Nicotto Town



ゴンブローヴィッチ『フェルディドゥルケ』

ポーランドの作家ゴンブローヴィッチが1937年に発表した長編小説。
当時のポーランドはドイツ・ソ連という二つの大国との微妙な緊張関係の
中で翻弄されていた頃であり、2年後には一時的に結託した両国によって
分割統治されることになるという激動の時代だった。
ただしこの小説ではそのような政治状況は表面的には投影されず、
むしろそういった激動の時代にあって、上っ面だけ現代風を装った知識人
や、なお旧時代的な慣習や思想に縛られてた市民たちを徹底的に喜劇に
陥れる形で小説の骨格を形作っている。

…といった話は抜きにしても、とにかくこの小説はぶっとんでいる。
主人公は30歳になり「もう俺も30か…」と焦っていると、保護者を
自認する大人にいきなり中学校に入学させられるところから始まる。
そこから先は混乱のオンパレード、子供たちのにらめっこ合戦に巻き
込まれ、勝った子は、勝ったはいいがあまりにも醜悪な顔に成り果てて
しまい元に戻らなくなる、同居している今風の澄ました女子学生の素性を
暴くため、彼女が書いたと見せかけた嘘のラブレターをボーイフレンドと
先生に送り、二人とも家に現れて家族ともども大混乱、等々…。

主人公は混乱という混乱を撒き散らしてその場を去っていくという
痛快喜劇。途中まったく本筋と無関係な話が何十ページも
続いたりして読む方も混乱してしまうが、本筋だけ追っていけば
笑えること請け合いです。そもそもタイトルの「フェルディドゥルケ」という
言葉(造語)からして意味不明で、著者も「意味を知るなんて野暮な
ことだ」と一笑に付す始末。

もちろんこの作品から、当時のポーランド文壇とそれへの反発とか、
色々読み取ることは可能なのかもしれませんが、とりあえずそんな
ことには構わないで読んで笑えばそれはそれで良いのではない
でしょうか。小説というジャンルがいかに多様な形式を許容しているか、
その奥深さも味わえる作品です。

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2009/06/11 22:32
>こぶさん
本題のストーリーはおもしろいのだけど、途中延々と関係のない、しかも
理屈っぽい語りがずっと続いたりして、ひどく読みにくい部分もあって
苦労しました。。。
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2009/06/11 14:12
へぇ~、そんな小説があったんですか。知りませんでしたww
なんだか小説版スラップスティックって感じですかね~(^^)
ちょっと読んでみたいですww
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2009/06/10 12:53
>りくれおさん
>AsAさん
平凡社ライブラリーで新書版で出ているようなので、興味がおありでしたらぜひぜひ。。。
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2009/06/02 11:00
ポーランドの70年以上前の小説かぁ・・・。
その時代背景を知ることでより笑いに繋がる気もしますね!
30歳で中学校か・・・気になる。すごぉ~~く気になる!!!

読んでみます!
探してみます♪♪
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2009/06/01 23:10
うおお、なんだかぶっ飛んでますね。
今読んでいる本が読み終わったら探してみようかな・・・。



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