Nicotto Town


nekomeのつぶやき☆


恋は、舞い降りる天使の羽のようにー初夏ー(2)

 朝、2階から降りてきた杏樹を見て龍太郎は驚いた。
いつも動きやすい服装ばかりしていたので、可愛らしい白いチュニックと柔らかな素材の淡いブルーのスカートを身につけた杏樹の姿はとても新鮮に見えた。

 龍太郎は東京に向かう杏樹を鈴羽駅前に送っていった。
高速バスの来るまでの間まだ時間があった。
駅前のファストフード店でしばし時間を潰す事にした。さすがに開店直後の店内には人影は無い。
龍太郎はコーヒーを頼み、杏樹はアップルティとシナモンメルツを頼んだ。

   「あっ!忘れる所だった。はい、これ。」

 龍太郎は自分が出品する彫刻展のパンフレットを渡した。

   「裏に地図が書いてあるから…。」

   「世田谷のHT美術館…?」

   「美大の時の教授の私設の美術館なんだ。」

 杏樹は、パンフレットを大事そうにしまうと、残りのアップルティを飲み干した。
席を立った時、杏樹は入り口のカウンターにいる美里蘭に気づいた。
蘭も直ぐに二人に気づいた。
彼女は、コーヒーを持ってすぐ側のテーブルに座った。

   「おはよう。早いのね。」

   「おはようございます。」

   「ねぇ源さんに聞いたけど、今度こっちの高校に編入するんですって?」

   「はい。その手続きでこれから東京に行くんです。いつまでも、中途半端なままではいけないと思って…。」

 杏樹は自分に言い聞かすように答えた。
   
   「そろそろバスの時間だよ。」

 龍太郎が杏樹をせかした。

   「それじゃあ、行ってきます。」

   「気をつけてね。」

  店を出てゆく二人を目で追う蘭と振り返った龍太郎の視線が一瞬、絡み合った。
 

 杏樹達がバス停まで来ると、タイヤを鳴らしながら一台のRV車がやって来た。喬介だった。

   「あぁ、良かった間に合った!」

   「何だ?」
 
   「これ!ご両親に…。」

 そう言うと、ホテルの紙袋を差し出した。

   「ウチのホテルのシェフが作ったチーズケーキ。美味しいって評判なんだ。これお土産にと思って。」

   「あ!ありがとうございます。」

 その時、新宿行きの高速バスがやってきた。
バス停にバスが止まると、乗務員が乗客名簿を持って降りてきた。
杏樹のほかに、2人の客がいたがすぐに名簿の確認は終わった。
龍太郎が、杏樹の荷物を持とうとすると、横から喬介がサッと取り上げてしまった。

   「バスの中まで、持って行ってあげるよ。杏樹ちゃん!」

 喬介は杏樹を促してバスの中へ乗り込んだ。龍太郎は唖然としたが、バスの窓から見える杏樹に手を振った。
やがて、バスの出発時間になった。しぶしぶ喬介が降りてきた。
 
 バスが動き出すと、杏樹に笑いかけ手を振りながら喬介は龍太郎に言った。

   「お前の事だから、お土産なんて用意しちゃいないだろうからなぁ~♪」

   「そうだな、お前は気が利くからなぁ。」 (ソレ言わなきゃいいんだけどな^^;)

   「そうだろぉ?おっと!すぐ戻らなきゃ!じゃあな!」

 喬介は、そういうとRV車に乗ってまた、タイヤを軋ませながら帰っていった。
龍太郎は、自分の車に戻って車のキーを出した。隣に蘭の車が停まっている。
ふと、視線を感じて目を向けると、蘭が店から出て道の向こうから龍太郎を見つめていた。

 信号が変わると、蘭はゆっくり車のところへやってきた。

   「元気だった?」

   「相変わらずだよ。」

   「彼女、向こうにどの位行ってるの?」

   「2晩泊まりだって言ってた。」

   「ふ~ん・・・。で、出品ついでにお迎えに行くって訳・・・ね?」

 蘭は、少し意地悪そうに言った。
龍太郎は戸惑った、いままでそんなことを言う蘭ではなかったからだ。
  
   「いや、そういう訳じゃ・・・。」

 蘭は何も言わずに、龍太郎の横を通って隣に停めた自分の車へいった。
車に乗り込むと、助手席側の窓を下げた。
龍太朗は覗き込みながら、蘭に声をかけた。

   「今夜、飲みに行くから・・・。」

 蘭はニッコリ微笑みながら、言った。

   「待ってる・・・・・・。」


 蘭の車が行ってしまうと、龍太郎は西の空を見やった。
鈴原尾根の山並みが、朝の光の中でキラキラ輝いていた。


       -つづくー 

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2009/07/02 15:10
ほ~う^^次の展開が楽しみでんな~@^-^@
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2009/06/29 19:10
おおおw第二章はこんな展開なんですねw
ギャフン!
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2009/06/29 09:16
高橋幸宏の曲なんか聴きながら読むと情景が伝わって来るってカンジ♪
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2009/06/27 12:15
\(^o^)/「夏直前 日差しが強く 眩しくて あなたの笑みを 思い出す」ステプお届け。(^_^)
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2009/06/25 15:42
蘭さん、こええええええええええ!!!!w
女だ!女!!!wwww

次回も楽しみス!
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2009/06/23 12:02
なんか意味深な感じですね。どうなっていくんだろう…秘密も気になる~!!
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2009/06/23 07:57
マックなんだ~~~知らなかった・・・

キャロットサンド作ってくれてありがっと~~~^^
他のもお勧めなのでぜひ~!
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2009/06/23 06:27
シナモンメルツは初耳でした!でも、美味しそう・・・(^p^)
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2009/06/23 00:37
シナモンメルツ、まだ食べたことないです^^

蘭さんは喬介が好きなんですよね~^^;
あ~、次の展開が気になって気になって><
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2009/06/22 23:30
nekome様^^;実は2回目です読みにくるの^^;

なんだか^^展開が気になります^^

複雑になりそう^^;

うふふ
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2009/06/21 18:41
おぅ・・・・なんだか糸が絡んできそうな・・・( ̄▽ ̄;A
蘭さん・・・どんな感じの人なんだろう・・・・
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2009/06/21 15:09
蘭さんの言動に、胸がザワザワ…って誰が? 私が~www
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2009/06/21 12:05
シナモンメルツ????なんだろ?
おししいのかな?(* ̄¬ ̄)o―∈じゅる・・・なんて思ってしまって
何度も読み直しwwww
めるつめるつめるめるめるる~~~~

また違った恋が?????



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