自作小説♪ 【絶滅危惧種】/(都会) 11月
- カテゴリ:自作小説
- 2013/11/12 15:32:49
空が狭くなった。そして色がくすんでいる。昔はもっと透き通るような青色をしていたと思うが、それももう思い出せない。
仲間は、みんなどこかへ行ってしまった。こんな住みにくいところでやってられないと、少しずつ減っていった。
祖父さんの、そのまた祖父さんの、そのまた祖父さんの代から、ここに住み着いている私としては、いくら変わっても、故郷は故郷。やっぱりこの地で最期まで生きていたいと思う。
人間も変わった。昔は、もっと穏やかな顔つきをしていたし、優しかったが、最近では、みんな魂を抜かれたようにしている。疲れている。どんよりしている。
そして、見えないものをあまり信じなくなった。この世ってのは、見えないもので大方出来ているってのに、大事なものを忘れていくような気がする。
川の土手に寝転がる。ここも昔は、清らかな美しい川で、女が洗濯をしたり、子供が水浴びをしたりしていた。今は臭くて汚くて、魚の数も大分と減った。私たちも、いずれ消えていくだろう。
賑やかな声が聞こえてきた。少年たちが近づいてくる。学校帰りだろうか。
私はゆっくりと起き上がる。やれやれ。
「で、でたーーーーー!!」
少年たちは悲鳴を上げて蜘蛛の子を散らしたように逃げていった。
「まだまだ捨てたモンじゃないな。」
ぼそっと呟くと、頭のお皿を、濁った水で潤した。
end
と、下記の面々を見るに、ピコさんはぼうぼうさんのお仲間なんですね!
http://ncode.syosetu.com/n0138bs/39/
11月18日更新日52アクセスありました。私の管理サイトで、優良可でいうところの優です。おめでとうございます。
現実を否定しないでむきあう
したたかさを感じます
たしかに都会も昔は田舎。発想を如何に広くできるかを教わった気がしました!
都会といえば・・都会といえば・・・
考えた末になんとか出てきた話です。
自分でも書きながら、これは誰が語ってるんやろうか・・
と楽しみながら作ってみました。
都会の川に住む魚とか、あんな汚い水でかわいそうな気がする。
河童・・・僕が子供の頃、住んでた所では(ごんご)と呼ばれていた。
どんな話なのかわからないまま読み進めると、最後の一行で
ストンと納得できるのが、すごいなぁと思いました。
なんでも現在を否定するのは簡単
未来はいつも目の前の闇に
光明をもたらしているのに
構成がいいですね
まあるい、まとまった世界が見えます