恋は、舞い降りる天使の羽のようにー初夏ー(7)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/09/23 14:27:59
春菜は中等部の時からの仲良しだった。
彼女の父親は、警視庁の幹部で、そのためなのか春菜は人一倍正義感が強かった。
一方、もう一人の待ち合わせしている友人、高瀬里緒も中等部の時からの仲良しだった。
彼女の父親は、都議会議員をしており、おまけに学院の理事も務めていた。
リーダー格の里緒、おっとりしているようでしっかり者の春菜、そして杏樹と、この三人組は学園でも有名なグループだった。
「杏樹?交番に行く?」
杏樹はかぶりを振った。
「ううん…。いい…。」
春菜はまだ何か言いたげだったが、ショックを受けている杏樹の様子を見てそれ以上言わなかった。
「よ~し(^_^)。里緒も待っているだろうし。待ち合わせ場所まで行こう!」
と、春菜は明るく杏樹に声をかけた。
(今思えば、このときの痴漢騒ぎからアノ事件は始まっていたような気がした。)
待ち合わせ場所にゆくと、里緒が携帯で誰かと話をしていた。
『はい^^ありがとう。よろしくね!』
携帯を切って、杏樹たち二人に向き直った里緒は、ニコニコしてⅤサインをだした。
「スペイン坂の整理券。手に入ったからねぇ~~^^」
「うそぉ?ほんとに?」
「どうやって?」
里緒は、ラジオ局の知り合いに頼んで、特別に整理券を取ってもらったことを得意げに話した。
人気のあるアーティストが出るときには、早くから並んで整理券を手に入れないと、公開放送を見る事は出来ないのだ。
春菜と杏樹は喜んだ。
何しろ人気のあるバンドのノーム・アロードのタケシがくるのだ。
整理券が手に入るかどうか正直なところ判らなかったから大喜びしたのだ
「並ばないで済むんだ!良かったね、杏樹!」
春菜は、杏樹の顔を見ながら弾んだ声で言った。
「うん・・・。よかったね・・・。」
結局、杏樹は里緒に今朝の痴漢騒ぎを話せなかった。
三人は、109の里緒の行きつけのショップで買い物をしたり、センター街をブラブラ歩いて時間をつぶした。
スペイン坂を抜け、パルコのところまで来たとき、スタジオ前は囲われて、中の様子はうかがい知れなかった。
整理券はすでに、無くなっていてそれでも立ち去れずに大勢のノーム・アロードのファンたちが、スペイン坂にいた。
「すごいねぇ~!」
杏樹が目を丸くして、里緒に言った。
「私たちはこっちから・・・・。」
そういうと、里緒は携帯をかけた。
何事か、携帯の相手に話すと、三人は別の入り口から招きいれられた。
招き入れられた先は、事務所の一室だった。待っていると、一人の関係者風の男性がやってきた。
「やぁ!お待たせしてしまったね。はい!これが整理券。」
その男性は、里緒に整理券の入った封筒を渡した。
三人は、お礼を言うと、早速、外に出た。
ノーム・アロードは、いわゆるビジュアル系のロックバンドで、おもに女子高生など10代のファンが多かった。
もちろん、メンバーはイケメン揃いで、特にボーカルのタケシには、
熱狂的なファンが多く、何処にいっても黄色い声援が飛んでいた。
整理券を幸運にも手に入れられた大勢のファンたちに混じって、
公開放送が始まるのを三人は、今か今かと待っていた。
「こんなに近くでタケシに逢えるなんて!夢みたい!」
里緒がため息混じりに、声をあげたとき、タケシの出る放送のオープニング曲が聞こえた。
とたんに、キャーっという歓声があがった。
『こんにちは!今日はノーム・アロードのタケシに来てもらいましたァ!』
『どーも。タケシです。』
『たくさんのファンの方々が来てますねぇ!』
『ありがとう。みんな!では、最初の曲。今月リリースする曲で、「フレンド・オブ・マイマインド」・・・・聞いてください。』
整理券の順番で、スタジオ前を何回も通りながら三人は、手を振り続けた。
しかしタケシの出演時間は、20分ほどで、すぐにスタジオからいなくなってしまった。
「え~~?もう帰っちゃったの??」
三人は、タケシがいなくなったスタジオの前を通りながら、がっかりした様子で言った。
スタジオ前にあった目隠しのバリケードもすぐに撤去された。
あとは、通常の放送が続いていた。
タケシが帰ってしまったので、これから何処へ行こうか話している三人を、少し離れた人ごみの中から見ている男がいた。
(おや?アノ子は・・・。)
今朝、電車の中で杏樹の胸を掴んだ男だった。
(ヘェ~。ノーム・アロードのファン・・・か。なるほど・・・。)
離れたところから、三人を携帯のカメラで撮ってなにやら書き込むとメールを送った。
(うまくいくぞ・・・・。いや必ず・・・・。)
男は、杏樹たちから目を離さずに、仲間からの連絡を待った。
何、何があるの?
続き、続き・・・( ..)φ
うひょひょな展開ですか?w
ヤバい変体野郎に杏樹ちゃんがぁ・・・・・・・
なんてことぉだwwwww
うぅぅぅ・・・杏樹ぅっ><。