恋天(14・5)喬介日記
- カテゴリ:自作小説
- 2010/01/30 22:33:46
喬介は、久しぶりに龍太郎と”スナックみさと”で酒を飲んだ。
今日は、商工会の飲み会から流れてこの店に来ていた。
一次会でかなり飲んでいたようで、”みさと”にきたときはもうできあがっていた。
「おぉい!飲んでるか?龍太郎!」
「そんなに大声出すなよ!飲んでるって!」
「そうか!杏樹ちゃんは東京に行って、鈴羽にはいないから今夜は飲み明かすぞ!」
そういうと、ボトルから、龍太郎のグラスに焼酎をなみなみと注いだ。
「明日、出かけるんだから勘弁してくれよ。」
「いいから飲め!」
喬介が龍太郎に絡んでいると、助け舟を出すように蘭が声をかけた。
「喬介くん。あんまり無理強いしちゃいけないわよ。」
「あっ!蘭さ~ん^^!一緒に飲みましょうよ━o(`・д・´)ノ━!! 」
蘭は苦笑しながら、喬介の前にやってきた。
「はいはい^^じゃぁ一杯だけね。」
そういうと、喬介の前にグラスを置いた。
喬介はボトルから酒を注ぎながら、蘭に聞いた。
「蘭さん。僕は、損な役回りの男ですよ!」
「ん?そうかしら?喬介くんって、何事にも一生懸命でいいと思うわよ。
あの雪のときだって、スゴく頑張ってたじゃない?」
「いいんですよ。そんな、慰めいってくれなくても・・・・。」
「そんなにすねないで。それじゃぁ、乾杯!」
蘭は、喬介にグラスを掲げて見せた。
少しは気分がよくなったのだろう、喬介はまた、ニコニコしながら今度は隣に座った商工会のメンバーと話し始めた。
そうして、閉店まで飲んだ喬介は、飲み直しをしようと龍太郎を誘ったが、車の中で寝ていくと、
あっさり断られしぶしぶ自分が支配人をしているホテルのほうへ向かった。
駅前まで来ると、ラーメン屋の灯りが目に留まった。
「ん?ラーメンでも食べていくか!」
暖簾をくぐって店に入ると、店の奥に商工会の青年部の理事をやっている河上が座っているのに気づいた。
「あぁ!河上さん!」
「よう!今帰りか?」
「ここ、いいっすか?」
そういうと、喬介は河上の隣に座ってラーメンを注文した。
「どうしたんっすか?一人で?」
「ん?あぁ。そうだな・・・・。」
「”みさと”にも来なかったじゃないですか?」
河上は、真面目で、実直な男だった。ここのところ少し元気がないように見えた。
鈍感な喬介にもわかるほどだった。
「なぁ・・・・。喬介。お前だから聞くんだけどな。俺ってどんな男に見える?」
「え?どんな男って・・・?」
「面白味のない男だろうか?」
河上も珍しく酔っているようだった。
喬介は、いきなりそんなことを聞かれるとは、思っても居なかったので面食らった。
「そんなぁ・・・。河上さんのいいところは、その真面目さですよ!」
「真面目・・・・か。」
そういうと、河上はため息をついた。
「?」
「”みさと”の蘭に・・・・。この間、プロポーズをしたんだ。」
喬介は、思わず食べていたラーメンを噴出しそうになった。
「プロポーズですか?蘭さんに??」
「あぁ。蘭と俺は同級生なんだ。アイツが東京へ行っちまって、俺は半ば諦めていたんだ。向こうで結婚したしな。」
「はぁ・・・・。」 (何で急にこんな話始めるんだ?) (◎д◎;)
「でも、蘭は戻ってきた・・・。だから俺は・・・・。」
河上は、自分の想いがなかなか蘭に通じないのがもどかしいようだった。
誰かに話を聞いてもらいたい心境だったのだろう。だから、こんな形で喬介に話し始めたのだ。
「返事は聞いたんですか?」
「まだだ。」
喬介はラーメンをハシの先でつつきながら、聴いた。
「この前っていつですか?」
「5月の連休すぎに・・・・・。」
喬介は困ってしまった。
自分より年上の河上からこんなことを相談されるとは夢にも思っていなかったからだ。
「まだ、返事はないんですね?」
「あぁ。」
「きっと、いい返事が返ってきますよ!」
喬介は、目一杯元気な声で答えた。
「だといいんだがな・・・・・。」
そういうと、河上は立ち上がった。
「まぁ、いい。今の話は忘れてくれ。悪かったな、こんな話をして。」
「いいえ。とんでもない!」 (ほんと、とんでもない話だよな・・・。)
会計を済ませて出てゆく河上の後姿を、見送りながら喬介は、
すっかり伸びきってしまったラーメンをすすりながら
(忘れるなんて、無理だよなぁ・・・・。)と、心の中で考えた。
龍太郎と河上さん。蘭さんはどう思ってるんだろう……
くわぁ~~!どう展開して行くんだーー!!!
蘭さんもてもてだ~!
お調子者だけどw