Nicotto Town



Ange 11

11.

 2月24日 曇りのち雨

 ついに昨日、残っていた22号が止まってしまった。
 最後の1人、私だけになってしまった。

 私も、きっと...明日には止まってしまうだろう。
 ......幸せだった、な。
 辛い事も多かったけど。皆居てくれた、それだけで充分幸せだった。
 ただ...。

 Ange。
 あの子を最後まで起動させなかった事は、本当に正しかったのだろうか。

 けど、あの子だけは...、私達とは違う普通の暮らしを...。
 せめて、温かい人間達の手で育てられてもらいたい。
 そう、皆が思ったから。望んだから。

 Ange。
 いい人間に見つけられて、拾われてくれ。
 私達の願いはそれだけだ。



 ---と、机の上にあった日記には記してあった。
「...3年前の日付だ。ちょうど3年前の今日、記してある。」
 読み上げた、レトラが言った。

「どういうこと?だって、さっきまで一緒に!!」
 ママナの声は震えていた。

 ラダはそっと近寄り、かばうように抱き寄せた。
 ママナに、その可哀想な2体のアンドロイドが見えぬようにと。
「幻。多分。」
「...そうだな。そうだ、としか言い様がない。」
 レトラも震えるママナの髪を撫でた。





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