春の七草粥-色鉛筆series-
- カテゴリ:自作小説
- 2012/01/07 22:27:34
雪見障子の向こうには
昨晩夜半から降り出した雪が
未だ止む事なくしんしんと降り続いている。
身を切るような寒さの往来と比べ
部屋はふんだんに炭がくべられた火鉢のおかげで
とても暖かく過ごしやすい。
七草粥?
ええ、もちろん今日はそうだと思っていたけれど
ほんの少し期待してたの。違うかもって。
昨日まで高熱で年始伏せっていたお嬢さんは
やっと粥以外の食事が許されたにも関わらず
今日もまた粥の夕餉に流石に落ち込んでいる様子だった。
明日はお嬢さんの好きな蓮根団子をご用意するよう
おハナに伝えておきますから、今日は召しあがって下さい。
無病息災を願うものなのですから。