Nicotto Town


木漏れ日の下


一話完結小説【2】:軽業師

 幼い頃に、何度となく聞いたおとぎ話がある。母がでたらめに作った、他愛のない作り話だ。しかし、どんなに面白くて、名作と言われる本を読んだり、映画を見ても、母の作ったおとぎ話が、私の中では一番可笑しくて、悲しくて、そして美しかった。

「僕は踊りが得意だよ!」
 少年が叫んだ。照りつける日差しに顔を真っ黒に焦がし、大きな目を見開いて、それは楽しそうに高らかと自慢していた。半ズボンから出た足も、薄汚れたTシャツから出たか細い腕も、全て日に焼けて黒い。典型的な、農夫の息子だ。
名前はジャックと言った。小さな畑と、家を所有する、決して裕福とは言えない家系の一人息子として育ち、皆から太陽坊主と呼ばれる程明るい性格をした、気さくな少年。
 ジャックの踊る踊りはいつもでたらめだ。と、3人の少年が指をさして笑っても、気にする素振りも見せずに、ジャックは満面の笑みで、またでたらめな踊りを踊ってみせる。皆が笑ってくれることが嬉しくて、いつも全力で笑っていた。
突如背後から。まるで小鳥の囀りの様な、小さな声が耳に入る。今にも消えてしまいそうな、悲しげな声色をしていた。

「そんな偽物の笑顔貼り付けて……馬鹿みたい」
 

#日記広場:自作小説

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2010/05/23 23:55
また体力が;

明日は早版なので、明日、続きを書きます
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2010/05/23 22:05
ちょとエッセイのような感じの作風がいいですね。
ネットでは長編よりも短編のほうが好まれる傾向ににあり
いいとおもいます

さてここで
「自作小説倶楽部」からのお知らせです
七川冷さんが入会なさいました
宜しくお願いいたします
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2010/05/23 21:57
「そんな偽物の笑顔貼り付けて……馬鹿みたい」

「な・・・なんだとぉ?!」((こらこらwww
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2010/05/23 20:47
囁きは、誰からなのでしょうね。
でたらめな踊りで全力で笑う少年は囁きにどう反応するのか、楽しみです^^
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2010/05/23 20:29
今回のお話読んでいてなんだか切なくなりました。

宮木さんは小説書くのとても上手ですよね。私が言うのも失礼な事ですが^^;
物語のなかに引き込まれます。


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2010/05/23 08:36
今にも消えてしまいそうな、悲しげな声色。
もしやこれは 心の奥の少年自身の声かもしれないと 切なくなりました。。。
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2010/05/23 04:53
・・・皆が笑ってくれることが嬉しくて、いつも全力で笑っていた・・・
この一文だけでも、私の心に深い感情を湧かせてくれます。
・・・最後の「」が、羨ましがっている人の嘆きに思えてなりません。(>x<)人が人を侮辱するのは自分にないモノをその人に感じた時なのですね!
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2010/05/23 01:19
体力が;
続きは明日にでも書きます



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