Nicotto Town



恐るべき教師(1)


私達の大学の先生で、時々学校に来る講師、と言っても非常勤なので、講義は今まで受けたことは無いけど、図書館なんかでたまに出会うことがある。

その先生が気になったのは、最近の事で、学校の駐車場で、「れい、あそこに駐まっている車、あれ、れいのだよね。」

学校の駐車場には学生は駐めることが出来ないから、当然私は駐めてない、同じ車があったのを見て、私の車が何らかの企みで許可を取ったのかと思ったらしい。

「そんなことないョ。それ、私のじゃないよ。」とは言ったものの、気になって駐車場に行くと、確かに我が『愛車』と同じ車が駐まっている。

よく見るとホイールが若干違うし、内装から本来の200kらしい。私の『愛車』はエンブレムは200でも中身は230kなので、明らかに違う車なんだわ。

で、そのホイール、私のと似たデザインで純正だけど、小さい。15インチ?このサイズって有ったの?そしてタイヤが細い。

まじまじと見ていたら「この車がどうかしたのかね。」と言う声に振り向くと、持ち主とおぼしきおじさんが。この学校のお客様?見たことない人だった。

で、突然「君は確か、れいクンだったね。」「エエェ、何で私の名前を。」「それでこっちがエリカくんで、そちらがリエくんだったかな?」。

3人共唖然。「どうして私達の名前を?」。

「顔に書いてあるからかな。」3人で見つめ合ったがもちろん書いてる訳がない。

何か言おうとしたがその前におじさんから「ほう、リ〇リサか、赤いエブリンととっても良く似合ってるね。」何だ、この人は、バッグはエ〇メスだから名前を知ってても、ギャルブランドの服まで一目でブランド名が出てくるなんて。

「ええェ、何でも分かるんですね、もしかしたらパンツの色まで分かったりして。」とエリカがいった言葉に、私の下半身に目を落としたと思ったら「ピンク・・だな。」とぽつりとつぶやくように言ったもんだ。

当たッてる。思わずスカートに目を落としたが透けてるわけは無い。立った位置から見えるはずもない。

結局、そのおじさんに「ここで立ち話も何だから。」と、お茶に誘われて3人とも車に乗り込んだ。

そのおじさんは、私達の父親より明らかに年上で、紳士の風格が漂って危険な雰囲気は全くない優しそうな人だったから何の抵抗もなかった。

「やっぱり、れいの車と同じだ。」私の『愛車』に乗り慣れているリエがぽつりと言ったが、ここまで走る間の会話で私が同じ車に乗っている事を話していたので、運転しているおじさんは「そうかな?」と助手席の私に尋ねた。

「若干の違いは、この車の方が路面のゴツゴツを拾いにくい。多分、バネ下加重が小さいから。」「ほほう、良い感性だね。女の子にしては珍しい。では、最高の喫茶店に行くか。」

と言って走らせる先生を横目で見ると、雰囲気が「父と同じだ。」ハンドルをやや下の方を握っているその手つきもそっくりだ。

たどり着くまでちょっとした山越えの地点を走ったとき気付いた。安全を見越せる箇所は「早い。」でも、運転が荒っぽい訳ではなく、むしろ滑らか。

私の運転に慣れてるから、後席の2人もハイスピードだからと騒ぐわけでもなく、大きな横Gを感じてからちゃんとシートベルトをしているよ。良い習慣だね。

「タイヤが鳴くけど心配しないで。」と言った次のカーブは見通しが良いが結構きついカーブだ。ブレーキの直前に左手が動き、シフター操作。「この人、イッチョマエにシフター使ってる」(←心の声です)。動きで2速に入れたのが分かる、カーブに入るとアクセルをゆっくり開けていく。タイヤが鳴き始める。大きくタイヤが鳴いたところでゆっくりとハンドルを戻している。アクセルは開けたままで、何事もおこらない。

気合いを入れてる訳でもなく、普通にさり気なくドリフトした。

運転しているおじさんというか、高齢者の範疇に入るかなとも思われるこの人は何者なんだ。

話口調も落ち着いているが、何事も無い表情で普通に優しく運転している様にに見える。気張ったところは微塵も感じられない。実際は「この道でこんなに飛ばして良いの?」と思うぐらい速い。

「細いタイヤにしている訳が分かったかな?」私が黙っていると「この方が気持ちよく走れるんだ。」そう言われると良くわかる。絶対速度が速ければ良いってもンじゃないことは分かるけど、確かに運転してこの方が気持ち良いことは分かった。

その時、このおじさんの自己紹介で、私達の学校と、別の医療系専門学校の非常勤講師だということが分かって、5年生と6年生に講義を行う先生だったんだ。

「ところで、どうして私達の名前を知ってるんですか?」 

つづく

 

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2011/06/29 21:43
つづく、が楽しみですー。。。

あいんさん
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2011/06/27 21:52
Koshiさん
第2章でその喫茶店は明るみになりますが
多分場所が分かっても中には入れないと思います。
もしかしたら
Koshiさんの近くかもしれませんが。

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2011/06/27 21:01
今晩は。
いや~面白い体験をしましたね。
このナイミドをじさんの正体もさながら,山越えしていく最高の喫茶店とはどこなのかも気になるところです。
次回,乞う期待・・・。
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2011/06/26 22:59
Rayさん
スカイラインは、パワーをかければ
ドリフトしますよ。
スカイライン(GTR)の走り屋は皆んな
見事なドリフトしてたというふうに聞きました。
ポルシェの的だったので、
その話はよく聞きました。
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2011/06/26 18:23
いろいろな講師にあったんですね

この講師さんは昔きっと「走り屋」だったんですよ

私の父がそうでしたから

土日の夜になると、箱根の山の坂で、友だちとドリフトを楽しんでいたみたいです

お父さんは「スカイライン」の車を持っていたので、後輪が安全なように左右してしまうので

ドリフトは出しませんでした、逆に坂でスピード争いをしていたみたいです(お金持ちだったんだな~)

次が楽しみです^^
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2011/06/26 15:43
ラクトリオさん
先生が私たちのことを知っているのには
明確な訳があったんです。
第2章で明るみになります。



ぶーしんさん
小説ではありませんので
大展開はありませんが、現実の中では
意外な展開でした。
書き方で何とか面白くなればいいんですけど。
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2011/06/26 07:23
3人の名前(しかも下)の方を呼べるとは…
恐るべし先生ですねクポー(゜∀゜;)
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2011/06/26 00:50
むむ…何ものなんだこのおじさんは!

次週の発売が気になる週刊少年誌みたいだー

つづき楽しみにしてるゾ…ワクワク^^
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2011/06/25 23:35
ビストさん
投資能力ではなくて、
知識と洞察力ということが後でわかりました。
この先生スゴイ方でした。



はにぴょんさん
この先生60菜を超えてるんですけど、
とてもそうは思えない
素敵なおじさまです。



男爵さま
私の感性にぴったりの
ナイスドライブテクニックです。
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2011/06/25 23:09
夢の様な話ですな、
透視能力があるなら あやかりたい。。。。
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2011/06/25 22:23
ほぇぇぇ!何だかすごーーいw
メッチャ気になる展開w

小説みたいですねぇ~
千里眼をもつナイスミドルなおじ様・・・・

続きwワクワク☆^(。≧∀≦)。
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2011/06/25 19:47

 ほぉほぉ
 気持ちのいいドライビングだね



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