恋は、舞い降りる天使の羽のように、、。(8)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/05/10 11:22:53
龍太郎は居間の中を見渡した。
部屋の隅に荷物があった。杏樹が、源さんのために用意したものらしい。
中を見ると、苦労して探しながら用意したのが見て取れる。
荷物を見ていたら、なんだか杏樹に申し訳ない気持ちになってきた。
(何で、あんな事を言っちまったんだろう、、?)
確かに、杏樹が来たことでイライラしていたのは間違いない。
いつもの生活が、杏樹のせいで乱されてるように感じていたのだ。
龍太郎は、囲炉裏の側に座って、考え込んでいた。
どの位たったのだろう?電話が鳴った。
「はい!」
「今、手術が終わったの。雪はどう?」 宮子からだった。
「えっ?」
すっかり忘れていた。子機を持ったまま外を見ると、もう30cm程積もっている。
「かなり積もっています。」 (ゲッ!?)
「すぐに来た方がいいわ。多分この降り方だと、花だましよ!」
「花だまし?」
源さんから一度聴いた事がある。
春になる直前に吹雪いて沢山の雪が降ることを、このあたりでは、『花だまし』と言うのだ。
こんな時に外にいたら、ひとたまりもない。
「気をつけてきてね!待っているから。」
宮子が、電話を切ると、すぐに龍太郎は、二階に声をかけた。
「雪が積もってきてるんだ。直ぐに出掛けないと。」
しかし、杏樹の返事は無い。仕方なく、階段を上って杏樹の部屋の前に行って、又声をかけた。
「さっきは、悪かったよ、、、。源さん、手術終わったっていうから、直ぐに行こう。」
部屋のドアのノブに手をかけた。
「開けるよ?」
ドアを開けると、部屋に杏樹の姿は無かった。
(あ、、れ?)
龍太郎の背中に、冷たいものが走った。
(どこに、行ったんだ?)
いつ出て行ったのか?雪が積もってからでは無いはずだ。
龍太郎は、杏樹の行く先を考えた。
もし、街に向かったなら、雪が降って来た時点で戻っているはずだ。
・・・・ということは、裏山!
帰ってこないのは、何かアクシデントがあったに違いない。
階段を駆け下りると、龍太郎はウインドブレーカーをひっつかみ、袖を通しながら考えた。
(どんな、服を着てたっけ、、、? あぁ!たのむ!無事でいてくれ!)
スノウブーツを履き、スノウシュー※を持って外にでた。
すごい風と雪だ、前がほとんど見えない。
雪はすでに、龍太郎の膝のあたりまで積もっていた。家の裏手から、山に入った。
いくら、知っている場所とはいえ、猛吹雪で、膝まである雪の中を行くのは、難しい。
源さんの家のあるあたりは、昔の街道筋で、ここから峠道を越えて日本海へと行く道があった。
昔、多くの旅人が、『花だまし』の雪に遭い、倒れたのだ。
道の傍らには、そんな彼らの魂を慰めるために観音様の石像がところどころに建っていた。
一方、、、。
(さ、寒い、、。) 杏樹は雪の中で、震えていた。無理も無い。
上着は、淡いオレンジ色の綿のパーカーで、中は普通のトレーナーだし、下にはいてるのは、デニムのパンツ。足元はスニーカーだったからだ。
ただ唯一の幸運は、くぼ地が笹原の中にあって、周りほど雪が積もっていないことだ。
しかし、足を怪我して、身動きのできない杏樹には、ここから抜け出すすべは無かった。
だんだん気が遠くなってきた。
(誰か、、、、。助けて、、。龍、、太、、、、、郎、、さ、、ん。)
薄れてゆく意識の中で、誰かが側に来たような気がした。
「杏樹!しっかりしろ!」
龍太郎は、やっとの思いで笹原のくぼ地まで来た。
実は、初めてここに来た時、山に見とれてこのくぼ地に龍太郎も落ちたことがあったからだ。
笹薮の中に淡いオレンジ色が見えた!
笹を掻き分けると、くぼ地の中に杏樹が居た。
「おい!しっかりしろ!杏樹?目を覚ませ!」
(まずい、意識が朦朧としている!)
くぼ地に降りて、うっすらと体に雪が積もった杏樹を抱き起こした。
「眠っちゃだめだ!杏樹!」
雪が降りしきる中で、龍太郎は叫んだ。
-つづくー
※スノウシュー 雪の上を歩くためのもの。ブーツなどの上に装着して使う。西洋かんじき。
参上しましたmikaちゃんです。
つづきにコメコメしますね。
うふふ
まさか雪でかまくらを作り・・抱き合って暖めあうのかぁぁぁ~
ついに全裸シーンか(--);
時折さま>瀬戸内寂聴先生の本がおすすめ!ですよ^^
「花芯」っていう話なんかどうでしょう?高校のとき親の本棚から盗み読みしました。
高校生には、刺激が強すぎましたが・・・(~_~;)
続き書きました^^;言霊様が早く書け~っていうんで・・・。
こりんごさま>そうです!ふたりっきり、、、です^^;
言霊様が早く書け~~^^;っていうんで、続きかきましたぁ^^;
いや、でもこの後どうなっていくのか、ドキドキです(>_<)二人っきりだし(^^♪
とても感慨深い本でして・・・
でも恋天のような恋愛小説が一番面白いかも!
というか恋愛欲があるんだかないんだかよくわからない俺には恋愛小説が必要なんです!
オススメあったら教えてください!!!
囲炉裏って漢字が好きなんですけどw
ゆのさま>雪は降り続きます、、、。
み、路がぁ、、、。
靜鬼さま>結構、ドジなんでしょうか?
チャンネルはそのまま!(笑
Meさま>お褒めに預かり恐悦至極!(^^)>てへっ!
がんばれ!です^^;
奇麗な物には冷然なところがある、、、
そんな感じがすごく良く表現されてる言葉だと思いました。
すごぉ~い^0^
杏樹、頑張れ~!眠っちゃ駄目だよぉ~!
龍太郎、しっかり杏樹を暖めてあげとくれ~っ。
続き待ってます~ッ☆
よかったですネ(TxT)杏樹の居場所が
すごく分かってよかったぁwwwww!!!
このあとぉ杏樹わぁどぅなったか気になるぅ~☆彡
杏樹、寝ちゃだめーーーーー!!!!
しぃ☸ さま>きれいな名前ですが、こわいんですよ!
ただし、nekomeの創作ですが、、、^^;
emiriさま>大詰めです!!まだまだドキドキしてください!
あぁ、道が、、、です!
ちちゃちゃさま>花だましは、実は、nekomeの創作ですが、何かほかの呼び方があるようです^^;
ドキドキする展開がまだまだ続きます!
キレイな呼び方ですね。それはさておき、杏樹大丈夫~?龍太郎と今後どうなるのか・・・
ますます目が離せな~い><
大変、気になりますね!
楽しみにしてますよ~^^
手術もきになるしぃ・・・・・
どうなるのおおお!!!!