Nicotto Town



名前を消した男 18


三陸鉄道北リアス線のトンネルは海岸沿いを走る列車のために掘られたものだ
線のほとんどがトンネルのため谷と駅がある場所からしか外に出ることができなかった
真木沢海岸から島越までにはもうひとつ谷があったがそれ以外は駅まですべてトンネルである
列車だと3分ほどの距離である
コンクリートに覆われたトンネル内は暗く冷えていた
僕はライトを点け線路を照らした
その茶色く錆びた鉄の線は真っ直ぐに続き、車輪の当たる面は光を反射するぐらいに磨かれていた
最初は枕木があり砕石が敷き詰めらていた
僕は二本のレールの間を歩き始めた
砕石を踏む足音がトンネル内に響く
数メートルほど歩くと足元がすべてコンクリートに変わった
トンネルの中は静かだ
歩く足音も小さくなり白く吐く息の音が僕の耳に聞こえる
どこまでも同じ光景が続いた
円びを帯びた天井にコンクリートの壁、そして二本の線路
所々にはコンクリートが割れ落下している場所があった
コンクリートに大きなひび割れが入ってる所もあった
10分ほど歩いただろうか、僕は手に持った拳銃が重く感じてきた
僕はそこに腰を下ろすと拳銃を置き手を揉んだ
捨てた荷物の中から持ってきた簡易リュックからタオルを出し、それで拳銃を包みリュックに入れた
喉が渇いていたが持ってきた紅茶のペットボトルは空だった
辺りをライトで照らした僕は、近くにコンクリートの大きな破片が落ちてる場所があるのに気がついた
天井のコンクリートが大きく剥がれ落ちている
コンクリートの打ってあった跡には錆びた鉄筋があり黒い岩が光っていた
そこから水が滴り落ちる音のような、小さな音に僕は気がついた
『もしかしたら地下水が落ちてる』
僕はそこに空のペットボトルを持って急いだ
落ちた破片が濡れていた
「水だ」
僕はひとり叫んだ
ライトでよく照らすと、むき出しになった岩盤からわずかだが水が滴り落ちている場所があった
僕は上を向き大きく口を開けその下に立った
口のなかに水滴が落ちた
僕はうれしかった
これで喉の渇きが癒される
しばらくそうしていると、曲げている首が痛くなってきた
僕は水滴のちょうど落ちる下にペットボトルを置きコンクリートの破片でそれを固定した
滴り落ちる水滴がペットボトルを打つ音がトンネルに響きだした
それは規則的な音だった
僕は拳銃の入ったリュックを持ってるくると、そこで水がいっぱいになるのを待つことにした
寒かったがいつの間にか眠りについていた

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2011/05/03 09:07
はい
計算によると列車は時速60キロから70キロで走っています
鉄道は今回の津波によって大ダメージ
復旧にはかなりのお金がいるみたいです
早く復旧すればいいと思います
アバター
2011/05/02 02:42
ずっと先に光が見えているのに、なかなかトンネルを抜けられなくて
不安になる映像ですねぇ ^^;
そんな所を延々と歩くのは、かなり辛いです。
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2011/04/30 15:04
http://www.youtube.com/watch?v=R_TrVmpVls4&feature=player_embedded



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