ねこめんたりー 猫も杓子も が好きだ
- カテゴリ:日記
- 2022/10/13 19:38:07
ありきたりだけれど。
私は猫が好きだ。
一般に可愛いといわれる子ではなく、不愛想で、大きくて、太っていて、鳴き声が悪くて。もと野良だったりする方が良い。どちらかというと、短毛タイプでないと嬉しい。短毛だと、生皮そのものを見ている気がするんだ。
デパートのぬいぐるみ売り場では売られていないだろうタイプの猫。
床に腹を晒して落ちている猫や、両足をどかんと開いて壁に背中を預けている猫などみると、私は「ぶみゃあああああぁぁ」と鳴かないではいられない。
もちろん、おっさんとか、おばちゃんとか言われるだろうこの猫たちも、当初は頼りないふわふわの鳴くことも出来ないような子猫だったことは知っている。けれど、すでに寿命と戦っているような子が好きだ。
話がずれるが「ネコメンタリー」という番組をご存じだろうか。制作時期をみるとおそらく2017年頃から2021年頃にに放映されたらしい。NHKの作品。今はNHKを好いていない方々も多いようだが、私は昔のシルクロードや、昔の大河ドラマ、その他数々の特集番組を見ると、やはり貴重な放送局ではないかと思う。CMがないのが良い。CMがないということは、基本的にはスポンサーが居ないということだ。
私はお笑い番組が理解できない。どこで笑って良いかわからないのだ。次々に現れて消えていく芸人達に付いていけない。会社の昼休みの話題には付いていけない。それもあって、私はNHKを好んでいる。
販売の番組に飽きて、私はNHKアーカイブズに入会した。本当に観たかった番組は残念ながら放映されていなかった。
アーカイブズを巡っている間に、私は「ネコメンタリー」という番組に出会った。
【ネコメンタリー 猫も杓子も:「もの書く人のかたわらにはいつも猫がいた。」】
作家や学者たちがオムニバス的に、共に暗く猫の話を紡ぐ。
時に作家自身が猫を語り、猫自身の心の物語を作家か書き、作家と猫の出会いと暮らしを時に淡々と描く。
学者であり、作家であり、マンガ家であり。共通するのは猫と居るという1点のみだ。私はひどく淡々とした幸せな心持でそれらを観る。お気に入りの本を昼寝でもしながら読むように静かな思いで画面を眺めている。
中でも一番好きな回は
特別編「養老センセイと“まる”鎌倉に暮らす」
養老先生をご存じだろうか。鎌倉に住まいを持つ、高名な解剖学者。作家。私は幾冊も彼の本を持っている。しかし、このネコメンタリーの中では、彼は単なる、大分歳を取った”まる”の同居人なのだ。事件も何もない。
何といっても、丸く寝ることが仕事の猫が主役なのだから。
たぶん、この番組に登場した猫と暮らす人々は、猫がそこに居ることに、何の疑問持っていない。ご飯を食べ、水を飲み、息を吸うように猫がいる。
私はこの番組を観ながら、画面の愛しいもふもふとしたものにむかって、
私なりの声で、猫語で鳴く。日常なら猫もそれなりに返事を分けてくれるが
画面の中の猫は知らんぷりだ。
私は、猫が好きだ。
遠くても、触れなくても、威嚇されても、やはり好きなのだと思う。
ありきたり、だが。
猫の声に転がされるのは人の性なのかもしれません。