自作小説 「扉の彼方に」 第二話②
- カテゴリ:自作小説
- 2010/12/20 17:58:01
第二話 転校生②
小さい転入生は、教卓の後ろに立つと肩から上が辛うじて見えるだけなので、教卓の横に回り込み、ぺこりとおじぎをする。
先日見かけたときの恰好は女の子かと間違うようなものだったが、今の衣装から見れば確かにここの中学生だ。
ただ中身はと言えば、とてもそうは見えない。
「はじめまして、飴の木つばさです。
大阪からきました、なかようしてなー」
そう元気にあいさつした転入生は、壇上から誰かを探すようにきょろきょろと生徒たちの間をみわたす。
するとすぐに、中央の列、前から三番目の席に、自分のことをぽかんと見ている少年がいることに気がついた。
「ああぁーっ!
こないだおうたやんなあ!」
ぶんぶん手を振り回しながら、満面の笑みで蘭咲に笑いかけると、蘭咲の方も自然とにっこりとほほ笑みを返す。
「やあ、また会ったね」
軽く手を振りながら、そう笑いかけた蘭咲に
「そやで~!このあいだはな、転入の手続きに来ててん!」
と、転入生は元気よく答える。
周囲があっけにとられる中、2人の会話が距離を隔てて始まりかける。
そこに、廊下をダダダダっと走る音がして、教室の後ろの扉がガラリと開いた。
「すみませーん!
出がけに兄貴が鼻血を出して手当てして遅れましたー!
って、ええ?
ええええええ!?」
嘘丸わかりの言い訳をしながら教室にどたどたとはいってきた少年は、壇上にいる小さな人物を見つけると、まさにマンガのごとく飛びあがった。
「キャンディ、なんでここにいるのお!?」
興奮した口調でカバンをその場に投げ捨てると、遅刻したこともなんのその、少年は転入生に飛びつきそうな勢いでで教壇の前に駆け寄る。
「えへへ、びっくりさしたろう、おもてん」
ここでもまた新たな会話が展開されかけると、担任は業を煮やしたのか、パンパンと手を打った。
「はいはい、積る話はあとにしなさいね!
飛火野くん、先ほど職員室でお兄様がた二人とお会いしましたが。
あとで遅刻の理由は伺います。」
げ、と焦り顔の遅刻少年にさらりと釘を差し、担任は教室の中のみんなをくるりと見渡した。
「これから大講堂で始業式とクラブ壮行会があります。
ささ、廊下に出てお並びなさい。
飴の木君、あなたの机は式が終わって帰って来てから一緒に用意しましょうね」
少し中性的な言葉遣いながらも、良く通る声と半端なく大きな上背のせいか、ざわつく教室はあっという間に静まる。
廊下に出た生徒たちは、その後何度か静かにしなさいと叱られながらも、転入生を囲みながら大講堂の方へと移動して行ったのだった。
小さな転入生は、蘭咲のクラスメイトでチームメイトである、飛火野三輝と旧知の仲だった。
しかも知り合いという程度の軽い関係ではなく、まるで親戚か幼馴染か、というほどに意思の疎通ができているように思える。
それにしても、あの、初めて会った時からずっと感じている、どこか懐かしい思い。
どうしてなんだろう。
いったい、どこで出会っているのだろう。
自問を繰り返すが、そこはまだ中学生の幼いところである。
やがて彼は深く考えるのを止め、同級生の列から遅れがちになっていた自分の歩みを速めたのだった。
一、 二年生の教室が入った中等部A館の校舎。
そこから少し離れた場所にある大講堂は、1000人収容の建物だ。
学校の式典や講演会にも使われるだけではなく、音楽会や観劇にも対応できるように舞台も設えてあり、ゆったりと椅子席が並んでいる。
ひとクラスずつ、横一列に着席してゆくが、必然的に1年生は中央のブロックの1列目に1組、2列目に2組、と順次続いてゆく。
1組であるキャンディは、当然最前列、右側に三輝、左に蘭咲を従えてちょこんと腰をかけている。
深く腰をかけているので足は地に着かず、所在無さ気にぶらぶらと揺れていた。
その子どもじみた様子に、蘭咲は、見た目だけじゃなくて、仕草も子どもっぽいなあ、と思う
「なあ、なんていう名前なん?」
蘭咲の名札を指さして、キャンディが読み方を尋ねる。
「ああ、ごめん、遅くなって。
ボクはらんざきだよ、よろしく、キャンディ」
ゆずちゃま☆
読んでくださってありがとうございますー^^
自己満足でしかないと言えるような代物に、暖かい応援感謝感謝~❤
一番楽しんでるのは書いている本人だったりします^^;
さえらちゃま☆
いつもコメント寄せてくださって本当にありがとうございます!
さえらちゃんが誉めてくれるところって、必ずあたし自身が好きなところだったりするので、ほんとにうれしいですようー!
しょういちさま☆
えへ、よろしくね、しょういち♪
(*⌒∇⌒*)テヘ♪
つか、男性にとって面白いものになるのかは少し不安ですw
でも決してBLとかではないですので、ハードルは低いかも^^;
今後ともよろしくお願いいたします<m(__)m>
(∀`*ゞ)テヘッ
私は、この小さい転校生キャンディと教室で再会する場面が
とっても好きなんです~^^
これから、楽しくなりそう♪
きくにゃん、すごいわーw
ぽつぽつとキャラが出揃ってきました!
主人公の飴の木少年はキャンディと呼ばれていますが、苗字から由来するあだ名で、このお話にはまだ書かれていませんが、彼が以前通っていた学校での愛称です。
いつかその時のことも書ければいいな、と思っております。
今回ギリギリのところで出そびれましたが、蘭咲くんのファーストネームはランディであります。
ゆくゆく彼はとってもかわいいあだ名をキャンディにつけられてしまいます。