。
さておき、帰国し、ボロボロの状態で自宅の布団に潜り込みました。当時の部屋は6畳一間の狭いアパートで。置いてあるのは14インチのテレビで。
たまたま着けたそのTVが旅行番組で、BGMにファドが掛かっていました。
ファド。
本当に、その場所に密着した音楽というのでしょうか。聞き流すことのできない音。鷲頭掴みされる声。
思わずTV局にかすれた声で電話を掛け、その音源を問い合わせました。
歌手の名はドゥルス・ポンテス、当時はまだ新進気鋭の歌手でした。今はもう重鎮かしら。
どうしても、聞き流せなかったのです。きっと私の中に、アマリア・ロドリゲスの音が残っていたせい。

このコロナがもう少し落ち着いたら、ポルトガルを訪ねてみましょうか。
求めた曲と声は見つけられなくても、生のファドを聴きに行きましょうか。
音も声も、体の奥深くを震わせる。

いつも、何時でも。
出来れば、この素晴らしい音を知らない、現地の人に聞いてほしい。

私の愛する「哀しみのフローレンス」





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