不動明王 (ふどうみょうおう)
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- 2015/08/23 20:34:47
不動明王 (ふどうみょうおう)、梵名アチャラ・ナータ (अचलनाथ [acala naatha])は、仏教の信仰対象であり、密教特有の尊格である明王の一尊。シヴァ神の化身とも言われる。また、五大明王の中心となる明王でもある。真言宗をはじめ、天台宗、禅宗、日蓮宗等の日本仏教の諸派および修験道で幅広く信仰されている。五大明王の一員である、降三世明王、軍荼利明王、大威徳明王、金剛夜叉明王と祀られる。
概要[編集]
密教の根本尊である大日如来の化身、あるいはその内証(内心の決意)を表現したものであると見なされている。「お不動さん」の名で親しまれ、大日大聖不動明王(だいにちだいしょうふどうみょうおう)、無動明王、無動尊、不動尊などとも呼ばれる。アジアの仏教圏の中でも特に日本において根強い信仰を得ており、造像例も多い。真言宗では大日如来の脇待として、天台宗では在家の本尊として置かれる事もある。縁日は毎月28日である。不動明王の起源は、ヒンドゥー教の最高神シヴァ神にあるとの説が有力である。梵名のアチャラナータもヒンドゥー教ではシヴァ神の別名とされている。密教がヒンドゥー教を取り込むために、シヴァ神を不動明王として大日如来の眷属とすることでその神格を吸収する一方で降三世明王がシヴァ神を屈服させたとしたものと思われる。これは他宗教の神を吸収する際によく行われる事である。梵名の「アチャラ」は「動かない」、「ナータ」は「守護者」を意味し、全体としては「揺るぎなき守護者」の意味である。チベット仏教などではこの名よりもチャンダ・マハーローシャナ (चण्डमहारोषण [caNDamahaaroSaNa])即ち暴悪忿怒尊の名でより知られる。しかし、こちらは三眼で毛皮を身に纏い髪が逆立っているなど、日本に伝えられた不動明王とは図像的にやや異なるものである。
空海(弘法大師)が唐より密教を伝えた際に日本に不動明王の図像が持ち込まれたと言われる。「不動」の尊名は、8世紀前半、菩提流志(ぼだいるし)が漢訳した「不空羂索神変真言経」に「不動使者」として現れるのが最初である。「使者」とは、大日如来の使者という意味である。大日如来の脇待として置かれる事も多い
密教では三輪身といって、一つの「ほとけ」が「自性輪身」(じしょうりんじん)、「正法輪身」(しょうぼうりんじん)、「教令輪身」(きょうりょうりんじん)という3つの姿で現れるとする。「自性輪身」(如来)は、宇宙の真理、悟りの境地そのものを体現した姿を指し、「正法輪身」(菩薩)は、宇宙の真理、悟りの境地をそのまま平易に説く姿を指す。これらに対し「教令輪身」は、仏法に従わない者を恐ろしげな姿で脅し教え諭し、仏法に敵対する事を力ずくで止めさせる、外道に進もうとする者はしょっ引いて内道に戻すなど、極めて積極的な介入を行う姿である。不動明王は大日如来の教令輪身とされる。煩悩を抱える最も救い難い衆生をも力ずくで救うために、忿怒の姿をしている。
また、密教経典によれば、不動明王とは釈迦が悟りを開いた菩提樹下の坐禅中に煩悩を焼きつくしている姿だとしている。釈迦が成道の修行の末、悟りを開くために「我、悟りを開くまではこの場を立たず」と決心して菩提樹の下に座した時、世界中の魔王が釈迦を挫折させようと押し寄せ、釈迦に問答を挑んだり、千人の少女に誘惑させたりしたところ、釈迦は穏やかな表情のまま降魔の印を静かに結び、魔王群をたちまちに説破し、超力で降伏したと伝えられるが、不動明王はその際の釈迦の内証を表現した姿であるとも伝えられる。