Nicotto Town


木漏れ日の下


65年の月日は、とても無慈悲だ


 あの運命の日から65年が経った。人が人としての感情に、心に背を向けたあの日。
広島の小さな街は、全て壊された。蒸発した人々は、何も考える事が出来ずに一瞬で消えてしまった。後悔も、悲しみも感じられないまま。

 それがせめてもの救いと言えるのだろうか。俺は、異常なほど残酷だと思う。
愛する家族の心配もできず。思えず死んでしまう、無力さ。あの時、普通に生活していたのに、奪われてしまった平凡な日常。
俺はその時の光景を考えただけで涙が出ます。人の愚かさが招いた惨劇。人は一度滅ぶべきなんだ。自分達が作った、最悪の兵器、破壊神によって、その身を、真っ黒にし蒸発するべきなんだ。

 祖父が話す、全身大火傷の人々は、どれだけ苦しんだのだろう。
身体に蛆が湧き、学校の校庭で火葬される沢山の死体。母に泣きついて乳をせがむ子供の泣き腫らした目。
 あの時、他人から乳を貰う事などあたりまえだった。乳が出ない母親は、乳が出る母親に飲ませてもらうしかなかった。食べる物もない、生きることに必死だった時が普通にあった。身体の皮が火傷で垂れ下がったまま人々が歩いた道が、そのままある。死体の浮いた川が。今でもそこにある。

 しかし、65年しか経っていないというのに。意識して生きている人間がどれだけいるのだろうか。
もう65年という人がいるけど。
俺からしたら。

 まだ65年しか経っていない。あの日を体験したのが10歳なら、その人は現在75歳。
苦労していますよ。原爆症で一つでも問題があれば認知されるのに。申請しても保険などが認められない被爆者たちが沢山いる。
自身が体験していないと、分からないかもしれない。迫りくる炎の暑さ、火傷の痛み、まさしくこの世の地獄と言われた、悲惨な一日を。
俺はまだ18年しか生きていません。しかし、あの時、俺が生まれてこの歳でいたなら、俺は間違いなく戦場に行っていたでしょう。
学校で、「死ね」と教わっていたでしょう。祖父が言ってました。あのとき、学校では「国の為に死ぬ」「天皇の為に死ぬ」事を教えていたと。

 そして、戦艦に突っ込む特攻隊のパイロット達は皆「天皇ばんざい!」と叫んで死ぬように言われていたが、皆「お母さん!」と叫んで死んでいったと。
 そんな悲惨な時代が、今から65年前にあった。

 まだ、65年ですよ。人間は、何をしているんだ。

アバター
2010/08/16 10:50
こんにちわ。
春風さんは、おじいさんから貴重な戦争体験を聴いて、とても勉強されてるんですね。
日本に生まれて、あの戦争のことを「知らない」人が増えている中で
春風さんのように興味を持って、追体験している方はすばらしいです。

同じ過ちが繰り返されないように、心の片隅にいつも忘れないでおきたいことですね。
アバター
2010/08/08 11:41
本当ですね。
人間は、同じ過ちを何度繰り返しても懲りずに、また同じ過ちを犯す。
私も、またたった65年、だと思います。
アバター
2010/08/08 03:08
その気持ちを忘れないで下さい。

蛇足ですが、日本もアジアの人々を十億人単位で、核を使わずに虐殺をしました。そのことも覚えておいて下さい。

そして最後に言わせて下さい。例えどんな人間であろうと・・・・

       「生命は何よりも尊い」
アバター
2010/08/08 01:07
原爆の投下については国内外を問わず賛否両論がありますね。
我が国の防衛大臣が失言したのも記憶に新しい。

しかしながら史実は歴史において国家と同じで、個人の感情はあまり重要視されないかと思われます。
なぜなら、歴史は人間ではなく、歴史を観測する者は原因と結果を観測時点のイデオロギーによって判断される客観視でしかないのですから。

また、第二次大戦で兵器として原爆が起爆したのは我が国だけなのかもしれませんが、アメリカもロシアも、核実験で原爆を起爆させているという意味では被爆国であり、実験の影響で死者も出しています。
毎年のように「唯一の被爆国として」というのは、個人的にはどうかと思うところ。
原子爆弾それに関連する核開発技術がどのようなのもので、人類にどのように貢献したかも知らずに、ただ被害だけを、その一点だけを避難するのはいかがなものかとも思うのです。

また65年というのは日本人の視点でしかない。
中東やアフリカは近年まで、いや、今でも戦争を続けているという。
ゲリラ兵は村の子供を拉致し、洗脳し、兵士にするのだとか。
人間が人間である限り、おそらく争いは無くならない。したがって戦争は無くならないでしょう。
そして、人類の数は今も増え続けている。
地球が何人まで養えるのかはわからないけれども、限界はあるでしょう。
限界に達したとき、生きる人間とそのために死ぬ人間が必ず出てきます。
その時生き残るために他者を殺すのは愚かなことなのだろうか?
生き残るために戦争するのが間違いなのだろうか?
それとも、なにもせず、飢え死んでいくべきなのか。

善と悪は、愚かさと賢さは背中合わせ。
何を善きし、悪しきとするのかは、個人個人。
その個人個人の思想が未来を形作る。
歴史はその筋道でしかない。
そこにあるものは、善も悪もない変わらない事実という名の情報。
重要なのは、過去を非難することではなく、そこから得られるものから善き未来を創造しようとする意志だと思うのです。
アバター
2010/08/07 14:13
戦争中、(今もか‥)さまざまな国を焼いた あの大国は、
自分の土地が戦場になった事が無いから いつでも強気でいられるのだと何かで読んだ事がある
9.11のテロで、自分の国がどれだけ周囲の国に酷い事をしたか少しは考えたのだろうか?
誰かを痛い目にあわせたら、いつかは自分にかえってくるというのは 当たり前の話で。
規模は違うけれど、少しは理解してくれたのだろうか?


私の祖父はどんなに戦時中の話を聞いてみても、答えてくれなかった
思い出すのも嫌な、すさまじい体験をしたのだと思う
そのわりには「戦友会」という所属小隊の同窓会のようなものを楽しみにしていた
同じ惨劇を見たものどうしでしか、話せない事もあったのだろうか
晩年、自分は通信兵で 第一線で活躍できなかった事を悔いていた
私は、祖父がその手で人を殺めたことが無いという事実に少しほっとしたけれど。

‥何か長文でまとまりのない文章ですみません;



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