ツイッターストーキング 3
- カテゴリ:自作小説
- 2012/11/13 12:15:49
あく子は二度目の眠りの中で再び夢を見た。
その夢はあまりにも現実味を帯びた夢で、これから起こるあく子の未来の姿を予言しているかのようだった。
夢の中に登場したのは悪魔見習いゴミ魔であるが、変装しているのであく子はそれがゴミ魔だとは気付くことはなかったし、夢の筋書きもゴミ魔が演出したものであるとは夢であるのに夢にも思わなかった。
その夢はあく子が看護部部長に部長室に呼び出され部長の話を聞くところがら始まった。
夢の中の自分は映画かテレビドラマのように、主人公になって演じてる自分とそれを傍観いている自分の二人の自分がいる場合と自分目線だけの一人の時がある。
あく子は自分を夢のなかで傍観していた。
「あく子看護主任、この病院に来てもう長いわね」
「はい、かれこれ10年になります」
夢の中で看護部長の前で緊張しながらそう答えている自分の姿を見ながら、寝ているあく子自信の体にもその緊張感が伝わったのか、あく子の体が幾分か布団の中で強張っていた。
「そう、もうこの病院のことは何もかも知っていて詳しいと思います。この度、今の内科の看護師長のさめ子さんが今年いっぱいで都合でこの病院をお辞めになることになりました。そこで私としてはあなたを次ぎの看護師長として医院長に推薦したいと思います。その前にあなた自身の気持ちを聞いておきたかったのでお呼びしました。看護師長をなって下さいますか?」
突然の昇進の話にあく子は夢の中でためらいと喜びを感じている自分の姿に拍手を送っていた。
夢の中の自分は何も言っていなかったが傍観している自分はもう答えていた。
「こんな私で良ければ喜んでお受けします」と。
そして、夢の中の自分にもすぐにそう言わせた。
「ありがとう。では私からは医院長にあなたを推薦します。ただ医院長の考えでは誰かを雇い、しばらくの間ですが新たに副看護師長という役職を造り看護師長候補として育てるみたいです。私はその考え方に反対で病院の経費の無駄遣いだと思います。新しく副の役職を置くのは大きな病院なら分りますがこの病院では必要のないことです。そんな余裕があるならその分を看護師の手当のアップに回せばいいのです。どう思いますあく子さん?」
夢にしては長い看護部長のセリフにあく子はとまどった。
『そんなこと私に聞かれてもこまるぅ』
あく子は夢の中でそう思った。
ただ夢なので内容は理解している自分がいて、日頃の医院長と部長の仲の悪いのを知っていての話だと、あく子は夢の中でそう考えた。
夢の展開は早く医院長の後押しで新しく内科の看護師長になるコミコが病院で働いていた。
最初は外来の看護主任として看護の仕事をしているようだ。
ここであく子の下で働く看護師に化けたゴミ魔が夢の中に登場した。
実際の病院には居ない看護師だが、夢の中であく子は長年いしょに働いている同僚として感じる錯覚に陥っていた。
「先輩、昇進おめでとうございます」
ゴミ魔が扮する看護師のごみ子がそう言った。
「いやだ。まだ話が決まった訳じゃないわ」
あく子は夢の中の内心で喜んでいた。
「看護部長があく子さんを看護師長に推薦したって誰かが言ってましたよ」
ゴミ魔があく子の心をくすぐった。
人間の夢の中でのストーリーには言葉などいらないことをゴミ魔は心得ていた。
恐怖と悲しみや後悔と恥、そして動物的願望の人間の本質的で強い刺激が脳に残した傷の痛みとなって夢に表れることをゴミ魔は知っていたのだ。
「そんな噂があるの。病院の側の考えではコミコ主任を看護師長にするみたい」
あく子は自分が看護師長になるべきなのにコミコ主任という邪魔者が入ったのと言いたかったが、夢の中でも防衛本能が働きあからさまのことは発言しなかった。
「コミコ主任をこの病院から追い出しましょう」
ごみ子のこの言葉にあく子は快感を感じた。
そして次ぎの言葉に共感してしまった。
「私に任して下さい。ツイッターを利用してコミコ主任の動きを追跡すれば彼女はつぶれます」
すんなり終われない感じがします.