Ange 11
- カテゴリ:自作小説
- 2012/04/05 22:25:49
11.
2月24日 曇りのち雨
ついに昨日、残っていた22号が止まってしまった。
最後の1人、私だけになってしまった。
私も、きっと...明日には止まってしまうだろう。
......幸せだった、な。
辛い事も多かったけど。皆居てくれた、それだけで充分幸せだった。
ただ...。
Ange。
あの子を最後まで起動させなかった事は、本当に正しかったのだろうか。
けど、あの子だけは...、私達とは違う普通の暮らしを...。
せめて、温かい人間達の手で育てられてもらいたい。
そう、皆が思ったから。望んだから。
Ange。
いい人間に見つけられて、拾われてくれ。
私達の願いはそれだけだ。
---と、机の上にあった日記には記してあった。
「...3年前の日付だ。ちょうど3年前の今日、記してある。」
読み上げた、レトラが言った。
「どういうこと?だって、さっきまで一緒に!!」
ママナの声は震えていた。
ラダはそっと近寄り、かばうように抱き寄せた。
ママナに、その可哀想な2体のアンドロイドが見えぬようにと。
「幻。多分。」
「...そうだな。そうだ、としか言い様がない。」
レトラも震えるママナの髪を撫でた。